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side宮緒🩵
俺の発情期が明けてから数週間経った。
今日は歌番組の収録。
俺たちはメイクルームでヘアメイクをしてもらって楽屋に戻っていた。
🩵「MVぶりだなぁこの衣装」
💛「僕この衣装好きだから嬉しい!アクロバットしやすいんだよね〜」
白を基調として桜色のラインと緑色の飾りがアクセントの春らしい衣装。みんな少しずつ形は違っている。
アシンメトリーになっている裾をふわりと靡かせ、歩きながらくるくる回る天音薫…かおるんが可愛い。ご機嫌なかおるんを見ながら5人で楽屋に待機しに戻る。そう、5人である。
俺、ゆき、奏汰、ゆーご、かおるん。あと2人はというと…
❤️「メイク終わったよー」
奏汰が楽屋の扉を開ける。
🧡「なぁもういいやろ!?」
その途端に飛んできた関西弁。
奏汰の後ろからひょっこり顔を覗かせるとそこに見えたのは色とりどりの花が咲いた甘栗色の頭。そしてそれを激写する黒髪メガネイケメン。
💚「まだもう少し…」
🧡「もうしつこいて!?何枚も撮ってるやろ!?」
💜「まーたやってんのか…」
甘栗色の頭の彼…日向理玖が動き始めたところでゆきがスマホを没収した。
💜「そろそろやめてやれ。動いてセット崩れたら元も子もねぇだろ?」
💚「それは確かに…失礼しました」
ゆきの言葉におとなしく下がったのはアルカンシエルのスタイリストこと高坂遥実。
🧡「あ!おかえりなさい!」
💙「今日も綺麗なセットだね理玖くん!」
💛「やっぱ流石だなぁハルくん…変態っぷりは変わらないけど…」
💚「研究熱心と言ってくれとありがたいかな」
そう言いながらも褒められて嬉しそうと言うか、自分のスタイリングの実力をたしかめられて達成感に包まれるハルくん。
この2人はガーデンバースである。
りっくんは花生みで髪の毛には色とりどりの花を咲かせる。生み出す花は気分によって変わるらしい。本人は綺麗な顔をしていて黙っていれば本当に人形みたいで芸術品。立てば牡丹、歩く姿は百合の花ってこの人のことを言うんだろうなって思う。黙ってればね。
りっくん自身、ザ・関西人って感じの関西人だからすごくおしゃべりだし声は大きいしうるさい。
うちのバラエティ担当でもあるし。
それでも花生みの中でも最高級の美しさと言われるくらい綺麗な花を咲かせるから海外のファッションショーに呼ばれたり、雑誌の表紙になることも多い。
そんな彼をスタイリングするのが花食みのハルくん。高身長で黒髪、メガネの奥の切れ長の目がかっこいい。ふつーにしてればすごくイケメンなんだけど…
💚「やっぱり理玖の生み出す花は世界一…何度見ても、何度スタイリングしても飽きない…」
さっき撮った写真にうっとりしている姿は変態じみている。
りっくんのヘアメイクなどはすべてハルくん。花食みは何かの才能に秀でていることが多いというけれどまさにハルくんはそれ。りっくんに限らず俺らグループもスタイリングしてくれるけど本当にセンスの塊。衣装作りまでするのこともある。
メイクもそこんじょそこらのメイクさんより全然上手い。彼自身のヘアメイクも自分でしてる。
俺たちもライブのときとかはハルくんにメイクをしてもらうこともあるし、新曲の衣装とかは彼が関わって決めている。
🧡「まぁでも…せやな、今日もキマっとる」
💚「自分がセットしてるんだから当たり前。」
今日はそんな花を愛し、花に愛されている2人のお話。
ー撮影終わりー
side理玖🧡
💛「理玖くん!この後ご飯行きませんか!」
衣装から私服に着替えてるとかおるんがそう誘ってくれる。
天使のような可愛い年下メンバーのお願いはなんでも聞きたくなる。
でも今ダメなんよなぁ…
🧡「かおるん行きたいんやけどなぁ、今食事制限とかしててダメやねん…」
💛「はぇ〜!あれの為か!」
💚「そう、あれの為。薫くん悪いけど他を当たれる?」
💛「はーい。また終わったら行こ!」
ブンブンと手を振ってかおるんは奏汰と勇吾をさそって帰って行った。
ええなぁ俺も行きたい。
💚「今行きたいとか思った?」
🧡「うぐっ…!心読んだんか!?」
💚「顔に出てる。ついでに花にも。」
本当にハルには隠し事ができない。
ハルは俺の頭の花の状態で大体の体調とかを把握しちゃう。ついでに顔に出てるらしい。
🧡「まぁしゃーないわ」
💚「あと少しだからね。百花祭。」
