『私の右目は。』
私は、ようやく3ヶ月の新聞刷りを無事終えて、飛行機の学校へ進学しようとしました。
しかし、上手く行きませんでした。
「あなたのカメラワークは、とても綺麗だ。どうですか?テレビの特集を撮っていただけませんか?」
なんて、またナンパされてしまいました。
私は、
「飛行機の操縦をしたいのです。パイロットになりたいのです。」
と、何度も断りました。
でも、気づいたら、私はカメラの指導を受けていました。
「テレビのカメラはとても大きくて、繊細。動かすのをひとつ誤れば、壊れてしまう。1つ数百万かかるから、絶対に壊さないでください。」
なんて脅されました。
私は、様々なドキュメンタリー番組の映像を撮りました。
特に、夜の動物を映した物は、とても人気でした。
私も、夜の動物を、カメラで収めるのが、とても楽しかったのです。
でも、現代の様な技術が、カメラには備わっていませんでした。
私は、右目をレンズに押し当て、赤外線を使い、動物を映しました。
左目を瞑って、ずーっと、カメラの向こうのエゾジカを、映していました。
美しい映像を引き換えに、私は、右目の視力が減りました。
左目を瞑ると、真ん中が真っ黒くなり、端だけが微かに見える。そんな目なのです。
私は、とても視力が良かったのですが、右目だけ、それに伴って左目も、徐々に悪くなっていきました。
それでも私は、諦めませんでした。
例え、右目が見えなくても、いつか飛行機を、飛ばす。それだけを生き甲斐に、私は生きていました。
のりさんとぱぴさん
0ocojo0 grandmother and grandfather
コメント
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私の祖父は、今でも、自分の夢を追い続けています。死ぬまで、絵を描き続ける。それを生き甲斐に、今を生きています。 昔は、日本画になんか、興味がなく、飛行機を操縦したくてたまらなかったそうです。 私は、そんな祖父を、とても尊敬しています。憧れています。 そこで、私は問います。 あなたは、 自分の夢を覚えていますか? #歌野白鼬物語