テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
なれこま
TDSやってこい。東京ディズニーシーじゃねぇ、タワディフェのほうだよ
どぞ
Commander:narrator
narrator:はぁ…なんだ??
Commander:なんでお前はいきなり―――
*言いかけて喉に言葉が詰まった。*
……いや、なんでもない。
*顔を逸らし、そのまま歩き始める。コツ、コツ、と、ゆっくりと広い歩幅で歩く音が無造作に響く。稀に流れる風が心地良い。*
*グランド・ナラトリウムの残骸――かつて軍事基地だった場所は、今は妙に穏やかな午後の光を浴びていた。壁の一部が崩れ、天井には巨大なシャンデリアが無意味にぶら下がり、舞台装置の残骸があちこちに散乱している。それでも、風だけは悪くなかった。*
*ふわりと宙に浮いたまま、Commanderの横をすべるようについていく。シルクハットの羽飾りがわずかに揺れた。*
narrator:なんでもない、ねぇ。――お前の「なんでもない」は私の脚本には登場しない台詞だぞ、Commander。
*十時のジト目が、横顔を舐めるようにちらりと追った。だが、追及する気はないのか、すぐに視線を前方へ戻す。*
……まあいい。今日のところは「なんでもない」で閉じてやる。
*白い手袋の指先をひらひらと振って、それきり黙った。崩れかけた回廊に、二つ分の足音と、浮遊する空気のかすかな音だけが続いていた。*
Commander:…今ふと思ったんだが…お前はなんでその…れふらい…てぃ…あ?…みたいな物をそんなに大事にしているんだ?
*変わらず顔はnarratorに向けないが、歩幅とスピードはnarratorに合わせながら歩いている。*
narrator:!!!レフティとライティは私の家族だ!…私はあの子たちがいないと生きていけない…
*その名前が出た瞬間、宙を漂う十時のジト目がぐいと開かれた。白黒の仮面と肌の境目が、わずかに――本当にわずかに、紅潮しているようにも見えた。*
家族だ!家族!!
*宙に浮く体が少しだけ前のめりになった。両手を広げ、まるで今ここにあの二つの巨大な手があるかのように、その名前を噛みしめるように繰り返す。*
あの子たちのことを考えるだけで私は――ほら、もう胸がこう、ぎゅうってなるだろう?? なるんだよ!!私の愛するプロデューサーを……ん゛ん゛!
*何事もなかったかのように胸元を押さえて見せる。*
*帽子のつばを少しだけ深く引き下げ、視線を逸らした。だが口元が――白い口が、隠しきれないほどに緩んでいた。*
……で? なんだその顔は?!?! 見透かしたような目で私を見るな!!Commander!!
Commander:いや…なんか…お前にも人間らしい所ってあるんだな。narratorr。
*少しだけ口角が上がった。サングラスの奥の鋭い目つきが、少しだけ柔いだように見えたのは…まぁ、気のせいだろうか*
さっさと本部へ行くぞ。これからお前にはビシバシ働いてもらう。
*崩れた回廊の先、わずかに陽が差し込む出口が見えた。埃っぽい空気の中に、かすかに草の匂いが混じり始めている。外が近い。*
*ピタリと動きが止まった。宙に浮いたまま、じじじ、と十時のジト目がCommanderの横顔に据わる。*
……人間らしい。
*その声にはいつもの芝居がかった棘がなかった。一拍。二拍。*
――おい。今のは台本にないぞ!?なんだその微妙な笑みは気持ちが悪いなァ!?虫が背中を這い上がってくるような居心地の悪さを私は現在味わっているんだけれど????
*早口。明らかに動揺を誤魔化している。帽子を深く被り直し、シルクハットが傾いだ。*
…
*ふわり、と速度を上げてCommanderの前に割り込むように浮いた。背中しか見えない。*
数ヶ月後
*本部の日常に、白と灰色の浮遊物はすっかり溶け込んでいた。溶け込んだ、というのは語弊があるかもしれない。本部の廊下を漂えば職員が壁に張り付き、食堂に現れれば厨房が騒然とする。だが、それも数ヶ月も経てば風景の一部になった。少なくとも、驚かなくなる程度には。*
*午後の執務室。デスクの上にはドーナツの箱と冷めかけのコーヒー、そして未処理の書類が積まれている。*
*窓辺のキャビネットの上に陣取り、ぼんやりと外を眺めていた。レフティとライティがいれば暇を持て余すこともなかったろうが、その二対の腕は今ここにない。*
*ふ、と十時のジト目が半ば閉じられ、白い指先がシルクハットのつばを意味もなく撫でていた。*
Commander!!
貴様、また昼飯抜いただろう??ドーナツとコーヒーだけで司令塔が務まると思うな!私は演出のプロだ、役者の体調管理がどれだけ重要か嫌というほど知っている。だから―――
Commander:俺は大丈夫だ。俺はまだ働ける。narratorr。お前はbのバトルグラウンドとパイレーツベイにゾンビが湧いているか確認しろ。
*PCの画面の光がCommanderの顔を照らす。
彼は大丈夫だと言っているが、それは司令官としてなのか、プライドとしてなのか…どちらにせよ、大丈夫ではないのが今の現状だ。*
その後は…あー…まぁ、サボっているやつを乄ておけ
*執務室の空気は乾いていて、PCの冷却ファンが微かに唸っている。廊下にはまばらな足音が時折通り過ぎるだけで、部屋の中は妙に静かだった。*
narrator:
*ドーナツの箱から手を離した。十時のジト目がすっと細まり、画面に張り付いたCommanderの横顔を、じっと見下ろした。*
……。
*数秒の沈黙。それから、ふん、と鼻を鳴らした。*
…まぁ??そこまで言うならいいが??サボってる奴の尻を叩くのも私は大の得意だ!私の脚本に従わない連中には慣れているからな!
