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ちゅんちゅんという鳥の鳴き声で目が覚めた。
(……また朝か)
冬夜の目覚めはいつも泥の中から顔を出す夢も何もない無から生まれるようなそんな目覚め。冬夜は朝がこなければいいと思っている。そうすればいつもの、毎日の絶望が無くなるのに。いつからだろう。世界に救いを求めようとしなくなったのは。
「冬夜〜?起きろー?」
兄が起こしに来る。
「うん!今行くよ!」(嗚呼……いつもと同じだ……)
「おはよう!冬夜!」
「おはよう。にいちゃん」
「今日は俺バイトのシフトあるから、冷蔵庫にある俺が昨日作ったハンバーグ、先に食べてて」
「うん!わかった。兄ちゃんのハンバーグ好きなんだよね」
「お前前もカレーで言ってたぞ?」
「兄ちゃんのご飯全部美味しいから!」
冬夜はそういうと満面の笑みをうかべる。兄はそれを見て微笑みながら言った。
「お前はいつも可愛いな。」
「ありがと!兄ちゃん!」
冬夜は昔から相手の顔色を伺い続けていたのでいつの日か自然に相手の望む言葉をスラリと言うことができるようになっていた。
「兄ちゃん、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
毎日このやり取りを見ている近所のおばちゃんも
「行ってらっしゃい。仲良しだねぇ」
という。兄は
「可愛い弟でしょう?とっても優しいんですよ。この間だって……」
冬夜はそれを聴きながら学校へ向かった
長くなるので幾つかに分けて投稿します