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どうも皆様、サカナです
これ書いてるのバリバリに7月ですけど、クリスマス休戦のネタが降ってきてしまったので致し方ありません
クリスマスまで待つつもりでした
書くしかねえと思って待てませんでした
たまにはこんな英独帝があっても良いと思います
追記 私は何が書きたかったんだ
1914年の12月
その日は私にとって、思い出深い日となっている。
当時は第一次世界大戦の開戦から5ヶ月以上が経過し、両軍とも短期間の停戦は幾度かあった。
戦死者の回収、埋葬、塹壕の修復…これらの作業中は、暗黙の了解のように停戦していたと思う。
しかし戦争自体は続いているので、彼があんなことをするとは意外だった。
12月のあの夜、ドイツ軍側から手を振る人影が見えたのだ。
当時の私は精神的にやられていたのか、余裕のないことばかり考えていた。
何がしたいのか探っていたが、キラキラしたものが向こうから立てられたのち、私たち英軍は塹壕から這い出ることになる。
キラキラと光る小さなクリスマスツリー。
そういえば、今日はクリスマスだ。
そう思って、私たちは彼らに近づいた。
「ようやく出てきたか。警戒心が高いな」
「ふん…戦争中にあなたのようなことをする方がおかしいと気づきなさい」
最初に交わした言葉は互いに攻撃的なものだったが、握られた手は何か友情のようなものを感じる。
「今日はクリスマスだ。この日くらいは、敵も味方も関係ない」
微笑む敵国を見ることになるとは思わず、警戒していたのが馬鹿らしくなった。
「はぁ…そうですか。それで?わざわざ呼びつけるようなことをしていながら、ただの停戦だけですか」
「まさか。酒も煙草もある。中にはサッカーをしたいと言う者もいたし、小さな宴会でも開こう」
「…ふふ、あなたたちは馬鹿なんですか?わかりました。私たちの方からも何か持ってきましょう。一年の終わりまで争っていたいほど、私は野蛮ではありませんから」
戦が開始してから、初めて心の底から笑えた瞬間だ。
「いい趣味をしているな、イギリス。私もその酒は好きだ」
「へぇ、これをわかってくださる人にこんなところで出会うとは。あなたも飲みます?」
「いただこう。このビールも美味いぞ」
「では、一口いただきましょうか 」
飲み交わし、歌い合い、祝い合ったその日。
中には友を殺された恨みを持つ者もいたし、ここの地域以外はまだ争っているところもあったことは知っている。
酒を飲んで楽しんでいる場合ではないことも理解していた。
だが、そんな一幕くらいは許されてもいいように思うのだ。
張り詰めた状況に、少しの思い出くらい許してほしい。
明日を考えずに飲んだのは、今を含めてもあの時が最後だった。
…しかし、上官たちには許されない。
士気の低下は何より防ぐべき自体で、戦時中にあのようなことをするのはあり得ないとされてしまった。
私たちの微かな思い出すら、後には禁止行為となったのだ。
あれからはずっと緊迫し、張り詰め、吐くほどの緊張感が支配した。
彼と飲んだ酒は美味しかったな、そんな思い出を振り返った時、目の前にあるのは彼の亡骸。
戦は終わった。我々の勝利だ。
「…呆気ない」
その後、彼の双子の弟だというヴァイマル共和国に向けて、多額の賠償金をふっかけた。
経済が不安定になり、ハイパーインフレに苦しむことになったらしく、更には厄災ともいうべき最悪の党まで出来上がる。
私たちは彼らを追い詰めすぎたのか?
否、追い詰められたからやり返した。
…ただの言い訳にしか聞こえないかもしれないな。
激動の時代を乗り越え、私たちは今を生きている。
「今日はクリスマスですね、ドイツ帝国さん。私がまだ、 あなたが好きな酒を覚えているとは思いませんでしたよ」
あの時飲み交わした酒を墓石にかけながら、随分昔のことを思い出す。
「ドイツ帝国さんが1871年~1918年、ヴァイマルさんが 1919年〜1933年、ナチスが 1933年〜1945年…短命ですねえ」
この石の下には彼らが眠っている。
私とクリスマスの夜を過ごした彼も、墓の下だ。