俺の上司であるショッピさんは、基本的に他人に興味が無い。
彼が幹部に昇格してから早2年、まとめあげる立場であるショッピさんと、彼の部下が仕事以外で話している所を見たことがないくらいだった。
あのあとチーノさんが幹部になって、最初は賛否両論あったものの、彼の性格上すぐにうちとけていつの間にか必要不可欠な存在となった。
ショッピさんもそうだ。必要不可欠な存在だ。
でも、チーノさんと違うとこと言えば。
コミュニケーションが取りずらい、なんだよなあ
それに表情もいつも死んだような目をしてて何を考えてるか分からない
それがショッピさんの第一印象だった。
普段、俺たち一般兵は上司に訓練をつけてもらっている。
個別に自主練をお願いする事もよくあって、ほとんどが自分の直属の幹部に教えてもらう。
俺は、何となく前の配属先の上司であったゾムさんの所で教わり続けているが、ほかの一般兵がショッピさんに個別に稽古をつけている所を俺はまだ見た事がなかった。
ショッピさんは天才だ。基本的になんでもこなせる。
俺たち部下からしたらもちろん尊敬に値する事なんだけれど、近寄り難いオーラを感じる時も多々ある。
それに加えて、コネシマさんと大変仲がいい。
ああいや、仲がいいというか気に入られてるというか。
それ故だろうか、幹部になってから2年、未だにショッピさんのことを認めてない奴もいるみたいだった。
噂では、コネシマさんのコネでショッピさんは幹部にあげてもらった、とかうんぬんかんぬん。
「なんやお前、考え事してるとは随分余裕やな」
俺はその日もゾムさんに稽古を付けてもらっていた。
「ああ、すみません、」
とりあえず口を開いたが、この際だ、聞いてしまっても良いかもしれない、と思った俺は最近の”考え事”についてゾムさんに話をした。
「つまりお前はショッピ君が幹部なのが納得いってへんってことやな?」
「え」
そういう訳じゃないんです、なんて弁解する暇もなく、ゾムさんは冗談やってと言って笑った。
「にしても、ショッピ君部下から、天才だとかなんとか、そんな風に思われてんのや」
「それにお前、」
ショッピ君のそんな風に思っとったん、まだまだ半人前やな?
ああ、あの時ゾムさんが言ってたのはそういう事だったのか。
夜中の11時、本来なら仕事は終わったはずの時間に、ショッピさんは1人で近距離の稽古をしていた。
それも普段は絶対に見せないような苦しそうな表情で。
ショッピ君、ああ見えてめちゃくちゃ負けず嫌いやし努力家なんやで
コネシマに気に入られてんのもそういう所やし
まあちょっとだけコミュニケーション苦手なとこはあんねんけどな
まあ自分から話しかけんのが苦手なだけで、
別にお前らのこと嫌いな訳ちゃうと思うし今度話しかけたってや
「ショッピさん、接近戦の時ってどういう風に相手を交わせばいいんですか?」
その夜、初めて話しかけた俺の上司は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐにいつもの顔に戻った。
「…相手の隙を狙うだけです。というかあなたは俺よりも接近戦上手いじゃないですか」
まさか、俺のことを知ってくれていたなんて、しかも俺の能力までも知っていたなんて。
ショッピさんは他人に興味はないと思う。しかもコミュニケーションが下手だ。
だけどそんな俺の上司は、人一倍努力家で、負けず嫌いで、何より俺みたいなその他大勢の部下の事もよく見てくれている、最高の幹部だ。
うわぁ、頑張って貯めていたものがぁ……
まぁ、まぁ良いや
これも、没没没☆
没ばっかり☆
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!