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⚠️夢小説・BL
地雷🔙お願いします
夢主の名前…さく
夕方。
部屋のドアを開けた瞬間、いむが眉をひそめた。
「さく……顔、赤い」
「ん、ちょっと熱っぽ…っい」
言いかけた瞬間、視界がふらっと揺れた。
倒れかけた俺の腕を、いむが慌てて掴む。
「ちょっ……危ない!!」
そのままいむに支えられて、ベッドに座らされる。
「無理してたでしょ」
「してない。ただの風邪だっ——」
「黙って」
普段より低い声。
怒ってるというより、心配が溢れてる声。
「さく、僕の前で強がるの禁止。具合悪いときくらい、僕に頼って」
言い切ると、いむはタオルを取りに走っていった。
戻ってきた手はちょっと震えてて、それが逆に胸にくる。
「ほら、横になって」
「いむ、そんな大げさにしなくても——」
「大げさじゃない。僕はさくのこと、誰より大事なんだから」
その一言で、逆らえなくなる。
横になって額に冷たいタオルが置かれると、いむが覗き込んでくる。
「……やっぱ熱ある。なんで早く言わないの」
「…風邪なんて滅多に引かないから、分かんなくて…」
「嘘。」
見抜かすような目で見つめられる。
こういう時は大体、俺の感情なんて鈍感のくせにお見通しだ。
「…心配かけたくないし、弱いとこあんま見られたくない…」
「あのねぇ…心配くらいさせてよ。さくの弱いとこもみたい」
そう言って、いむは俺の手をそっと握った。
「さくの手、熱い……」
そのままぎゅっと握りしめる力が、優しすぎて胸が苦しい。
「痛いとこある?」
「ない。熱だけ」
「喉は?」
「ちょっとだけ」
「わかった、じゃああとで飲み物持ってくるから。……寝るまで僕ここにいる」
「いむ、学校の課題……」
「知らない。さくのほうが大事」
即答すぎて笑いそうになったら、
いむが不安そうに覗き込んでくる。
「……笑う元気あるなら大丈夫だけど。でも無理はしないで」
いむは枕元に座って、俺の髪をゆっくり撫でた。
「さく、寝るときこうやって撫でられると落ち着くよね?」
「……なんで知ってんだよ」
「知ってるよ。だって僕、ずっとさくのこと見てるもん」
反則みたいな甘さで言うな。
「いむ、近い」
「近くにいる。心配だから」
そのまま膝の上に手を置いて、俺の額にそっと口づけた。
「早く良くなって。さくが元気じゃないと、僕も元気出ない」
「……ほんと、優しいよね」
「優しくない。当たり前。…さくは僕の……一番大事な人なんだから」
声が少し震えてる。
「怖かったんだよ。倒れそうになったとき、ほんとに……心臓止まるかと思った」
その言葉に、弱ってた分だけ刺さる。
俺は手を伸ばして、いむの袖を掴む。
「…どこにも行かないよ」
いむは俺の枕元に身体を寄せて、
手を握ったまま額に頬を寄せるみたいにくっついた。
「寝てもいいよ。起きたときも僕いるから」
その声があまりにも優しくて。
その体温が近すぎて。
俺は安心しきったみたいに目を閉じた。
「……いむ」
「ん?」
「ありがとな」
手を握る力が少しだけ強くなる。
「さくが元気になるなら、なんでもするよ。だから……早く良くなって。僕のためにも」
最後の言い方が甘くて、くすぐったくて、
そのまま静かに眠りに落ちた。