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タイトル:「卒業式の日」
体育館の中は、卒業式の余韻に包まれていた。私は壇上の花が少しだけ萎れているのに気づきながらも、心がざわざわして仕方がなかった。隣の席にいたヒロが、何か言いたそうな顔をしている気がする。でも、私たちの間に特別な会話があったわけじゃない。ただの同級生。いや、少し違うかもしれない。……私の好きな人。
修学旅行の前、ヒロが私に相談してきたことを思い出す。
「瑠那って、どう思う?」
唐突にそんなことを言われて、私は息が詰まった。
「は?」
「その……告白とか、どうすればいいかなって。」
ヒロの目が真剣だったから、私は冗談でかわすこともできなかった。
「相手のこと、ちゃんと好きだって伝えることが大事じゃない?」
「そっか……ありがとな。」
その一言で会話は終わったけど、私は胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちになった。誰に告白するのか、なんて聞けなかった。でも私じゃないことは確定してて、なんか悲しかった、。
卒業式が終わり、クラスメイトたちと写真を撮ったりしていたら、いつの間にかヒロがいなくなっていた。気づけばひまりが、体育館の外でヒロと話しているのが見えた。高坂ひまりはクラスの人気者で、明るくていつも中心にいる子だ。
その光景を見た瞬間、嫌な予感がした。ひまりの顔が赤く染まっているのがわかったからだ。きっと、ひまりがヒロに告ったんだ。
私はその場から動けなくなった。終わったくね?ひまりってー告られて嬉しい人No.1じゃーん。心臓がどくどくと音を立てている。ヒロが笑って頷いたりしたらどうしよう……。そんなことばかり考えていたけれど、もう無駄な気がして、私はその場をあとにした。
ヒロは何か言い残して、ひまりから離れた。そして、私の方へ向かってきた。
「瑠那!」
私の名前を呼ぶ声が、周りのざわつきをかき消すように響いた。驚いて立ちすくむ私の目の前で、ヒロが息を整えるように立ち止まる。
「……ひまり、告白してきたんだ。でも、俺……」
ヒロの声は少し震えていた。おお、げっ。私はもう耳を塞ぎたくなった。…帰ろ。
「おめでとう。じゃ、帰るわ」
「待てって」
は?ひまりと成功したのに?こいつは浮気しようとしてるのか?
「俺が好きなのは、瑠那だ。」
頭が真っ白になった。今の言葉、本当に聞き間違いじゃないの?瑠那じゃなくてルカだったり、同じ学年の立花琉那じゃあないの?
「修学旅行の前に相談したの、覚えてる?」
「……うん。」
「瑠那に、どう思うか聞いたのは、俺が瑠那に告白したかったからだ。」
ヒロの顔は真っ赤で、声は震えているのに、その瞳だけは真剣だった。心の中にあった不安が一気に溶けていく。あ、これ絶対、私。
「私も……私もヒロが好き。」
自然に言葉が口をついて出た。言った瞬間、顔が熱くなるのがわかったけど、ヒロの笑顔を見たら、それもどうでもよくなった。
卒業式🎓️。一番の思い出。ヒロと繋がれたのが嬉しくて、嬉しくて。私はヒロが好きなんだなぁと感じた。