テラーノベル
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読み返すと甘酸っぱ要素全然無くて詐偽ですね
第三話 すれ違い
僕の目の前にいる彼女はひどく焦った様子で目を見開きながらこちらを見てきた。
「エッ?嘘!チェレン!?本物の!?どうしてここにいるの!?」
ベルが慌てながら後ずさる。
「ははっ…実は早く目が覚めちゃったから散歩に行くことにしたんだよ…」
「あっ、そうなんだ!私も同じでムシャーナと一緒に海岸に来たんだぁ!」
「そっ、そうなんだ」
「…」
「…」
気まずい沈黙が二人の間に流れていく。彼女と目を合わせようとしても、何処か違う方向に目線は泳いでいる。やっぱり…君は……
「…僕はもう帰るね。ポケモン達もそろそろ起きるだろうしね」
「!?」
沈黙を破るかのように僕はゆっくりベルに言った。ベルも僕といない方が居心地が良いと思うから…僕は深くベンチに沈んでいた腰を上げて歩き出した。振り返らずに、足元を見ながら。その時だった
「チェッ…チェレン!待って!そっ、その…一緒に途中まで一緒に帰っても良いかな…?」
嘘だ、一体君は何を考えているんだ。きっと気を遣っているのだろう、きっとそうだよ!それしか考えられない!僕の脳ミソが理解に追い付かない中もベルの目線の先は海の方しか見ていない。僕には興味が無いのだろう。
「チェレン…大丈夫?冷や汗が凄いよ…」
「あっ、あぁ!大丈夫さ。……ごっごめんベル!きっとご飯が食べられなくてムーランドがおこっ、怒っているかも知れないから、早く帰らなくちゃ!バイバイ!」
強引に話を切り上げて、僕はそのまま走りはじめた。胸が苦しい。涙が…何でだろう止まらないや。ベルが追ってくる気配は無かったので僕はそのまま走って家まで返ってきた。玄関の扉はいつもより重く、大きく感じる。目眩がする…気持ち悪い…
「ハァ…これからどうしよう…」
海岸にはまだベルが一人ムシャーナと一緒にいた。
「ハァ……ムシャ~ナ~~!!私、チェレンにヒグッ嫌われちゃったかもぉ~~!」
かすれた泣き声が海岸に響き渡った。
コメント
1件
やば、めちゃ尊い!!!