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9月1日
今朝はように早起きだった
普段は六時なのに、今日起きたのは五時だった
空はどんよりと薄紫にぼやけていて、どうも明るい気分になれない
疲れていたはずなのに、変に体が軽くて
今日はいつもの自分と違う気さえした
起き上がると、元貴がベットの隅で三角座りしていた
どこかうとうとして、本来眠さすらも感じないはずなのに
「…いいよ寝てて、時間まだだし、元貴は別に家居ても「若井」
そう、元貴に言葉を遮られた
「あのね、若井」
「俺、消えちゃうかも」
「は?」
「なんで…?」
藪から棒だった。
妙に落ち着いた声色で、全て悟った表情
なぜ?どうして?意味がわからなかった
「元貴もう死んでるじゃん、消えるとかないでしょ…?」
「しかも、まだ怨霊だから消えれないんでしょ…?」
元貴は力なく首を横に振るだけで、なにも答えようとはしなかった
「…嘘、うそだよ…ッ、なんで…ッ
なんで元貴ばっか…ッなんで俺一人にすんの…ッ」
そう言葉を繋ぐ度、とめどなく涙が溢れ出て止まらなかった
「…ごめんわかい、黙ってて」
「ほんとは、わかっ、てて…」
言葉が途切れ途切れになる度、息苦しかった
もう居なくなってしまいそうで、離したくないと思って
「元貴、だめ、お願いだから…ッ、」
「…置いてかないで…ッ」
ぐったりと俺に体重を預け、静かにうっすらとしか目が開かない元貴を、抱きしめることしか出来なかった
「…わか、ぃ 」
「んっ… 」
そう俺の名前を呼ぶと、元貴からキスをした
唇を当てるだけのキスだったけど、体温なんて無いはずなのに暖かい
「わかぃ…だいすき…ッ」
「まだ、こっちこないでね…っ」
ぼろぼろと涙を流す元貴は、もう最後を告げるように泣いていた
「…ッ…大嫌い…ッ!」
そう言うと、元貴は笑って目を閉じる
鳥の鳴き声とともに、何かが静かに無くなる音がした
ぎゅっと抱きしめていたはずなのに、気づいたら手の中には元貴の指輪しか残っていなかった
午前八時、本来なら既に学校についてる時間
そんな時、俺は昨日遊んだ海に来ていた
「これで、良かったんだよね…ッ」
元貴は成仏した
俺も肩の重荷が無くなったのだ
もう、いつもの平穏な日常が戻るだけ
今まで、隣にいたのが当たり前だったのが、居なくなっただけ
「ほんと?」
そう、誰かに後ろから声をかけられた
「本当に、これでいいの?」
後ろは振り返られなかった
でも、確実に、その言葉はこれの行動のためのスイッチになったんだろう
「…まっててね」
そう告げると後ろにあった気配は霧のように薄れていってしまった
「…これでいい訳ないじゃん」
前にそのまま倒れると、水面が弾け、体全身が海水に包まれる
約束したんだもん
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#fjsw
ikuraaa@🈂️
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おまじないだから
だから
水面に反射する日光が、指の隙間から水中の俺に降り注ぐ
沈んでいく俺とは裏腹に、口から漏れ出る泡が空に浮かんでゆく
ごめんね、元貴
もっと早くこうしてあげられなくて
これでほんとに
「ずぅっといっしょ…ッ」
左手の薬指に付けた2つの指輪が、永遠を誓うように微かに光る
_次のニュースです。
_今日午前八時過ぎ、東京都__区__海岸で、男子高校生のものと思われる靴があると通報があり警察が捜査をしたところ、__高校に通う男子高校生のものということが判明しました。
_警察は救助隊を要請し、事故または自死の疑いがあると発表しています。
「…結局、四年前と一緒なんだね」
「指輪、ちゃんと持ってきてもらわないとなぁ」
「…ねぇ若井…ッ」
「なんで俺のためにそんな出来んの…ッ」
ごめんね若井
ほんとは
もっと早く死んで欲しかったんだ
約束だから
おまじないだったから
でもわがまま言うと
若井困らせちゃうから
「…世界でいちばん、綺麗なおまじないだったんだね…」
そう言い、何も無い薬指に口付けをする
「世界でいちばん綺麗なおまじない」
完
コメント
3件
そうだよね、自分だけ消えるとか嫌だもんね、、、ふたりで消えるはずだったのにm的には早く同じになりたい、w的にはなんで置いてっちゃったのだもんね、、、、共依存というかなんというかほんとに素敵なお話でした。ありがとうございます😭
こういう愛が1番好き………重くて綺麗で儚くて………好き
最後まで読んだ……泣いたわ。若井が「置いてかないで」ってすがるところから、最後の「ずぅっといっしょ」で指輪が光るシーン、もう全部が切なくて美しかった。特に元貴の「もっと早く死んで欲しかった」っていう本音が刺さる。お互いのための「おまじない」って、こんなに重くて綺麗なものなんだな。横さん、素敵な作品をありがとうございます。心に残りました。