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ゲン羽
科学王国の夜。ぱちぱち音を立てる焚き火のそばで、羽京は警備をこなしていた。
その静けさを破ったのは、足音… そして、あの甘ったるい声。
「羽京ちゃ〜ん、交代の時間にはまだちょい早いけど……来ちゃった。」
「ああ、ゲン……。また、来たの?」
振り返ることもせずに答える羽京に、ゲンは芝居がかったため息をひとつ。
「…塩対応、ドイヒー。」
羽京が振り向き、口を開く。
「警備の邪魔しないでくれると、嬉しいんだけど。」
そう口では言いながらも、羽京の声には強い拒絶はない。
むしろ、慣れてしまっているのかもしれない。
――この男の、馴れ馴れしさと、まとわりつくような眼差しに。
ゲンは羽京の隣にしゃがみ込み、肩に頬を寄せて囁く。
「羽京ちゃんって、冷たいわりにさあ……ジーマーで可愛い顔、するよね?」
「……また、そういうことを、……」
「言われて困るってことは、やっぱり、感じてるってことじゃない?」
ぴく、と羽京の指が小さく震えた。
ゲンの指先が、服の隙間から器用に潜り込み、羽京の肌に触れる。
「やめて……ここで……」
「でも、こんな静かな夜にさ。誰も来ないし……声、我慢できるでしょ?」
「……ッ、ゲン……っ」
いつものヘラヘラとした笑みのまま、ゲンは羽京の首筋に舌を這わせ、ひく、と肩が震える。
「ねぇ羽京ちゃん、もっと……変な声、聞かせてよ?」
「……ッ、うるさい……」
言葉とは裏腹に、ゲンの手が下腹部に触れたとき、羽京の身体はぴくりと跳ねた。
「こういうとこ、やっぱ羽京ちゃんって、ジーマーで素直だよねぇ……」
「違っ……やめ……ゲン……!」
何度もそう言っても、ゲンの手は止まらない。
優しいくせに意地悪で、執拗で、あまりにいやらしい。
羽京は、最後まで拒みながらも――
その夜は、声を押し殺して、何度も震えさせられた。
終わり