百花祭。美しいガーデンバースたちが集い、その美しさを披露するファッションショー。
僕たちは主催の指名と事務所の指示でこれに出ることになった。
そのショーに向けた準備として食事制限や体調管理が現在行われているのだ。
ちなみに部門は花生みとそれをリードする花食みのペアで歩くペアガーデン。
僕とハルはブートニエールじゃない。でもきっと僕を出すならハルがスタイリストとしてついてくる。なら所属アイドルであるハルも出してしまえという考えで出るのだろう。
睡眠時間、食事など全て高坂遥実…ハルの管理下に現在ある。
ハルは元々花生み専門のスタイリスト一家の生まれ。最初は自分もその道を辿ろうとしていたがタレント経験を積んでスタイリングに活かしたくてアイドルになったらしい。
花食みらしく才能に溢れてるし、ダンスも歌もやったらそれなりにできてしまうところがすごい。
スタイリングも他のメイクさんたちにやってもらうより上手いし自分を活かしてくれる。
メイクが終わると写真撮影大会になるけど、正直ハルがメイクをしてくれる時間は好き。
花食みは本来、僕たち花生みが咲かせる花を食べたり体液を摂取するいわば捕食者だ。
僕だってハルと出会う前は花を得たいがために多数の花食みに目をつけられ、食べられかけたこともある。
でもハルはこの花を食べるためではなく愛でるために自分で手入れして綺麗にしてくれる。
それが好きだ。メンバーとして、そして…
🧡(やっぱり好きやなぁ…)
この感情を口には出さないが僕はハルと一緒にいたい。メンバーとしてでもいい。花生みだからでもいい。
彼が手入れする花は僕だけが良い。
side遥実💚
💚「理玖、もう少し顔あげて。」
🧡「はーい」
百花祭が迫る。今日は久しぶりにウォーキングの指導をしている。
と言っても理玖は1年ほど前に海外のファッションショーに出たりしてモデルウォークに問題はない。今もほぼ完璧である。
💚「流石に問題はないし当日も大丈夫だと思う。」
🧡「姿勢の良さには自信あるしな!」
理玖は幼い頃に日本舞踊をやっていたらしい。そのおかげで姿勢も良く、指先まで所作が丁寧だ。ダンスにもそれが出てるし激しく動いても花が散らない。彼としては幼い頃からやっていることだから無意識だろうが、ここまで所作が丁寧な花生みはそういない。
馬鹿笑いをしたり関西弁でマシンガントークを決める姿からは想像し難いが七瀬くんが認めるくらい丁寧に踊る。
🧡「というかハルは大丈夫なん?」
💚「大丈夫かって何が?」
🧡「僕はまだしもハルはこういうショーに出てるイメージないやんか。歩けるん?」
💚「一応。理玖をエスコートできるくらいにはね。」
🧡「やんなぁ…僕を指導してる時点で大丈夫なのに聞いた僕がアホやったわ…」
俺の自分の心配をして欲しいものだ。
もうショーはすぐそこに迫っているし、花生みの花は環境の変化やストレスで状態が変わってしまう。今の理玖の花は非常にいい状態だからそれをショーに持っていきたい。
💚「今日はここまでにするし、本番までもう日がないから体調と花の管理は気をつけて」
🧡「はーい」
緩い返事をされたが仕事に関してはストイックだから多分大丈夫だろう。多分。
まぁ変に夜更かししたりしたらそれこそ理玖をショーまで俺の家に置いておくだけなんだけど。それはそれでずっと理玖を眺められるからいいかもしれない。
ふふっと笑う俺に理玖は「怖いこと考えとる…」と若干怯えていた。
side理玖🧡
この日の舞台裏は色んな花の匂いがしていた。
女性から男性の美しい花生みたちがその美しさを披露するために着飾る。
僕たちはリハーサルを終え、本番準備のために自分たちの楽屋兼メイク室に戻ろうと歩いていた。
僕たちはゲスト枠という形での参加となるため個別で楽屋が用意されている。メイクはハル自身が全て手がけるため、楽屋兼メイク室となっている。
🧡「べっぴんさんばっかやなやっぱり」
💚「さすがガーデンの祭典って感じだな」
たまにキャアと女の子たちから歓声があがり、それに答えるようにニコッと笑って軽く手を振る。アルカンシエルの知名度が上がって、認知されているのを感じて少し嬉しい。
👩「えっ!高坂くんも出るんですか!?」
💚「ええ。ペアとしてお声がけ頂いたので」
いつのまにか隣にいたハルはモデルさんに捕まっていた。顔に見覚えがあるし、前に共演したことがあるのだろう。
声をかけられた以上無視はできないし。それにしても距離が近い。
