コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
光を辿って手を伸ばした…
気づいた時には身に覚えのない森に居た。
「ここ…どこ…?」
不思議だらけのことで頭がおかしくなっている。
辺りは何も無い。木々が生い茂っていて
鳥の声が聞こえるだけ。
道のような場所もないし、人工物のようなものもない。
「あれ…さっきの暗闇は..?それに…
芽衣の家にいたはずじゃ…」
記憶は夢のように不確かにしか残っていない。
とりあえず人が居そうな場所へと歩き出した。
「下りたら人いるかな…」
と思った瞬間目印のような紐が木に結ばれていたのを発見した。
「これ..!人がここを通ったって事だよね..!?」
思わず安心出来るような気がしてはしゃいだ。
紐も辿って見ることにした。
この紐は途中のものでは無かった。
ここが目的地だったのか、
それとも出発地点だったのか。
その2つの可能性がある。
「ハァ…ハァ…着いた…!」
山の坂はとてもキツかった。
ゴール地点には何やら一軒家が建っている。
安心したのも束の間、1歩踏み出してみると
「ズボッ!」
罠のような仕掛けがあった。
建物に見入ってしまっていて見えていなかった。
「きゃっ!な..何!?」
すると、建物の方から物音が聞こえる。
「ガチャ…」
扉の音が聞こえた…
(何かが来る…!?)
ひょいっと上から誰かが見下ろしてきた。
「なぁんだまた人かよ。」
「おいみんな!これで8人目だぞ!」
「…?」
一体どういう事なのだろうか。
「ほら、手、だせ。上がらせるからよ」
一見からして私と同い年ぐらいだろうか。
男の人でまさに熱血野球部な感じがする。
「あ…うん。ありがと」
落とし穴から上がると他の人達がこちらを見ていた。
「あっ!!」
突然大きな声で男性が叫んだ。
そちらの方を向いてみると私も
「あっ!」
芽衣がいた。
「もしかして加奈か!?」
「そっちは芽衣!?」
「なんでここに!?」
私と芽衣は唖然としていた。
「なんだお前ら。知り合いか?」
「同級生だが…なんでお前…ここに来たんだ…」
芽衣が暗い顔になった。
「なんでってそりゃ…学校来ないからプリント届けに行ったんじゃん…」
「そうか…」
「というかここ何!?どこ!?」
「あーはいはい嬢ちゃん、そういうことはこっちで話さしてもらおか。」
大人のような人だ。狐目で「狐」っていう言葉が頭に浮かんだ。
「あ、嬢ちゃん今俺の顔狐やなぁ、思たやろ?」
「えっ?あっ…」
「図星やなぁ。まぁええわ、こっち来ぃ」
「はい…?」
「芽衣…」
「ここの話をさせてから一緒に色々話そう。」
少し気まずい芽衣との対話だった。
「ここがウチらの基地や。」
「基地? 」
「まぁそれも兼ねて話すからよう聞いとれや?」
「はい…?」
全てが不思議で終わっていく…
「ここで話そか。ここは会議室や。室内をよーく覚えておくんやで」
「はい…」
「で、本題やけど、まずはそうやな…話すこと沢山あるしなぁ。」
「じゃぁ…質問していいですか…?」
「おう、ええで。」
「まずここはどこですか?」
「あー。それは俺らもよう分かってへんけど
まぁ扉から暗い場所に入ったのは覚えてるやろ?」
「扉…あ!あの暗い場所ですか?」
「俺らの言ってることが全員一致してるから多分、全員が同じ条件で、来とる。」
「はぁ…。」
ちょっと答えになっているのか…
「でも辿り着いた先は訳分からん場所や。
ここはずーっと森や。どんなけ歩いても景色は変わらん。異世界とでも行った方がええな。」
「異世界ですか…」
「次の質問あるか?」
「えーっと…ここから出られないんですか..?」
「まぁ今は無理やな。出方が分からへん。 」
「えっ…もうここで暮らすって事ですか..!? 」
「それが、そうともあらへんのや。」
「?」
「重要なことを言うでええな?」
「はい。」
私は唾をゴクリの飲み込み緊張している。
「まず…ここは誰かの手によって作られた異世界や。主催者がおるんや。」
「主催者…?」
「ここはデスゲームみたいな場所や。」
「デ…デスゲーム??」
「夜になると現実とは思えへん怪物が現れる。」
「そいつから生き延びて俺らは暮らしてるんや。」
「どうやら怪物を10体。10体倒せばここにいる全員は元の世界へ帰れることが出来るんや。」
「主催者ってここにはいないんですか?」
「居場所も分からへん。殴りに行こう思ても無理や。」
「でもどうやってその情報が…?」
「俺らの基地には1台テレビがある。そこから主催者が映し出されるんや。稀にやけどな。」
「今ってどのくらい怪物を倒してるんですか..?」
「聞いて驚くなよ?」
「は..はい。」
心臓の鼓動が少し早くなる。
「0や。」
「ゼ…ゼロ..??ですか…?」
「あぁそうや。怪物が強すぎるんや。」
「俺らには銃なんてもんはない。武器すらも渡されんのや。」
「えっ。なら一から作れって事ですか…?」
「まぁそうなんやが、一つだけ救済があるんや。」
「基地にある冷蔵庫から何故か何かが出てくるんや。1日3つぐらいやな。」
「は…はぁ…?」
増々不思議になってきた。
「しかも出てくんのはランダム。食料もでるし家具もでる。 」
「一番嬉しかったんは斧やな。」
「木を伐採できるからまぁ使わしてもらってるんやが…時間かかるんよなぁ…」
「で、もう一点注意して欲しいことがある。」
「この世界にも死はある。」
「死…?」
「ここはゲームの中みたいな感じするやろ?」
「死んでも復活とかできるから大丈夫ーとか、そんなもん考えるなよ?」
「考えてませんけど..??」
「そうか。ならええな。」
多分この人は考えてたんだろうなぁ。
「実際に俺は何人も死んでいくのを見た。」
「あの怪物に殺される姿をな。」
「怪物って毎回来るの同じ怪物なんですか..?」
「あぁそうや。」
「あいつだけは絶対に許さん。」
「話し終わったか?もう夜が来るぞ…」
私を落とし穴から手を出してくれた人が来た。
「あの…自己紹介だけでも…」
「ん?あぁ全員は出来んから明日にしとこな!俺は喜津音(きつね)や!」
(名前もキツネなんだなぁ)
「俺は北澤(きたざわ)だ!よろしくな!」
「私は加奈です!」
「もう会話は終わりや。隠れるぞ。」