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ネコチャァンなsmさんが何かに怯えるknさんのそばで守ってあげるみたいな話です。
🌹…?だと思います。左右固定はないです。多分
⚠パニック表現、猫化(?)、自/傷表現、流血表現⚠
side kn
ある水曜日の昼下がり。
特に何もないのんびりとした午後。
膝の上で喉を鳴らす黒猫____スマイルの背を撫でながら動物密着型のドキュメンタリーを見ていた。
頭の中を空っぽにして、怖いこと苦しいことを無くしてただ生きている動物たちを眺めている。
時折スマイルが、にゃぁと鳴くのにんー?と返事を返すくらい。
ただのんびりとした時間が流れている。
そのはずだったが、その平和な間は外から聞こえた大きなクラクションの音で、音を立てて崩れ落ちた。
「っ…ぁ……はッ……っひゅ、はひゅっ……ひゅー…ッ」
「……にゃぁ…!みゃーっ…!」
スマイルが鳴き声をあげて手を舐める。
そんな声が聞こえないほど強く記憶がフラッシュバックする。
クラクションとブレーキの甲高い音。
血まみれのコンクリートと焦げ茶色の髪。
よたよたと近づいてくる黒い子猫と青の歩行者用信号。
響く悲鳴とサイレン。
____事故だった。
半年前に恋人、スマイルと一緒に買い物に行った帰りだった。横断歩道が青になったのを確認して渡り始めた。
その時小さな黒猫が一緒に横断していたんだ。
一匹で渡らせるにはあまりの体が小さかったからとスマイルが優しさで抱え上げて、一緒に横断していた。
子猫は特に暴れる様子もなく、おとなしくしていた。
そんなとき、よそ見運転のトラックが突っ込んできた。ブレーキの音が鳴り響いたときには遅くて大きな音と一緒に前を歩いていた体が数メートルほどはね飛ばされた。
俺は動けなかった。
足に力が入らなくなって地面に座り込んでしまった。
周りの人間の悲鳴と響き渡る緊急車両のサイレン。
その音が脳裏に焼き付いたんだ。大きな音が苦手になったのは。
スマイルはすぐに搬送された。
たくさんの治療を受けた。生死を彷徨うことも多かった。俺は何度も彼に会いに行った。
たまたまだったとは言え彼の守った小さな命と一緒に。
でもだめだった。
事故から1週間、彼は俺のそばで静かに死んだ。
目が覚めることはなく、最後にした会話は黒猫の目がきれいな色をしていたということだった。
スマイルと同じ紫色の目をしていると二人で話した。それが最期だった。
彼が守った小さな命は本当にスマイルそっくりで、普段はツンデレなのに比べ、餌をやればすぐになついた。かわいいものだ。彼が死んだ穴を子猫で埋めたかった。だから彼のあだ名と同じ名前をつけて、二度と失ってしまわなぬように優しく丁寧に育ててきた。
でも辛かった記憶はなくならないもので、こうやって時々記憶がフラッシュバックして、パニックに陥ることがある。
その度、スマイルがこうやって手伝いをしてくれる。
「にゃー……にゃぁ…」
「…っ…ふ、はーッッ……ひっ、ふ、ー…」
「みゃぁ……」
「…っ……ごめ、んね……ありがと、治まってきた…」
頑張ってくれたスマイルの頭を撫でてあげると、すりっと頭を手にこすりつけてくる。
おとなしく抱えられたスマイルをケージに入れ、開けられないように鍵をかけて洗面台に向かった。
袖をまくって、カミソリをそっと添えて、引いた。
ピリッとした痛みに遅れてズキズキと痛みの波が来る。
腕を伝って落ちていく血に自分が一歩死に近づいた気がして少し嬉しくなった。
いくつか傷を作ったあと軽く手当てをしてリビングに戻ってケージの鍵を開けると、スマイルが足元をうろうろと歩き始め、俺をソファに連れて行こうとズボンの裾を引っ張っている。
大人しく座ってテレビの続きを見始めると、俺の左手を気にして匂いをかぎ始めた。
気にしないでほしいなという気持ちも含みながら頭をなでると、俺の目を見てにゃーと一声だけ鳴いた。
その後膝の上に丸まって俺に満足気に撫でられ始めた。
俺のことをまっすぐみていた目がスマイルそっくりだった。自傷癖のあった俺を諭すのにいつもまっすぐ目を見て話してくれていた。
その行動にそっくりで、少しだけ嬉しくなった。
今日のご飯はいつもよりいいものを出してあげようと思いながらすやすやと呑気に寝始めた小さな体を優しく撫でた。