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「川嶋さん、以前に打ち合わせに行った先の、PRグッズのサンプル案なんだが、もう出来上がっているだろうか?」
「はい! チーフの意見を取り入れて、叩き台として、A案とB案の二つを作成しています」
「オーケー、上出来だ。ではチェックをしておくから、僕のデスクに置いといてもらえるか」
「はいっ!」と、返事一つにもつい力が入る私に、矢代チーフがクッと小さく笑うと、「頼んだ。僕は出かけてくるから」と、カバンを手に会社を出て行った。
そのカバンには、変わらずにペアのキーホルダーが下がっていて、思わず顔がふにっとにやけた。
「……美都?」
そこへ、すかさず愛未が話しかけてきたものだから、
「えっ、なに……かな?」
にやけるのを隠そうとして、唇をんっと引き結んで笑いを堪えたような変顔になってしまった。
「……相変わらずの、わかりやすさなんだけど……」
アミが、そうやや呆れたようにも口にして、
「チーフと、また何かあったでしょ?」
図星をいきなり突いてきた──。