テラーノベル
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村に一人、祝福された子がいた。名をエナという。
生まれたときから、周囲の人間が少しずつ良くなる子だった。
病人のそばにいれば熱が下がり、
不作の畑に立てば土がやわらぎ、
泣く子を抱けば理由もなく泣き止んだ。
奇跡の子。
神の贈り物。
村は彼女をそう呼んだ。
エナ自身は、ただ人が好きなだけだった。
笑う顔を見るのが好きで、
手を引かれるのが好きで、
「ありがとう」と言われるのが、何より好きだった。
それだけだった。
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