テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠️地雷な人は注意!
⛰️×🚬です。
今回は(またしても)少しシリアスめ。
🚬視点のつもりです。
※交際済
※同棲設定
大丈夫な方のみどうぞ ↓
ーーーーーーーーーーーーーーー
昼下がりのリビングに、薄いカーテンの隙間から太陽光が差し込む。
ついているテレビをぼんやりと見ながら、ねっぴーは今日のこの後の予定を考えていた。
「(久しぶりにもとくんと二人でゆっくり居られる日だし、何処か行ってもいいかもな)」
何処に行こうか、この辺ってなんかあったっけ?、まあなかったらなかったでいつも通り家でゲームするでもアリかもな。
そんな事を考えながら、
「なあ、山本」
そう声をかけようとした瞬間だった。
山本のスマホが鳴る。
タイミングの悪さに、ねっぴーは一瞬だけ顔をしかめたが、すぐにいつもの顔に戻した。
隣に座っていた山本がこちらをチラッと見る。
「出ていいよ」
短くそう言うと、山本は「ありがと」と小さく返して電話に出た。
聞こえてくるのは女性の声。会話の内容も、なんとなく聞こえてくる。
「え、今日?…急だなあ」
少し驚いた声。
それから、何度か相槌を打って。
「同窓会……あー、あいつらか」
懐かしそうに笑う気配。
ねっぴーは、それ以上聞かないようにテレビに視線を戻した。
戻したものの、どうしても意識は山本の方に向いてしまって、テレビの内容は頭に入ってこなかった。
数分後、通話が終わる。
「……どうしようかな」
山本がぼそっと言う。
ねっぴーは、ほんの一瞬だけ息を詰めた。
「行けば?」
できるだけ軽く、なんでもない風を装って言う。
「え?」
「久しぶりなんでしょ?そういうの。俺もこの後ちょっとやりたいことあるし」
嘘だ。そんな予定、何もない。
山本は少し困ったように眉を寄せる。
「でもさ、せっかく今日…」
「いいって。ほら、せっかく誘われたんだし」
自分で言っておきながら、胸の奥がじくっと痛む。
山本はまだ迷っていたけど、最終的には
「じゃあ、少しだけ顔出してくる」と言った。
「遅くならないようにする」
「うん、いってらっしゃい」
ねっぴーは笑った。
乾いた、軽い笑いだった。
ドアが閉まる音がやけに大きく響いた。
***
夜、八時頃。
リビングの明かりはついているのに、部屋の雰囲気はどこか暗かった。
テレビはつけっぱなしで、バラエティ番組が騒がしく流れている。
でも、ねっぴーはそれを見ても全く笑えなかった。ソファに寝転びながら、スマホをいじるでもなく、ゲームをするでもなく、ただぼーっとしている。
ふと、昼間の電話の声を思い出した。
明るくて可愛い、女の子の声。
「山本!」
って、親しげに呼んでいた気がする。
「(……仲、良さそうだったな。)」
そんなこと考えてる自分に気づいて、ねっぴーは小さく舌打ちした。
「はあ…」
情けない。ただの同窓会なのに。
いちいちこんなことでモヤモヤしてるなんて。
それでも、頭の中は勝手に想像を広げる。
久しぶりに会った高校時代の女の子と、楽しそうに笑っている山本。
笑い合う二人の姿は、側から見たら自分といるときより、恋人としてはずっと自然で。
——そっちの方が、いいんじゃないか。
ぽつりと、そんな考えが浮かぶ。
「……俺なんかより」
口に出してしまって、余計に虚しくなる。
綺麗でもないし、可愛くもない。口も悪いし、身長もでかいし。
どう考えたって、山本には、ああいう子の方が似合う。
「……山本も、その方が幸せなんじゃねえの」
自分で言って、自分で傷つく。
ぐるぐると、嫌な思考が止まらない。
その時だった。
ガチャ、と玄関の音がする。
「ただいまー」
思っていたより、ずっと早く聞こえた声。ねっぴーは驚いて体を起こした。
「……え、早くない?」
「うん、まあ」
山本は上着を脱ぎながら、少し笑う。
その時、ふわっと香りがした。
甘い、柔らかい匂い。
明らかに女物の香水の香り。
——ああ。
一瞬で、さっきまでの思考が全部蘇る。
