『 元気? 』
「 」
窓際のベッドから、緑でいっぱいの公園を眺めているあなた
言葉に対して反応はない
『 元気? 』
わざと大きな声で言った
でも返答は無い
後ろから肩を叩かれた
「あー、、ゆきさん?、、前は、ごめんね、病室に入るななんて起こってしまって、、」
『あ、先生、大丈夫ですよ!全然、、理由があったでしょうし、』
嘘、本当は気にしてるし窓から入ってきたときも、その後怒られたときも、今も、ずっと、ずっと
怒りで震えてる
怒りのせいか、手がずっと震えてる。
震えを抑えるのに手に力を入れていた。
「合わせなかったのはね、理由があってね、」
『理由?理由って、まあ、あるとは思ってましたけど、何ですか、その理由って』
緊張のせいか、はたまた動揺のせいか、変な日本語になってしまった
「そのね、あの、その、、ごんちゃん、もう、駄目、なんだ、」
先生は、、自分の耳をトントンと指差していた
多分、自覚は無いけど、、変な嗚咽が私の喉から出ていたと思う
私はハッとして、兄の方を見た
『にい、、ちゃん、、?、、にいちゃん、兄ちゃん、ねえ、、無視しないでよ、ねえ、ねえ!兄ちゃん!!!』
必死になって声を掛けていた
もう兄からの返事は来ないのに、分かっていたのに
『兄ちゃん、ねえ、、返事してよ、返事してよっ、!!』
突然、フイ、と兄がこちらを見た
驚いた
あんなに元気そうだった兄の顔はやせ細っていた
私の事分かる?というふうに私は手を振った
兄は、兄は、、
目を擦って、その後、
「あ、先生、おはようございます、、」
言葉の意味を、分けを理解するのには少し時間が掛かった
気付いたときには兄のために持ってきていた点字の本は、涙で湿っていた
『兄ちゃん、、私、先生じゃない、』
多分私は放心状態で、兄のベッドを眺めて居た
最後に聞いたのは兄の嘔吐音だと思う
私もその音を聞いて少し吐いたと思う
気付いたときには見ていたのは自分の部屋の天井だった
もう、もう、大好きなあの人には会えない
もっと貴方の体温に、体に、髪に、触れていたかった、
たった数日でこんなに変わるなんて思わなかった
だって、あの時は、私に触れて、名前を呼んで、
寂しくなりますね、
また会いに行きますよ、
次は、次は私の気持ちをちゃんと伝えに行きますから、
聞こえなくても見えなくても
コメント
1件
そんなことが…今からでも田中ママの体調が良くなりますように…