テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
うちの捜査一課に、機捜から一人、臨時で協力に来てくれることになった。
志摩一未さん。
落ち着いた雰囲気で、頭も切れるって噂の刑事だ。
正直、ありがたい。
……ただ、予想外の“おまけ”がついてきた。
「ヘルプは多い方がいいでしょ? 俺も行く!」
そう言って現れたのが――伊吹藍さん。
噂の、四機捜の狂犬だ。
で、気づけば捜一の会議室の後ろの席に、
腕を組んでどっかり座ってる伊吹さん。
目つきが鋭い。笑ってるのに怖い。
俺ら捜一のメンバー、全員が思った。
――なんか圧がすごい。
志摩さんが冷静に資料の内容について質問してる最中も、
伊吹さんは後ろでじっとその様子を見ている。
何も言わない。
ただ、見てる。
その「見てる」だけで、なぜか全員背筋が伸びる。
「こちらがスパイダーに解析してもらった現場の防犯映像です。ここに映っている…」
「なるほど。志摩さん、この不審者ってーー」
俺が質問をしようとしたその瞬間。
背後から、低く短い声。
「今、志摩ちゃん話してるから」
ひぇっ。
振り返らなくてもわかる。伊吹さんだ。
口調は優しいのに、なんだか妙な圧があって、背中に冷や汗が流れる。
志摩さんは苦笑しつつ、
「伊吹、静かにしてろ」
「俺、静かにしてるよ?」
「してない」
「してるって。」
「その圧をやめろっていってんだよ」
「圧?」
……いや、本人に自覚ないのかよ。
午後、現場確認に行くことになった。
ほんとは伊吹さん、予定に入ってなかったんだけど、もう誰にも止められなかった。
現場でも、志摩さんが周囲を見回して冷静に分析している横で、
伊吹さんが常に半歩後ろに立っている。
護衛か。SPか。
いや、バディだ。たぶん。
現場の若手がそっと俺に耳打ちした。
「……あの、伊吹さんって志摩さんの……なんていうか、ボディーガード的な……?」
「違う。バディだ」
「ですよね……でもバディの距離じゃないですよね」
「だよな……」
遠くで志摩さんがカメラ映像を確認しながら、
「伊吹、こっちの角度見とけ」
「了解! 志摩ちゃんの指示は絶対!」
……もはや完全に専属アシスタント。
結局その日、事件の糸口は志摩さんの冷静な判断で見つかり、
上司も「さすが機捜404」と感心していた。
ただその直後、
「じゃ、志摩ちゃん、帰ろっか!」
と明るく言いながら、
志摩さんの腕を軽く引っ張って部屋を出ていった伊吹さんの後ろ姿に――
誰も何も言えなかった。
……というか、言える雰囲気じゃなかった。
背中から出てる“俺の相棒に手ぇ出すなオーラ”、
あれはもう、バディ愛を超えていると思う。
俺は思う。
志摩さんを貸してもらうのはいい。
でも次からは、 伊吹さんもセットでヘルプにしてくれ。
志摩さんへのヘルプで伊吹さんがついてくるより、いっそその方が精神的に楽だ。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!