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─真っ直ぐで ヒーローに憧れる一人の高校生が明るくて少し照れ屋な同級生に恋するをする─
そんなお話…
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季節は春を迎え、入学式が始まった。
あたたかい拍手と周りの視線を受けて歩き、自分の席へと座る。
春のふんわりとした日差しが差し込み、空いた窓の隙間から桜の花びらがひらひらと入り込む。
『─ご入学おめでとうございます。』
そんな言葉が耳に入る。今日から高校生になるのだ。新しいお友達を作り、新しい環境で勉強に励む。
それを楽しみにしていた。
長いお祝いの言葉を受け流し、まだ知らない校歌を聞く。
(俺は、今日からこの場で、またスタートするんだな)
心でそう思いながら、体育館から退場する。
クラス表が張り出されている掲示板を見つけ目を向ける。クラスは1年2組だった。
特に知り合いが同じ学校に入学した訳では無いため周りの顔を見るのは新鮮だった。
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何時間たっただろう。教室で説明を受け、一人一人自己紹介までした。さすがに、全員を一気には覚えることが出来なかったが徐々に覚えていくしかない。
色んなことを考えながら、ふと学校の正門近くにある桜の木に目が止まる。
(ん…?)
誰かが桜の木の傍にたっていた。上を見上げ、ただただ見つめていた。その姿は綺麗で自分もうっとり見つめていた。すると、その子が急にこちらを振り向き目が合う。
(っ…!)
綺麗な桜色の目と視線が合う。ふんわりとした髪型で少し短めな前髪が可愛らしかった。何となく照れてしまい目を背ける。
「名前、なんて言うの?」
頭上から声が降ってくる。明るく優しい声。
「花村 日向…だ!」
思わず大きな声になる。
その子は少しビックリしていたが、元気に答えた。
「俺はね、浅川 陽って言うんだ!よろしくね! 」
「あ、ああ!」
顔の温度が上がる気がした。
(しっかりしろ!…俺!!)
「…?どうしたの?」
「い、いや!なんでもない!!」
何とか誤魔化し心を落ち着かせる。
「お、俺は!1年2組だったんだが、浅川くんはクラスどこだ?」
「俺も同じクラスだよ!…ってさっきクラスで自己紹介したよ!」
「そ、そうだったか!すまないな、クラスのメンバーを覚えるのがまだ難しくてだな…」
「ううん、大丈夫だよ!」
発する言葉は少しぎこちない気がしたけど、浅川くんは普通に会話してくれた。
(なんだか…凄く感動だな)
「う、嬉しいぞ!!俺は!!!」
「わぁわぁ!?ハグは嬉しいけど勢い良すぎるって〜!!??」
「ふっははっ!!」
思わず相手へ飛びつく。じゃれあっていると近くに立っていた先生が声をかけた。
「新入生同士もう仲良くなったのかー?」
「はい!!!」
「威勢がいいな〜…そういうことにしとくけどね♪」
その後は、少し言葉を交わしたあと、互いに用事があるので家へと帰ることにした。
「また会おう!」
「はいはい…また明日ね!」
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家へ帰ったあと、今日の出来事を振り返ると、ぶわっと感情が高まった。
初めての友達。途中からつい興奮してしまっていたが、楽しかった。
明日からの学校が楽しみだ。
そう思っていた。
この時の俺は、楽しいことだけを考えていた。
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