【 マウント 】
「すみません源先輩、ここなんですけど……」
「……………………」
「…源先輩?」
「蒼井にそうやって呼ばれるの違和感~。”家では”会長って呼んでくれるのに」
「はあ…、アンタもう会長じゃないですし、会社では別に会長がいるんですから仕方ないじゃないですか。」
「えー、でもー、」
「でもじゃないです。…というか、家ではとか言わないって約束でしょ…。」
「まあまあ」
「まあまあじゃないです」
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「蒼井、もう帰るの? 」
「はい、お先です」
「お疲れ様。今日の夜ご飯なあに?」
「うーん…。まだ決めてないです。なんか食べたいのあります?」
「僕が決めていいの?んー、ハンバーグがいいなあ」
「また時間のかかるヤツを…。検討しておきますね。」
「わーい」
……元々、二人は同じ家に住んでいることは秘密にしておこう、ということになっていた。しかし輝が上のようなやり取りをし続けた結果、部署内では二人が同棲、及びシェアハウスをしていることは、最早周知の事実となっていた。
そして、大半の人は輝が茜のことが好きなのを知っている。本人はバレていないと思っているが、言動と表情でバレバレだった。輝には多くのファンがいるが、茜のことを認めていないのはごく一部で、殆どの人が茜の人柄と輝の気に入り具合が故に、輝の恋を応援している。
……が、当の本人である茜は気づいておらず、それ故に同じフロアで働く者は日々もどかしい思いをしていた。
「あーおいっ」
「ぅわっ、!!…吃驚した、なんなんですか急に」
「いや、別に〜?…そういえば、今日のお弁当も美味しかったよ。いつもありがとう。」
「…アンタねぇ、ついこないだそういう言動は控えてくださいって言いましたよね?」
「え〜、そんな話したかなあ。」
「こんの…っ!!……はあ。まあ、予想は付いてましたけど。」
「あははっ」
ここまで読んでくれた人の中には察した人もいるだろうが、輝には酷いマウント癖がある。元はと言えば、輝が茜を好きなことが周りにバレたのも、このマウント癖が主な原因だ。
ことあるごとに自分と茜の繋がりを周りにアピールする。茜の事が好きな人々は、輝のマウント癖と、輝による度重なる邪魔のお陰で、告白することすら中々出来ない。
「あ、あの、茜くん…!その、今日の夜空いてたりとか、…」
「? 特に予定は無……」
「…ごめんね、蒼井は今日僕とおうちで映画観る予定なんだ」
「…今初めて聞きましたけど?」
「えっ、あ…、そ、それなら大丈夫、!また今度誘うね…、」
「………………」
「いや、ちょっと待って、何か用事があったんでしょ?大丈夫だよ、今日なら空いてるから、」
「あっ、いや、その……だ、大丈夫!大した用事じゃないから、!じ、じゃあね!」
「…アンタ、なんでそんな嘘ついたんですか」
「え〜だって、蒼井と一緒に映画見たくなっちゃったんだもん。ダメ?」
「…はあ…。今回はもう仕方ないにしても、今後はもうこんなことしないでくださいね!」
「…仕方ないな、今度からは控えてあげる」
「控えるじゃなくてやめろっつーの…」
…と、こんな具合に。
茜を誘おうとした時、告白直前、はたまた仕事を装って話しかけたときですら、あまりに良すぎるタイミングで輝が現れる。その癖告白する気配はないのがなんとも酷い。輝は茜を自分のものにするつもりはない、が、自分以外の物にしてやるつもりも無いようだ。なんともめんどくさい。
出来るだけ早く茜に気づいてもらって、振るでも付き合うでもしてもらうことが、輝たちの部署の人達全員の願いである。
コメント
7件
輝兄のマウント癖好きよwww社内のモブになりたかった…
鈍感な茜きゅんもかわいいよ♡♡((きもおぢ 本当に罪な男だわぁ、、輝兄の気持ちに気づくのはいつになるのかしら、、 ちょっと子供っぽい輝兄萌えすぎる、、