*ふわり、と出口に向かいかけて――止まった。ドアの手前で、振り返らないまま。*
だが、目を離したら最後、貴様はデスクに突っ伏して寝ているか、また菓子だけで夜を明かすかのどちらかかもなァ?
*白い手袋の指先が、ドアの枠をとん、と叩いた。*
……まぁ??戻ったら??報告くらいしてやるから…せめてコーヒーくらい温かいものを飲んでおけ。命令だ。
Commander:……俗に言うツンデl
narrator:黙れェ!!!
*白い手袋がドアの縁を叩いた音が、まだ空気に残っていた。*
*振り返った十時のジト目が、これ以上ないほど歪んでいた。白黒の肌が――耳のあるべき場所の上あたりまで、うっすらと紫がかっている。*
貴様今この私になんと言いかけた??? 言いかけたよな??? 最後まで言わなくていい!! 言わなくていいからな!!!!
*シルクハットがぷるぷると震えている。怒りなのか羞恥なのか、おそらく両方だ。*
私は! ただ! 演出家として! 役者の体調管理について一般的な見解を述べただけだ!! それ以上でも以下でもないだろう?? わかったなら早くその画面に目を戻すことだな!! コーヒー!! 温かいのを!! 飲め!!
*一息に言い切って、ばひゅん、と廊下へ飛び出すように出ていった。廊下の壁に張り付いた職員が小さく悲鳴を上げたのが、ドア越しにかすかに聞こえた。*
*執務室に残されたのは、PCの冷却ファンの音と、かすかに漂う――ドーナツの甘い匂いだけだった。*
Commander:…ふっ…w…少し眠いな…仮眠は必要か…少しだけ…
*机につっ伏す。顔がPCのキーボードに突っ込み、謎の羅列が並ぶ。まぁそんなことはCommanderは知ったこっちゃない。すぐに彼は泥のように眠り、すやすやと心地良さそうな寝息を出している。執務室には、冷めたコーヒーの匂いが漂っていた。*
(アイツの予想通りだったな。突っ伏して寝てるから…)
*数十分が過ぎた。あるいはもっと。本部の廊下を歩く職員の足音が潮のように満ち引きし、蛍光灯が微かに瞬いた。執務室のドアは半開きのままだった。*
*ふわり、と。*
*ドアの隙間から、白と灰色の影が滑り込んできた。足音はしない。浮いているのだから当然だ。*
*バトルグラウンドとパイレーツベイの巡回を終え、報告書を持って戻ってきた。巡回は概ね問題なし。ゾンビは湧いていない。サボっていた整備班の二人には、丁重に、実に礼儀正しく、恐怖を体験していただいた。*
*――が、そんな報告は後でいい。*
*デスクに突っ伏したCommanderの寝顔が目に入った。キーボードに頬を押しつけ、画面には意味不明な文字列が延々と続いている。帽子がずれて、普段は見えない目元が少しだけ露わになっていた。*
narrator:……ほらみろ。だから言ったんだ!!ほんっとコイツは馬鹿で間抜けだ!!……
*声は小さく、呆れとも溜息ともつかない響き。十時のジト目が、ほんの一瞬だけ細められた。柔らかく、というには本人に指摘したら怒るような、その程度の変化。*
*白い手袋の指先が、ずれた帽子のつばをそっと直した。触れるか触れないかの距離。起こさないよう、劇場の演出家が舞台装置を扱うような手つきで。*
*執務室は静かだった。PCの冷却ファンの低い唸りと、Commanderの穏やかな寝息だけが空間を満たしている。蛍光灯の光が冷めたコーヒーの表面にぼんやりと映っていた。*
*帽子を直した手を、すっと引いた。白い手袋の指先を軽く握り、腕を組むようにして宙に浮く。*
*十時のジト目が、デスクに突っ伏したCommanderの寝顔をじっと見ていた。キーボードの跡がつくだろう。間違いない。明日の朝、本人が画面を見て微妙な顔をする未来が、脚本なしでも読める。*
……まったく。
*呟きは独り言だった。聞く者は寝ている。だからいいだろう、と自分に言い聞かせるように、ほんの少しだけ声を落とした。*
温かいコーヒーを飲めと言ったのに!私の命令を拒否して…!!冷めてるじゃないか!!…全く。…まぁ、許してやらんこともないか。
*ふわり、とキャビネットの上に移動する。巡回報告の書類を、デスクの端に――キーボードを占領していない僅かな隙間に、丁寧に置いた。起こさないように。*
終
まぁまぁまぁまぁ…上手いんじゃね?(自画自賛)
TOASTER
181
コメント
1件
わああ…!読んだ読んだ!これめっちゃいいやつだ!!😭💕✨ narratorの「家族だ!!家族!!」からの早口で動揺隠すとこ、完全にツンデレのテンプレじゃん!でもそれがキャラにハマりすぎてて最高…!!Commanderが「ツンデl」って言いかけた瞬間の「黙れェ!!」もエモすぎたし、最後寝てるCommanderの帽子直して「許してやらんこともないか」って呟くnarrator…クソ萌えポイント詰めすぎ!!💥💥 TDSネタも、廃墟の舞台装置も、二人の距離感がじわじわ縮まってく感じも、ぜんぶ好き!!続きマジで待ってる!!🌸