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羽海汐遠
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ペトラとギレスラが透明な魔石を降ろして戻って来ると、レイブは既に広場の中央で胡坐をかいて座って待っていた。
『早かったわねレイブお兄ちゃん』
「おお、お疲れ様! 大変だったな」
『ああ、透明な魔石があっちにもいっぱい有ってな、少し片付けて来たんだ』
「俺も桶を洗っておいたぞ、とは言っても水場が判らなかったからな、そこらの草で拭いただけだけどな」
『ふーん、あっちには赤い魔石も置いて有ったわよ、量は少ししかなかったけどぉ』
「へーそうか、まあ休めよ二人とも」
『おう』
『うん』
ペトラとギレスラが腰を下ろして程なく、グフトマがホブゴブリン達を伴って姿を表した。
孫弟子たちの助力がよほど嬉しかったのか笑顔と共に告げた言葉はこうだ。
「手伝いありがとな♪ 待たせちまって申し訳なかったが食事にしよう、とは言っても大した物は無いんだけどな」
レイブも笑顔で答える。
「おかまいなく、粗食には慣れてるんで何でも良いっすよ」
遠慮つーか少しは憚れよレイブ……
無遠慮で失礼なレイブと違い、グフトマは心から申し訳なさそうな表情で続ける。
「いや隠し穴の外でも言ったがここの所碌な物が無くてな…… すまないな」
「何でも良いって言ってるじゃないですか太師匠ぉ、で何を食べてるんです?」
「ああ、恥ずかしいんだが最近は草ばかりでなぁ~」
「えっ!」
「ほら、そこに積んであるヤツだよ、美味くは無いが食用の草だから心配は要らんぞ」
「………………」
「ん? どうしたレイブ? せめて沢山食べてくれよ!」
何故か顔面を蒼白に変じさせたレイブは、グフトマの足に取り縋って懇願し始めたのである。
願いの内容は、今日の食事は自分たちの手持ちの干し肉、干し果実で済ませて欲しい、この一点であった。
訝しがっていたグフトマであったが、レイブの涙ながらの声に応え、暫らくして首を縦に振り了承して見せたのである。
喜んだレイブは自分の背負った背嚢からだけでなく、ペトラやギレスラが持っていた物も含めて大量の食物を供出した。
一般的には質素なメニューであったが、ホブゴブリン達の喜びようは大変な物で、グフトマは拝むようにして孫弟子たちに感謝の言葉を述べたのである。
こうして、レイブ一人が冷や汗を浮かべたままで、隠し穴ではいつになく豪勢な食事が始まり、笑顔の内に終わりを告げたのである。
コメント
1件
レイブが草と聞いて顔面蒼白になるくだり、思わず笑っちゃいましたね。何か過去に草で痛い目を見たのか…気になります。グフトマ師匠が「拝むように感謝」ってところで、ちゃんと孫弟子たちを大事に想ってるのが伝わってきて、ほっこりしました。レイブだけ冷や汗かいてる対比がまた絶妙で、このシリーズの空気感が好きです。