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sasada
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もみじ@数学抹殺委員会
68
#ご本人様には関係ありません
紫蘭
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第2話 風に息吹が宿る
「……ここ…どこだ……?」
辺りを見渡しても、見えるのは鬱蒼とした森だけ。
さっきまであったはずの石段も、その先の道も、どこにも見当たらない。
「いや……いやいや、そんなわけ……。」
目をどれだけ擦っても、辺りを見渡しても
やっぱり間違いない。
「夢……?」
柄にもないが、ファンタジーの世界でしか見ないような方法で頬をつねってみる。
「いっ……!」
ちゃんと痛い………って、こんなので夢かどうか確認するなんて、何してんだ僕。
馬鹿馬鹿しいと心の中で自分を罵る。
ポケットを探り、スマホを取り出して画面を見る。
地図アプリで見ると、少し離れた先に道があるようだった。
体をぐるぐると回転させて、方向を確認する。
「こっちか?」
地図を見ながら、森の中を歩き始めた。
しかし、
歩いても、
歩き続けても、
似たような景色が続いた。
同じような木。
同じような草。
同じような鳥の声。
いつの間にかスマホは圏外になっていて、道を調べようにも調べられない。
「まじでどこだよ…ここ…」
独り言だけが森へ溶けていく。
日差しはどんどん強くなり、制服は汗でびしょびしょ。おろしていた前髪も額に張り付いて気持ちが悪い。
「水……」
水筒を取り出そうと鞄を探るも、今日に限って家に忘れてしまったようだった。
それなら自販機…と思ったが、自販機なんてこの辺りにあるとは思えない。
朝、あれだけ時間があったというのに、何しているんだか…
しかし、今はそんなことを思っていても仕方がない。早くこの森から出なければ。
そう思い、僕は森の出口を求めてまた歩き続けた。
…どのくらい歩いたのだろう。
足元はふらつき、視界がぼやけ、意識は朦朧としていた。もともと体力が全くない僕の限界は刻々と近づいていた。
「もう無理───」
その場に崩れ落ちそうになったその瞬間、誰かに体を支えられる感覚がした。
視界には一瞬、人が写ったのが見えたが、そこで僕は意識を手放してしまった。
──同刻。
僕は森の中で、いつものように木刀を振っていた。
足を踏み込み、刀を振る。
風を切る音だけが静かな森に響く。
『よし、今日はここまでにするか』
額を伝う汗を拭い、竹筒に入った水を思いっきり飲み干す。
そして荷物を肩へ担ぎ、屋敷へ戻ろうと歩みを進めようとしたその時。
草をガサッ、ガサッと踏む音がした。
『ん?』
獣にしては妙な音だな。そう思い、僕は足を止め、音のした方へ視線を向ける。
そこには、1人の少年が立っていた。
『見かけない子だな………』
ここは森のかなり深い場所だ。ここで僕以外の人を見たことはない。
『こんなところで何を──って、おい!』
僕が声をかけようとしたその時、少年はふらりと膝から崩れ落ちていく。僕は彼の元に走り、ギリギリで体を支えた。
『大丈夫か?!』
少年の額に手を当てる。
熱い。かなり熱があるだろう。
『水も持たずに、こんな森を歩いていたのか…?…』
苦しそうな呼吸、震える肩。
この暑さだ。無理もない。
『しっかりしろ、聞こえるか?』
少年の肩を軽く叩くが、返事はない。
荒く浅い呼吸だけが聞こえてくる。
『困ったな……』
周囲を見渡しても誰もいない。この辺りは民家もないはずだ。こんな森の奥で倒れているなんて、何かきっと事情があるのだろう。
しかしどうしようか…
でも───
目の前で苦しんでいる人を見捨てるなんて、僕にはできない。
『ごめんね。少しだけ我慢して。』
そう声をかけ、少年をそっと背負う。
思っていたよりずっと軽い。
『……ちゃんと食べてるのかな』
そんなことを考えている暇はない。今は早く涼しいところで休ませるのが先決だ。僕は早歩きで自分の屋敷へと進み始めた。
木漏れ日の差す森を抜けて進んでいく。
背中から伝わる微かな体温が、少しだけ安心したように感じた。
『もう少しだからね』
そう呟くと、風は木々を揺らした。
少年の返事はない。それでも、声は聞こえていると信じ、声をかけ続ける。
やがて森を抜け、屋敷が見えてくる。
門の前に立っていた男は僕の姿を見るなり頭を下げた。
「殿、お帰りなさいませ!」
『ただいま。悪いんだけど、医者を呼んできてもらえるかい?』
「……その方は?」
『森で倒れていた。熱がある。急いでお願い。』
「っ、承知しました!!」
家臣の男は一礼すると、すぐに駆け出していった。
僕は少年を抱えたまま屋敷へ入り、一番風通しのいい部屋へ寝かせる。
井戸水で濡らしてきた手拭いを額へ乗せると、少年は少しだけ苦しそうに眉を寄せた。