👩「ペアってあの関西の?」
💚「はい。うちの日向です。」
👩「へ〜、あの子なんだ…」
あーやだやだ。上から下まで見られる。
宮緒ちゃんみたいな美人でもかおるんみたいな可愛さもない僕を見下してるんだろう。
ハルは背も高いしモデルさながらの体型と綺麗な顔をしていて、個人でも雑誌の仕事が多い。
お前じゃ釣り合わない。そんな目線を彼女から感じる。
ハルと並ぶことが多い僕は時々こういう目を向けられるから慣れてはいる。でもやっぱり釣り合わないと思われるのはきついものがある。
暗い気持ちになると花の状態が悪くなるし、咲くときに痛みを伴うから気持ちを沈めたくない。僕はその場を去ろうとした。
👩「ねぇ高坂くん今度は私のスタイリングしてよ!ね?」
そう言ってくっつこうとする彼女をハルはすっと避けた。そして僕の隣につく。
💚「すみませんが僕は理玖とアルカンシエル以外のスタイリングをお断りしているので」
切れ長の目を細めて綺麗な笑顔を作るハル。その笑みの中に少し怖さを感じる。
ハルはグループ外でメンバーのことを苗字で呼ぶ。それが外れている。
👩「男ばっかりってつまんなくない?たまには私みたいなモデルの方が楽しいでしょ?」
💚「いえ、僕は理玖自身の花の美しさに惚れて彼をスタイリングしてます。グループでは僕に委ねてくれるから自由にできる。それが好きなんです。彼らはガーデンでなくても十分に強くて美しい。」
あいにく女性には興味がないんです。
👩「でもっ彼はガーデンなだけでしょ!?グループだったら他に美人な子が…」
💚「何言ってるんです?理玖は花生みとして花の美しさは誰にも負けない。長身の宮緒くんや七瀬くん、勇吾は確かに魅力的ですよ。」
でも…彼女に口を挟ませないようにハルは落ち着きつつも続ける。
💚「バランスの良さは理玖が1番です。みーんなスタイルいいですけどバランスという点でいえば理玖は1番でしょう。何を着せても似合う。所作も綺麗だし姿勢もいい。海外のランウェイだって1人で歩いてますし経験は充分ですよ。」
ハルに褒められて少し顔が熱くなる。ここまでハルが本音を話すことは珍しい。
それにしても最後まで笑顔…いや目が笑ってない気がする。
さ、行こうか。とハルは僕を連れて楽屋に戻った。
side:遥実💚
久々にあった共演者は理玖を見下すように見てきた。どうあがいても理玖には勝てないのに。
馬鹿げたことを言ってきた。俺が理玖とアルカンシエルのメンバー以外のスタイリングをすることは絶対ないのに。
触れてこようとした彼女を避けて理玖の隣についた。女物の化粧品と香水の匂いがこの場では不愉快だった。
それでも何か言ってくる彼女には少し腹が立ったから理玖の素晴らしさを説いた。
隣の理玖は恥ずかしそうにしていたけど褒められたからか花の調子は良さそうだった。
🧡「ハル、僕のこと結構良く思ってくれてたんやな」
ニヤニヤと言ってくる理玖に呆れつつ安心した。
💚「いつも言ってるでしょう?理玖の花は天下一品の美しさだって。」
🧡「せやな!でもちょーっと怖かったで?目ぇの奥笑ってなかったし」
💚「そりゃアルカンシエルのメンバーのことも悪く言われたらなるでしょう?」
🧡「意外とハルはグループのこと好きよな…」
たしかに悪く言われたら僕も怒るわと理玖は言う。たまにメンバーと距離を置いてそうと言われるが俺は自由にさせてくれるメンバーが好きだし、特に奏汰くんは尊敬している。僕を拾ってくれたから。
💚「それじゃ準備しようか」
🧡「よろしく頼むで!」
さて、何故か変に自身のない世界一美しい花生みを綺麗に飾るとしよう。
誰よりも彼は輝く。
彼を飾るのはこの僕だけでいい。
輝くステージが見える。
隣の理玖はふーっと深く息を吐いた。緊張を絞り出すような行動はライブ前にもよく眼にする。
💚「緊張してる?」
🧡「するに決まってるやろ!そういうハルもちょっと表情強張っとるで?」
いひひっといたずらに笑う。
衣装とメイクとのギャップがすごい。
運営の方からの指示が入り、僕たちはランウェイの入り口に立つ。
💚「さ、行こう」
🧡「魅せたる。全視線奪ったろうか」
踏み出した瞬間、理玖のスイッチがふっと切り替わる。
蕾だった一輪の花が開いた。
花の名前はラナンキュラス。花言葉は「輝く魅力」。まさに今の理玖にはぴったりの言葉だろう。
