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【 人物紹介 】
瑠優歌: 略称名るか 高専三年 校内を徘徊している穏やかで不思議な子 術式は共命操術を使う
家入 硝子: 高専専属の医師 五条の同期
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【 無垢な亡骸 】
東京都立呪術高等専門学校、通称高専。
医務室では家入硝子がなんとも言えない顔で常駐している。
『 死ぬならせめてきれいな死体で帰るよ 』
ひらひらと手を振って出ていったきり二度と聞けなくなるふわふわとした声を思い出しながら。
共命操術―自らの命を削り他人の命を救い壊す術式だった。
「実に興味深いものだよ。るかの体」
そう言うと彼女は儚げに笑う。
「まーねー。死んだら好きにさせてあげちゃう。」
瑠優歌は傷や病気を取り込み、自分に移すことが好きだった。
彼女がそれをしても死ななかった理由、単純に傷や病気に適応する能力が優れていたから。並の呪術師がギリギリ死なない程度の傷なら五人分ほど取り込んでいられるらしかったが五条によると痛みはそのままだそうだ。
「うわ。どうしたのさ、その傷。」
「まーね。色々あったんだよー。」
ふわりと笑う彼女の顔からは恐らく感じているであろう痛みとは対象的に苦しみが感じられなかった。
「…治してあげるから、おいで。」
「だいじょーぶ。自分で取り込んだんだから自力で治すよ。」
るかは頑なに私が彼女に反転術式を使うことを許さなかった。傷をなにかに移すこともしなかった。彼女は優しかったから。
ある日、五条に渡された死体はひどいものだった。
「毎回、こんなにぐちゃぐちゃになった死体、渡されても困るよ五条。」
「だって現地の状況がそんな感じなんだからしょうがないしょうがない♪」
戯けた言葉と五条を横目に、痛々しい死体を前にする。見るなり、るかは顔を歪めた。
「うぁ、うじ湧いちゃってる。」
五条が出ていったあと、少しして彼女は任務に出かけた。
「じゃ、行ってくるねー。できるだけ最速で戻るよ。」
私は彼女をいつもの調子で誂う。
「るかは自分が死なないっていう自信、あるんだ。」
「んーないかもっ。まー死ぬならせめてきれいな死体で帰るよ。」
るかはいつも通りいつも通り笑いながら出ていった。
るかは死んだ。当たった呪霊が強かったらしい。呪霊の死に方は異常なほど痛々しかったが、周りの呪術師は擦り傷一つなく、持病すらもなくなっていた。
五条はこう語る。推測に過ぎないが、彼女は傷を取り込み呪霊にぶつけた。彼女の体には莫大な負荷がかかり耐えきれなかったのだろう。そうでもしないと勝てない相手だったのか、周りの呪術師を助けるためなのかはわからない。と
私の手元に戻ってきたのは彼女のきれいな、無垢な亡骸だけだった。
―医務室に煙草の煙が立ち上った。
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