ねっぴーは視線を逸らした。それでも、口は勝手に動く。
「……どうだった?同窓会」
できるだけ普通に。
「久しぶりに集まれたんだろ。楽しかった?」
山本はあー、と少し考えるようにしてから、
「まあ、楽しかったよ」
と答えた。
「久々だったし、いろんな人達と話したし」
「ほら、電話くれたあの子とかさ。結構話したかも」
その一言で、胸がぎゅっと締まる。
「楽しかったよ」
その言葉に、耐えきれなくなって——
「……へえ」
思わず乾いた、低い声が出た。
「でもさ」
自分でも止められない。
「それってさ、俺といる時より楽しかった?」
言った瞬間、空気が固まった。山本が少し驚いた顔をする。
それを見て、ねっぴーは自分が一体何を口走ったのか理解し、一気に顔が熱くなるのを感じた。
「いや、あの、違くて」
慌てて誤魔化そうとするけど、言葉が出てこない。
その前に、山本が口を開いた。
「いや、それはない」
「…え?」
きっぱりと、
「ねっぴーといる時の方が楽しいし、落ち着く」
まっすぐな声で。
「正直、楽しかったけどさ、なんか気は張ったし」
「こんなことならやっぱり断って、家でねっぴーとだらだらしてればよかったなって思った」
ねっぴーは目を瞬かせる。
「……というかさ」
山本が近づいてきて、抱き寄せられた。
「珍しくない?今の」
「え」
「ねっぴーがそんなこと言うの」
少し嬉しそうに目を細めて、
「…もしかして、嫉妬してくれた?」
と耳元で囁かれる。
その一言で、耳まで一気に熱くなる。
「っ……うるせえ」
顔を逸らすけど、誤魔化せてる気がしない。
山本はくすっと笑って、
「かわいいなあ」
と、あっさり言った。そして、
「ちょ、やめろって」
抗議する間もなく、頭をくしゃっと撫でられる。
「嫉妬したんでしょ?」
「……してねえし」
「してるじゃん」
完全に見透かされている。
でも、優しく撫でられる手が心地よくて、抵抗する気力が少しずつ抜けていく。
ねっぴーは小さく息を吐いた。
「…なあ」
ぽつりと呟く。
「やっぱさ」
山本が「うん?」と返す。
「女の子と付き合った方が、いいんじゃねえの」
言ってしまった。
「その方が、……普通だし」
声が少しだけ震える。
「俺なんかよりさ…」
最後まで言い切る前に、山本が軽く額を小突いてきた。
「誰と付き合うかは、山本が決めるよ」
真剣な声色だった。
「その俺が、ねっぴーと一緒にいたいって思ったから、今こうして一緒にいる」
「だから、安心して」
優しく、でも強く言い切る。
「俺、ねっぴーのこと大大大好きだよ」
「今までも、これからも」
まっすぐすぎるその言葉に、胸がじんわり熱くなる。肩の力が抜けたのが分かり、そのまま自然と山本にもたれかかった。
「……俺も」
小さく呟く。
「もとくんのこと、大大大好き」
「女の子の方が、なんて言っておきながら、渡したくないとか思ってたし」
自分でも呆れるくらい正直に出てくる。
「……でも、安心した」
山本はそんなねっぴーを見て、柔らかく笑った。
「そっか」
「安心したなら、よかった」
ねっぴーはコクッと頷く。
「…ごめん、さっき変なこと言って」
すると山本は首を横に振った。
「謝ることじゃないよ」
「むしろ、不安にさせちゃった山本も悪いし」
そして少しだけいたずらっぽく笑って、
「それに、こういう時はさ、ごめんじゃなくて…?」
と促す。
ねっぴーは一瞬考えてから、
「……ありがとう、もとくん」
と素直に言った。
山本は満足そうに頷いて、
「よくできました!」
と頭を撫でてきた。
「だからやめろって!」
ねっぴーは笑いながらその手を押し返す。山本もつられて笑う。
さっきまでの暗い雰囲気は、もうどこにもなかった。
つけていたテレビから、二人のやり取りを祝福するように、拍手の音が聞こえてくる。
今こうして、当たり前みたいに隣にいる温もりが、やけに愛おしく感じられた。
そんな何気ない二人の夜が、日常が、また続いていく。
これからも、ずっと。
#skm
き ゅ あ え り𝝑𝝔
339