深 × 若
wki side
いつも通り、少し遅れた時間に校門を通る。
下校時のワイワイガヤガヤが苦手な俺は教室で数分待った後に下校をする。
でも、今日みたいに最悪な日もある。
校門を出て右の木の影から、告白をする女の人と断る男の人の声がする。
多分、女の人は他校の人だろう。
遠くから見る限り結構美人だったけど。
バレンタインだから、という理由なのだと思う。
そんな人の告白を断るなんて…、とも思ったが
男の人の声は誰の声よりも聞いたものだった。
生憎、俺の下校ルートはその木の横を通らないといけないので校門前でスマホを取り出す。
女側が執拗そうだから長引くとみた。
でも、そうでも無く、数分で女が泣きながら
俺の前を走って帰って行った。
そう思って木の横を通ろうとした時、
「滉斗 !」
聞き覚えしかない声で俺を呼ぶ。
「深瀬くん、」
「久しぶり ッ !」
「昨日ぶりですけど…」
ニッコニコの笑顔が眩しい。
「告白されてたんだよね ~ 」
「聞こえました…」
「盗み聞き 、?」
「な、ッ!? 違います っ!」
「ふは ッ 、分かってるよ」
笑いながら俺の頭をワシャワシャと撫でる深瀬くん。
「他校の子ですよね、」
「可哀想じゃないですか ?」
「え ~、 」
「でも僕には可愛い彼女が居るし?笑」
そう言いながらニヤッと笑みを浮かべる深瀬くん。
その目線の先にいるのは俺。
「流石に僕も浮気はしないよ ~ 」
と言いながらもカバンの中から見えるチョコは
何個なんだ…
「チョコの消費手伝ってよ」
深瀬くんがそう言う。
「誰が作ったのか分かんないもの食べるのは
苦手です、 」
食べれないことは無いけど、こういっておけば
巻き込まれないと考える。
「そっか ~、じゃあ滉斗は貰ってないの?」
「…俺に渡されたの全部隣の席の友達に押し付けた」
「わぁ物騒 」
こうやって他愛もなくただ脳を休めて深瀬くんと話しながら帰る時間が好きだ。
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