入学式から1ヶ月が経った後。
最初は問題ばかり起きるんじゃないかと
心配だったが、今のところはクラスが全員揃わないぐらい。
『 齋藤雛は居るな。西条真..は今日も休みか。』
「 西条くんどうしたんだろうねー。 」
「 知らない。何か問題でも起こしたんじゃない? 」
西条の欠席の理由は誰も知らない。
担任の俺でさえ。毎朝、
連絡の電話は寄越さないし、
電話をかけても留守。
本当に問題に巻き込まれていたらと思うと、
心配で胸がいっぱいになる。
授業が終わり、
生徒達はとっくに下校している頃。
仕事が残っている職員達には
若干疲れが見えるが、
早く帰りたいが為に黙って手を動かしている。
俺も仕事が残っている職員の1人。
特に用事は無い為、丁寧に一つ一つ仕事を
終わらせて行く。
朱雨「 雪人。仕事終わッたんなら一緒に帰ろうぜ、」
『 嗚呼。構わない。あッ、悪い。西条の家に寄っても良いか?プリントをそろそろ届けないと、机からプリントが溢れる。』
朱雨「 良いよ、良いよ。特に用事もねぇしな!1人で帰ったら虚しいし、付き合ッてやるよ。」
日は沈み、少し静かな20時頃。
9月だと言うのにまだ夏の様に暑いから、
先程、学校の隣にあるコンビニであった
冷やされた緑茶を開け、ゴクゴクと乾いた喉に
潤いを与える。
朱雨「 あーあ、俺も何か飲み物買っておけば良かったな。凄い涼しそう。 」
『 一口飲むか? 』
朱雨「 …お前無意識でそう言ってんの? 」
俺は呆れた苦笑いを浮かべる朱雨の
言葉の意味が分からず、首を傾げた。
朱雨「 マジかよ…ッま、いーや!一口くれ、 」
『 あぁ。 』
朱雨と雑談しながらゆっくりと歩いていると、
表札に西条と書かれた一軒家についた。
遅いかと心配したが、
家には灯りがついている。最悪、
保護者か兄弟は起きているだろうと
インターホンを押す。
_ 西条家 _
インターホンが鳴ると、
西条真の兄、西条肇は舌打ちをすると、
鎖に繋がれた弟の頬を愛しそうに撫でる。
肇「真。ちょっと待っててなァ?」
そう狂気じみて笑って玄関へと歩いて行く
肇の背中を真は
希望を忘れた光の消えた瞳で見つめた。
朱雨「 遅いな…居るのか?」
『 1人ぐらいは居るだろ…嫌、電気つけっぱなしなだけか? 』
朱雨「 有り得るな。ッてか..この家、やけに生臭くね!? 」
『 騒ぐな。近所迷惑。…でも、確かに血の匂いがするな…何かが腐っているような匂いも… 』
朱雨と推理ごっこをしていると、
がちゃっ、と扉が開いた。
肇「 何方様ですか? 」
真の兄だろうか。
笑顔は狂気じみていて、
黒い服には血がうっすらついていた。
本能が此奴は普通の奴じゃないと語っている。
その場に固まっていると、
朱雨が俺の手からプリントをぐいっ、
と奪い、俺を軽く押しては
余裕そうな笑みを浮かべた。
朱雨「 今晩は!僕達、西条くんの通う学校の教師でして!プリントを届けに来ましたので、渡してくれますか? 」
肇「 あぁ。どうも。 」
朱雨はプリントを渡すと、真の兄らしき人の耳を引っ張り、何かを呟いていた。内容は少し離れていたせいで上手く聞こえなかった。
朱雨「 では!西条くんに頑張れとお伝えください!それでは帰りますので! 」
朱雨がそう言うと、
真の兄らしき人は黙り込んだ。
『 なぁ、朱雨。さっき何て言っていたんだ?』
朱雨「 内緒! 」
_ 家族を殺してまで
弟と2人っきりになりたかったんだな。
邪魔者を消したいからと殺すのは良いが、
コイツには手を出すなよ。
‴ 俺が始末するんだから。 ‴ _
こんな事を言っていたと初めから
分かっていれば、俺は朱雨を拒絶し、
隣になど立っていなかっただろう。
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