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授業が終わり、五条はさっさと帰ろうとしたが、傑に引き止められ、五条は断り切れず、傑と、夕食を食べに行く事になった。
(傑)「此処は、私のお勧めのお店だよ。」
「でも、本当に食べたい物無いの?」
「此処、蕎麦屋さんだけど。」
「うん…本当に大丈夫…。」
蕎麦なんかよりも、お前と僕が一緒にいる事の方が大問題だよ!!
(傑)「どれにする?」
「僕は普通の蕎麦で…。」
(傑)「私も同じやつにしよ。」
「ん。」
「そろそろ来る頃かな。」
「へ?」
「だ、誰が?」
(傑)「私の後輩も呼んでいるんだよ。」
「え″。」
(灰原)「夏油先輩!!」
(七海)「こんばんは。」
「……灰原…七海……。」
五条は、引き攣った笑顔を浮かべるしかなかった。
(灰原)「あれ?!五条特級呪術師ですか?!」
(七海)「初めまして。五条特級呪術師。」
「こんばんは。」
(灰原)「会えて嬉しいです!!僕、五条特級呪術師に会ってみたかったんです!」
「ア、ソ、ソーナンデスネ…。」
「ボクモ、アエテウレシイデス。」
「コンバンハ…。」
嘘だろ…。
傑の誘いを断って、帰っておけば良かったと、五条は後悔する事となった。
(灰原)「そう言えば僕、最近パズルにハマってるんですよ!」
(傑)「そうなんだ。どんなパズルをしてるんだい?」
(灰原)「でっかいハートのパズルです!」
(七海)「凄いセンスですね。」
(灰原)「えっへへ!」
(傑)「灰原、多分褒めてないよ。」
(灰原)「でも、最後の一つのピースを無くしてしまったんですよ。」
「ずっと探しているんですけど、見つからないんですよね。」
「ほら、パズルって、どれか一つでも欠けたら完成しないじゃないですか!」
(傑)「そうだね。」
「どの部分のピースを無くしたんだい?」
(灰原)「ハートの真ん中の所のピースです!」
(七海)「それ、一番無くしたらダメな所じゃないですか。」
あーあ、やってしまった。
パズルの話で盛り上がっている3人の話を聞き流しながら、罪悪感が五条に伸し掛かる。関わるべきでは無いと、五条は分かっている。だからこそ、断り切れずにのこのこと着いてきた自分に、五条は呆れていた。
危機感はあった。それでも、きっと今なら引き返せる。
五条は、何処かでそう思っていた。
(傑)「今日はありがとう。」
「いや……別に…。」
「ぼ、僕もう帰るよ…。」
五条は、早口で傑にそう告げた。
此れっきりだ。副担任は外してもらう。つけるとしても、傑以外の人にしてもらう。もう関わらない。話す事も無い。此れで全部元通りだ。
「じゃあ…。」
サッと傑に背を向け、急いで帰ろうと、五条が足を踏み出した瞬間の事だった。グッと、手首を後ろへ引っ張られた。突然の出来事で、少し後ろへよろけてしまった。
「…え、何……?」
「どしたの…?」
(傑)「…悟だよね?」
胸骨を叩く様に心臓が跳ね上がり、ツーっと、冷や汗が首筋を伝った。
その質問の意図が、五条にだけは分かった。
(傑)「悟だよね。」
「私達から記憶を消したのは。」
「……えっ…。」
核心を突かれて、五条は、精一杯誤魔化そうとしたが、絞り出た声は、益々、傑に確信を与えてしまう様な物だった。
(傑)「さっき君は、私の後輩二人に会わせた時、灰原、七海って言ってたよね。」
「可怪しいんだよね。」
「初対面の筈なのに、何で、二人の名前を知っていたんだい?」
「……ッ。」
「……そ、れは…。」
(傑)「悟。」
「何で私達から記憶を消したりしたんだ。」
「如何してそんな事したんだ。」
「……ッッ。」
何でだと聞かれても、五条は、答えられる様な答えを持ち合わせていない。
「お前の離反を止めたかったから。」と、馬鹿正直に言える訳が無い。
(傑)「悟!」
五条に問い掛ける傑の瞳は、静かに揺れていた。
(傑)「何でそんな事したんだ…。」
「…教えてくれ……。」
(傑)「悟!!」
僕は、お前の隣に居たらダメなんだよ。
「お前と関わりたく無いからだよ!!」
(傑)「何で……ッ。」
五条は、傑の顔を見ていられず、傑に背中を向けてその場から走った。
五条は、自分の頬を、硬く握った拳で強く殴り付けた。
「…傑の為……?」
「…此れで良いんだと思いたかったのは……僕じゃないか……。」