野球部のマネになり一ヶ月。やっと名前と顔が一致してきた頃、今日は雨がふっていた。
「そろそろ梅雨入りだね~」
「ですね」
「雨ふると湿気凄いから嫌なのよね」
「わかります!」
徐々に距離が縮まったマネージャのみんな、先輩達はとても優しい。
「今日の練習はここまで」
「ありがとうございました!!」
「お、終わったね」
「じゃ、片付けと帰る準備しますかぁ」
「あ、部室閉めるの忘れた!」
「あ、なら私行きますよ」
「えっ!ごめん大木さんいいの?」
「はい!」
「なら、お願いしようかな」
「じゃ、気をつけて帰ってね」
「はい」
「バイバイ!」
「また明日ね!」
「「お疲れ~」」
「お疲れさまで~す」
ガチャ
「これでよし」
「職員室に鍵返して帰ろ…」
グラッ
「っ…」
(薬きれたか…)
私は頭痛持ちである。そして貧血になりやすい体質だ…
「薬…」
(あ、今日でなくなったんだった)
「さいあく…」
(しばらく立てそうにないな…春達でも呼ぼうか…いや、練習後なのに悪いな…)
「仕方ない…」
(頭痛がひどい…落ち着くまでここに…)
「あれ、大木?」
「っ…御幸先輩…」
「大丈夫か?顔真っ青だぞ?」
「だいじょ、ぶです」
「大丈夫じゃなさそうだな」
「…」
「ん~…保健室は、もう先生いないか…小湊先輩に連絡…?」
「!」
「だめ、やめて下さい…迷惑かけたくな…っ」
「おい!」
「っくそ」
「おい!大木!聞こえるか?」
「っっ!…っ…っ、は、い…っ」
「今、小湊先輩達呼んだから」
「え、…なん…でっ」
「…あの人達がどれだけ心配してると思ってんだ…迷惑なんて思う訳ないだろ」
「っ…!」
(優しい人だな…御幸先輩も亮君達も…)
「「くるみ!」」
「先輩!」
「くるみは?」
「やっぱり、今日体調悪いのに無理するから!」
「あの時帰らせとけばよかった…」
「薬は?」
「も、ない…」
「えっ、先輩と春市わかってたんですか」
「伊達に幼馴染みやってるからね」
「これ、くるみの母さんからもらってた薬」
「飲んで」
「ん…」
コクン
「はぁぁ、御幸から連絡きたときまじで焦った」
「僕も兄貴からメールきたとき焦った」
「う、ごめん…」
「もー、迷惑なんて思う訳ないでしょ…」
「頼ってよ」
「う…ん」
「落ち着いた?」
「うん…」
「じゃ、帰るよ」
「うん…え?」
「御幸ー、俺らくるみ送ってくから先戻ってて」
「うす」
「くるみ立てる?」
「ん…しょ!?」
「あ、バカ!」
クラッ
「っと、大丈夫?」
「あ、ありがとうございます…」
「貧血気味なんだから急に立ち上がんなって…」
「わ、忘れてた…」
「…フラフラしてる…」
「大丈夫…!」
「はぁ」
フワッ
「え!?は!亮君!?」
「ん?何?」
「おろして!自分で歩ける!」
「そんなフラフラでよく言うよ」
「重いから!」
「はぁー…くるみが重い?」
「御幸」
「は、い!?」
「は!?亮君!?」
「落とすなよ、落としたら殺す」
「ッス、」
「…」
「どう?重い?」
「いや、これ…軽すぎじゃ?小学生並じゃ…」
「だって」
「うぅっ…」
「くるみまたご飯食べてないでしょ」
「うっ…」
「軽すぎ、しっかり食べてよね」
「善処します…」
「ん」
「御幸」
「あ、はい」
「春市、荷物」
「はーい」
「じゃ、帰るよ」
「大木、お大事に、またな」
「あ、はい…ありがとうございました」
「じゃ、行こうか」
「ん…」
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