テラーノベル
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この世界の住民にはみな「魂」が存在している。時に他者の魂の存在に自分の考え・感情、すなわち心が揺さぶられることも多々ある。
魂は目には見えないが確実に存在している。
初めて会ったのに他人のような気がしない、どこかで出会ったような気がする。
この街特有の現象で「よくある事」と言ってしまえばそれまでだが、こういったときに魂が見え隠れする。
己の心が強くなければ、魂に引きづられ心が揺れる。
越えられない境界線は、思ったよりも身近にある。
だから己の心を、在り方を、魂を鼓舞する。
─── 自分はこの街の警察官である。
─── 自分には大切な仲間がいる。
─── 自分には大切な同期がいる。
自分と同期の名前を口に出す。
自分に言い聞かせる言の葉は、潮風に乗って消えた。
街は相変わらず騒がしく、賑やかだ。市民と交流し、犯罪を取り締まる日常が続く。
ある日、魂を揺さぶられた相手は罪を犯し犯罪者となった。
犯罪を行わない市民だと信じていたのに。
魂が揺さぶられ、心はさざ波のように揺れる。
─── 自分はこの街の警察官である。
─── 犯罪を取り締まるのは仕事である。
─── 市民を守るのは仕事である。
一度や二度では無い。
繰り返し自分に言い聞かせる言の葉は、鎖となり己の魂を縛り付ける。
この世界の住民にはみな「魂」が存在している。
己の心を、在り方を強く持つ者のみが生き残れる世界。
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