『大丈夫。すぐ医者が来るからね。』
少しして、廊下からドタドタと足音を鳴らしながら、先ほどの家臣が戻ってきた。
「殿、医者を呼んで参りました!」
『ありがとう。こちらへ。』
医者は少年の脈を診て、瞼を開き、熱を確かめる。
『命に別状はありません。暑さと疲労でしょう。水分を摂らせ、体を冷やしてゆっくり休ませれば目を覚ますはずです。』
その言葉を聞いて、僕はようやく安堵して息をついた。
医者を見送ったあと、部屋にはまた静かさが戻ってきた。僕は部屋の隅に腰を下ろし、眠る少年へ視線を向ける。
汗で濡れた前髪。
見たこともない形の服。
傍らには見たことのない素材でできた、
不思議な形の荷物が置かれていた。
『……どこから来たんだろう』
旅人にも見えない。
城下町の子でもないだろう。
何より、この辺りで見かけた覚えが全くなかった。
しばらくすると、少年の指先がぴくりと動く。
「……」
ゆっくりと瞼が開き、ぼんやりと天井を見つめたあと、勢いよく体を起こす。
『まだ起きなくていいよ。』
そう声を掛けると、少年は驚いたように僕を見た。
『今、水を持ってくるから』
水瓶から竹筒に水を注ぎ、少年に手渡す。
少年は受け取るなり、一気にその水を飲み干した。
ごくごくと音を立てて飲む姿を見て、思わず笑みがこぼれる。
『そんなに喉が渇いてたんだね』
飲み終えた少年は、大きく息をついた。
喉を潤したことで、ようやく朦朧としていた頭が回り始める。
僕は手に持っていたものを見つめた。
「……竹?」
竹をくり抜いて作られたような、不思議な入れ物だった。こういうデザイン…なのか?珍しいな…
そう思いながらゆっくりと顔を上げる。
畳。
障子。
木でできた柱。
見覚えのない部屋。
「……え。」
その時、僕の視線は自然と、目の前に座る人を捉えた。
黒髪を後ろに短く束ね、深い紅色の羽織を身にまとう背の高い男。顔は彫りが深く、凛々しい顔立ちをしている。
その襟元からは藍色の布がわずかに覗いていて、腰には日本刀を携えている。
まるで時代劇からそのまま出てきたような格好だった。
「……その服…」
思わず口から漏れてしまった言葉に、青年はきょとんとした顔で首を傾げる。
『服?』
「え……あ!いや、その……。」
僕は誤魔化すかのように、もう一度部屋を見渡す。
木の香り。
風に揺れる障子。
部屋の隅に置かれた見たことのない道具。
どれも作り物とは思えないほど、精巧に出来ている。
…あの森の中でドラマの撮影をしていた…?…そうだ、きっとそうだ!この人もイケメンだし、俳優とかだ!絶対!
「あ、あの!助けて頂いてありがとうございました..!もう大丈夫なので帰ります!撮影の邪魔してすみません!し、失礼します!」
と言って立ち上がろうとする。
……が、まだ本調子でなかったのか、バランスを崩してしまう。
その瞬間さっきと同じように体を支えられ、 こらこら、危ないじゃないか と布団へ戻される。
『…何のことだか分からないけど、少し休んでおきなさい。ここには私しか住んでいないから、遠慮しなくていい。部屋も余っていることだし』
その人は不思議そうに眉を寄せながらもにこやかに言う。
「い、いやでも…」
『大丈夫。
…あ、あとで色々話聞かせてね?』
そう僕に優しく笑いかけると、その人は障子を閉めて何処かへ行ってしまった。
「……なんなんだ、あの人……」
一人になった部屋で、僕は小さく呟く。
助けてもらったのはそうなのだろう。
見ず知らずの僕を背負って、ここまで運んでくれた。
普通なら、感謝してもしきれない。
でも──
「……どう考えてもおかしいだろ」
指に触れる畳の感触。
障子から差し込む光。
さっき飲んだ竹筒の水。
そして、あの人の格好や不自然な反応。
どれも本物にしか見えない。
あの人も、何か演技をしているようには思えなかった。
第一、スタッフやカメラマンなんて人の気配は全く感じない。
「撮影……じゃないのか?」
そう呟いた瞬間、背筋に冷たいものが走る。
もし、撮影じゃないのなら。
ここは一体どこなんだ。
考えようとすると、急に疲労が押し寄せて頭痛がする。
「……もう無理…」
考えることを諦め、そのまま僕は布団へ身体を預けた。
朝から歩き続け、疲労困憊だった僕は、そのまま布団で眠ってしまった。
起きたら状況が変わるかもしれない。
そう願いながら…
コメント
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うわあああ、第2話も良すぎた…!!😭💕 倒れた主人公を拾ったのが、殿様系イケメンで、しかも「私しか住んでないから」とか言っちゃう感じ…もう完全にファンタジー転生の匂いしかしないんだけど!?!?✨ 竹の水筒とか木刀とか、時代劇の空気感がすごいし、主人公が現実解釈しようと必死になってるの可愛すぎるww「撮影だ!絶対そう!」って言い聞かせてるところ、もうね…(笑) この2人がこれからどう絡むのか、マジで尊すぎて待てない…次話も楽しみすぎます!!⋆♡