※フィクション時空が狂ってます。
👻🔪「」
🐙🌟『』
それではどうぞ
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小柳ロウが任務失敗により意識不明の重体で救急搬送されました。
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2091年8月31日
オレは違う世界に居た。それは夢から醒めぬ小柳くんを見つけ出す為、オレ達がいる世界に連れ戻すために。まあ、星導ショウにかかれば一瞬で見つけ出せはしたんですけどね。
でも、問題はここからでタイムリミットは今日2091年8月31日ということ。9月1日には元の世界に戻らなければいけないのだ。時間が足りない、時間が足りなすぎるのだ。だから、強硬手段というやつに出てみることにした。
「10分でオレんちに来い」
なんて無茶ぶりをする彼の言葉に
『ちょ、無茶ぶりすぎやしません!!?いくら完璧なるべち…』
通話が切られる音がした。コイツ本当…なんて苛立ちは抑えておくとしてヒーロー姿になってしまえば彼の家までちょちょいのちょいなんです、まあ誰かに見られてしまえば一刻の終わり。というものなんですがね(笑)そんなヘマなどはしませんが、とりあえずきっかり10分で家のインターフォンを押す。
ドタドタ…という焦る様な物音などはすることなくドアが開けられる音がする。Tシャツ短パンにサンダルという姿に海に行く気満々じゃないですか、なんて笑いが込み上げそうになるもオレも同じような格好をしているのでおあいこでしょう。無駄話をしながら海へと向かえば、 海なんてものは久しぶりでついつい気分が上がってしまう。そんなオレをやれやれというように後ろについてくる彼を横目に海に入った途端。空気が変わる、というよりわざと変えたが正解でしょうか。焦った小柳くんが海に足を踏み入れた瞬間に髪を足首に巻き付け海の底へと引き摺り落としたのだ。小柳くんの顔はとても苦しそうで、まあそりゃそうか。狼ですもんね、貴方は。仕方がない、でも耳元でこう告げるんです。『目を醒ませ』と、聞こえてなど居ないでしょうが。意識を失った彼を陸へと上げ眠らせる、この世界は時の流れが早い、100年などオレがいる世界ではたったの1年。だから日没も早く感じてしまう。気付けば夕焼けが綺麗に映る頃合で、これ以上アナタが眠るところなど見たくもなければ見飽きてしまったので叩き起こすことにした。
目を覚ました彼は海の底に引き摺り落とされたことなど幻覚かなにかだと思っていて。現実だと思ってくれればいいのに、なんて思ってしまうオレはせっかちなんでしょうか?いや、違いますよね。思い出さない小柳くんが悪いのですから。オレは何も悪くないでしょう?
『雑すぎんだよ』なんて可愛げなどない悪態をつきながらも交際の返事にOKを出す彼の姿が可愛らしくて。どんなに適当でも流されてくれる、照れてくれる単純なところは変わりなくて安心してますよ。まあ、日にちが変わる頃にはオレは存在しなければ小柳くんはオレのことを忘れていくんですけどね。思い出してくれる日を楽しみにしていますよ。どんな手荒な手を使っても、悪趣味なことをしても全部小柳くんが悪いんです。
彼の心をオレを焼きてつけてから8月31日23時59分。
『小柳くん、ごめんなさい。また来世で』
なんて言葉を残せば屋上から飛び降りて鈍い痛みが走る。肉がぐちゃぐちゃになっているのでしょうか、るべちの綺麗な顔が…勿体ない、なんて言ったところで帰れば綺麗さっぱり元通りなんですけど…なんてことを思いながら意識が遠のいていく。そうして元の世界へと帰る。
オレがあの世界から帰れば数日するうちにオレが存在した証は消えるでしょう、だって小柳くんが今居る世界にオレは存在しないはずなんですもん。居てはいけない存在で要は異物みたいなもの、それは小柳くんも一緒であの世界には小柳くんも異物であり居れば居るほど悪影響をもたらすのだ。例えば、自然災害…とか?
だから小柳くん。壊れていく世界でアナタの頭の中からオレが完全に消えるまではせいぜい苦しんで、こっちに戻ってきてくださいね。待ってますから、ずっと。
『るべちはせっかちなので、早くしないと絞め殺しちゃうかもですけどね』
そう独り言を吐き出せば、目の前には病室でたくさんの管に繋がれ包帯まみれの小柳くんの頬を撫でる、たまに魘されているのはあの世界で何かが起きているからだろう。可哀想に、早く思い出して。
そうして偶に宇宙空間から彼を観察するようになった、夢に入り込むこともあり、あっちの世界で魘されて涙を流してる姿が面白かったです、早く思い出せばこんな苦しまなくてもいいのにね、小柳くん。可哀想。と、思ってもないことを頭の中で再生すれば彼の元から立ち去る。そっとキスを落としてから
そうこうしているうちにもうこっちの世界では一年を経とうとしていた。小柳くんがいる世界ではもう100年ですよ、こことあっちでは時空の歪みがあるからか時の流れが早すぎるんです。だから、いい加減目を覚ましませんかね。
こうして、夢へと入り込む。カラダが動かない彼はオレを見ても怯えることも無く、ただただオレを見詰めるだけ。そんな彼を頬張れば夢から追い出されてしまった。
夢から追い出された、ということは思い出す日が近い? やっと戻ってくる?そうじゃなければオレはもう手出しができなくなってしまう。通常100年は死ぬまで覗けるものなのだがあっちの世界は違う、時の流れが早すぎるから。でも思い出してくれる、それが近い。己に信じ込ませては
時空を狂わせて、小柳くんがいる部屋のドアと海を繋げる。
あと少し、もう少し。
…
…
……………
ドアが開いた、そこには小柳くんが立っていて。唖然としたような顔をしていた。
『いらっしゃいませ。やっと思い出しましたか?』
「星導…」
苦しむような声色でオレの名前を呼ぶ彼が
「嗚呼、そうか…」
なんて言葉を発したことを見逃さずこう告げる。
『救いの手を差し伸べましょうか?
ただし、それが幸せになれるとは限りませんけど(笑)』
「迎えに来たんだろ?早くこの手を取れよ。」
『なんて強引。まあこんな世界まっぴらでしょう?』
なんて手を伸ばす彼の手を取れば彼に笑いかける。
「そうだな、オレが幸せになれる未来はねえってことだ。」
嗚呼、本当に思い出したんだなと実感をした。片脚を失った世界の小柳くんと誰とも接触できず虚無を過ごしてしまう世界。どちらも苦しむということを思い出してしまったらしいです。何があっても小柳くんの隣にいてあげますからね。
時空の窓を開け、彼と一緒に潜る。
目を開ければ、目の前にいる小柳くんが目を覚ましたんです
片脚を失ってしまった小柳くん、それを見て涙を堪える小柳くんは酷く可愛らしくてそれよりも戻ってきてくれたことも嬉しくて_
おかえりなさい。これからも苦しい日々を送りましょうね。
『本当の死とは、民の記憶から完全に無くなってしまった時に成立するものなんです。永遠の死と表しても良いでしょう。』
小柳ロウ、星導ショウは1度、永遠の死を遂げている。だが、生き返ることは可能であった。残りの余生をどうぞ謳歌してください。
それが決して幸せだ。なんて保証は1ミリたりともしませんがね…(笑)
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