今日の衣装は着物をテイストにした和装。理玖には橙色の着物にベージュの袴。その上には黒地に赤と橙色の和洋様々な花々が咲く羽織を着せた。俺は深緑の着物に灰色の袴、理玖と色違いの黒字に白の羽織。
耳にはお互い片方ずつ水引きのイヤリング。
俺は黒のハットを合わせたが、理玖には小道具として扇子を持たせた。
扇子を使って顔半分を隠し、その隙間から見せる理玖の目は目元に紅を引いているから妖艶に見えることだろう。
ここにいるのはいつもの関西弁を話している元気な理玖ではない。色気と愛らしさと儚さ、この世の美しさを詰め込んだような存在。
そのギャップに観客は目を奪われている。
理玖がふわっと笑うとキャアと声があがる。
自分のスタイリングは間違っていなかったと思わず口角があがりかけるがそれを抑える。
ランウェイの最先端に辿り着き、2人でポージングを取る。キャアキャアという歓声に嬉しくなったのか理玖は扇子でちょっかいをかけてくる。もう少しだけその色気を保ってほしい俺は扇子を奪って理玖と俺の顔を観客から隠し、耳元で囁く。
💚「もう少しだけ綺麗でいてね?」
🧡「ちょっ…!」
ニコッと笑って俺と理玖は帰って行った。
もしかしたらキスしたとか思われたかな?と思いつつ少し赤くなっている理玖をエスコートしていった。
帰ったら案の定、理玖に引っ叩かれた。
誤解されたらどうすんねん!!と。別にそれはそれで変な虫が寄らなくていいのではと俺は思ってしまった。
関西弁で話そうとなんだろうとやはり綺麗なものは綺麗なのだなと自分が全身飾った理玖をうっとりと眺めて写真を撮った。
後日
side理玖🧡
🧡「おはよぉさん!!」
❤️「理玖ぅ?ちょっとこい」
楽屋に入るとかなてぃーが俺の肩を掴んできて、中に連行された。そして幸哉くんと宮緒くんが座る正面に座らされる。
💜「お前…これどういう状況?」
🧡「え?ってあああああああ!!!!!」
タブレットに写された写真はこの前のショーのもの。しかも耳打ちされた時の…
側から見たらキスされているようにしか見えない。
💜「ブートニエールになるのは反対しないけど公表するならして、まず俺らにさぁ!!」
🩵「というかこれキスしてる?演出?」
🧡「キスしてないですぅ!!ほんまに!!耳打ちされただけで!!言うならハルにゆうてください!!」
幸哉くんに肩を掴まれ、揺らされているとハルが入ってきた。
💚「おはよーございます。」
❤️「おはよ。あ、ハル?あれどういうこと?」
💚「ん?」
ハルがタブレットを覗くと「ああ!」と手を叩いて「耳打ちしただけです」と答えて荷物を置いた。
それを見た幸哉くんは
💜「ややこしいことすんな!てめぇ!!!世間の目を考えろ!!!」
とハルに怒っている。隣の宮緒くんはそれをおさめるように「まぁまぁ未遂だし…」と止めている。未遂でもないんやけどな?
❤️「まぁ…そういうことならいいけど…見え方考えてくれよな?」
💚「変な虫つかないしいいと思うんですけどねぇ」
❤️「それはそうだけども!まぁネタとして消費されると思うからいいけどな!?」
🧡「ネタかい!」
🩵「インライやって否定しとけばいいかも?」
💜「そうだな、インライしろ。で、質問きたら否定しろ」
🧡「せやな!」
ちなみに後日インライしたら案の定これに関する質問が来たので否定した。否定したけどこの日のトレンドは僕たちのことがランクインした。このことでハルが少し事務所に怒られたのはまた別の話。
Profile
💚高坂遥実(26)
・身長:180センチ
・バース:花食み
・誕生日:4月16日
・趣味:ガーデニング、服のデザイン
アルカンシエルのファッション担当。
切れ長の目と口元のほくろが特徴的なメガネイケメン。脳内は花のことしかなく、花に関しては変態級の知識量を誇る。
父はデザイナー、母も花生み専門のスタイリストというファッション一家の生まれ。
ファッション関係の仕事が多く、雑誌での連載を持っている。
今のところブートニエールはいない。
実は兄、姉、妹の4兄弟の3番目。
🧡日向理玖(27)
・身長
・バース
・誕生日:8月29日
・趣味:お笑い鑑賞、日向ぼっこ
アルカンシエルのお笑い、バラエティ担当。
立てば牡丹、歩く姿は百合の花な美形だが話せば関西弁が飛んでくる関西人。
変顔、体当たりOKで本人的にはNGなし。
とはいえ最高級の花の美しさを持つのでモデルの仕事も多いが本人的にはバラエティの仕事が一番好き。根っこから関西人。
笑いすぎると全身花だらけになる。
兄がいる。