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了解。**角名倫太郎/夫婦/奥さん視点多め→途中から角名視点少し/甘め・不意打ちキスあり(健全)**で書くね。
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ソファに座って、何度目か分からないページをめくる。
艶のある紙。
光の当たり方まで計算された写真。
——そこにいるのは、間違いなく私の夫、角名倫太郎。
「……ほんとに同一人物?」
思わず小さく呟く。
雑誌の中の角名は、普段のダウナーで省エネな雰囲気なんてどこにもなくて。
シャープな目元、少し伏せた視線、無駄に色気のある立ち姿。
「かっこよ……」
次のページ。
「いや、こっちのカットも強すぎ……」
さらに次。
「待って、腕の血管やば……」
「……」
向かいのキッチンから、無言の圧を感じる。
「……なに?」
振り返ると、角名が冷蔵庫にもたれたまま、じっとこっちを見ていた。
「さっきから」
低めの声。
「俺のことしか見てなくない?」
「当たり前じゃん」
即答したら、角名の眉がわずかに動いた。
「だって、これ全部角名だし。
この雑誌、ほぼ“角名特集”でしょ?」
またページをめくる。
「この表情も好き。
あとこの横顔、反則。
ねえ、これどういう気持ちで撮ってるの?」
「仕事」
「それはそうだけど」
写真を指差して、真剣に言う。
「こんな顔、家でしないじゃん」
その瞬間。
「……それ以上言うとさ」
角名がゆっくり近づいてくる。
「な、なに?」
「ちょっと我慢切れる」
「え?」
雑誌を閉じようとした、その手首を軽く取られた。
「ちょ——」
次の瞬間、視界が暗くなる。
角名の影。
距離、近い。
「——っ」
唇に、柔らかい感触。
一瞬。
ほんとに一瞬の、不意打ち。
「……っ!?」
目を見開いた私を見て、角名は少しだけ満足そうに口角を上げた。
「雑誌の俺ばっか褒めるから」
「……急に何するの」
「嫉妬」
淡々と言う。
「俺の奥さんが、他人みたいな俺に夢中になるの、普通にムカつく」
「他人じゃないでしょ」
「写真の俺は他人」
そう言って、今度は額に軽くキス。
「俺は、ここにいる方の角名なんだけど」
耳元で囁かれて、心臓がうるさくなる。
「……雑誌、もう見ない?」
「見る」
「即答かよ」
でも、腰に回された腕は離れない。
「……じゃあさ」
角名が小さく息を吐く。
「見るなら、ちゃんと隣で見る」
「なんで?」
「不意打ち、またするから」
「それ脅し?」
「予告」
そう言って、もう一度だけ、今度は少しだけ長めにキス。
雑誌はテーブルの上に置き去り。
結局、ページはその先、進まなかった。
——モデルの角名もかっこいいけど。
こうして不機嫌そうに独占欲見せてくる角名の方が、
私はずっと好きだと思った。