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選択ゲーム ┊︎ 葵 星 。
第1章 人生は何エンド?
「…みんな幸せに暮らしましたとさ。」
昔話はいつもこれ。
いわゆる、ハッピーエンドと言うやつ。
人間の人生はハッピーエンドとバットエンドを自分で選択出来る、ゲームのよう。
家族に愛されていたり、楽しいと思えたらゲームクリア。
いじめにあったり、孤独のまま死んだり、自殺したらゲームオーバー。
「私ってハッピーエンドになるのかな。」
特に愛されてる訳でもないが、いじめられてもない。
生きたいとも思わなければ死にたいとも思わない。
ただ周りに合わせて、なんとなくで生きる。
友達は違う。
自分で新規プロジェクトを立ち上げて見事成功に導いた。
その姿を真横で見て、正直に「すごいな」って思う。
でも、不登校の子もいる訳で。
「死にたい 」とも言うし、検索履歴は「楽に死ねる方法」とかばっか。
でも結局は死ねないんだって。
自分の感情が無くなったのは何時だっけ?
ゲームには、セーブモードがある。
そこまでの履歴を預かってくれるモード。
再度ゲームをする時はセーブデータから始められる。
人間にはそんな高性能な機能はなく、本当に大事だと思う事しか覚えられない。
…私の場合、家族は重要ではなかったみたいだ。
小さい頃、無機質で明るすぎる蛍光灯の下で初めて息をした私。
ボヤーっとしてる視界から、微かに声がした。
「……この赤ちゃん、何?」
“赤ちゃん”とはきっと私の事。
喜びの疑問ではなかったようで、物心ついた時から母親と父親という存在を知らなかった。
みんなから「ママ」と呼ばれている見知らぬ女性。
「………ちゃん、おはよう」
名前だけがはっきり聞こえない。
最初は拒絶反応を起こして泣き叫んだ事も多かった。
でも、もう慣れた。
洗脳にかかったかのように、「この人はママ」と認識して、早7年。
もうすぐ中学生も終わる。
華のJKデビューにみんながワクワクしてる中、クラスで完全に浮いている私はそんな事視野にもない。
―ワクワクしてるみんなはハッピーエンドなんだろうな。
喜びと、楽しみと、ワクワクと、ちょっとした悲しみ、でぐちゃぐちゃになってる。
私の感情はただ1つ。
「誰にも気付かれず、静かに生きたい。」
迷惑かけずに、空気のように、静かに。
親の愛を知らない私に他の情はない。
この思いは、ハッピーエンド?
それとも、バットエンド?
目の前に選択肢が出てきた。
“このゲームの最初の選択肢です。
15歳になったあなた専用の選択肢。
どちらにしますか?”
▷ハッピーエンド
バットエンド
ここでゲームを終了する
…???
疲れてるのかな、とかどうでもいい理由をこじつけて目を擦る。
まぁ、自分で選べるなら、楽しそう。
じゃあ私は――
“承知しました。
では、人生2択ゲームのスタートです。”
第1章 人生は何エンド? 〜終〜
コメント
1件
「人生って何エンド?」というタイトルからもう引き込まれました。ハッピーエンドかバッドエンドか——それすらも自分で選べるゲームだという発想に、ゾッとすると同時に考えさせられました。特に「この赤ちゃん、何?」という母親の一言。あの無機質な蛍光灯の下で初めて息をした記憶の描写、あまりに生々しくて胸が締め付けられました。主人公が「静かに生きたい」と思うしかなかった背景が一瞬で伝わってくる。最後の選択肢が出てきたところで終わるから、続きが気になって仕方ないですね🤍