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即座に答えたレイブであったが、未だ猫科の猛獣に対する恐怖が拭い切れなかったのであろう、視線を明後日の方に向けながら適当な感じで答えたのである。
「あ? あー、あああー、あれねぇ、あの子達ですよねぇ? はいはいはいっ! そりゃちゃんと面倒見るに決まっているじゃあぁ無いですかぁ~、こ、このレイブが請け負いますよっ! はいっ! お任せをぉ! ですから、ですからもう少し離れてくださいよぉ~、姉さん……」
だそうだ……
これはあれだな、皆さんの時代、令和の時代で言う所の猫アレルギー的な苦手意識的なヤツなんじゃあなかろうか? そう思える位のビビリ方に見えるが……
救出してからの七年間で慣れっこだったのだろうか? レイブの言葉に素直に従って顔を大きく離したキャス・パリーグは溜息と共に言ったのである。
『はあぁ~、それじゃ頼んだわよレイブ…… あの子達の獣奴と闘竜は明日以降にこちらに寄越しますからね? 良い? ちょっとアンタ聞いてるの?』
「あうぅぅ、あうぅ、食べないでぇ~」
『こりゃどうしようもないわね…… はあー、ペトラ、ギレスラ、アンタ達でしっかりフォローしてあげてくれるかしら? 頼める?』
『『アイアイサー!』』
『頼むわね…… じゃあアタシは帰るわよ、ちっ、全くぅっ!』
『は、はいっ、すみませんパリーグさん』
『おいっ、レイブっ! しっかりするのだレイブっ! レイブよっ!』
『はあぁ~』
特大の溜息だけをその場に残したキャス・パリーグが学院の本校舎の方向に歩き去ってしばらく後、ペトラの叫びとギレスラの呼び声に正気を取り戻したレイブは言う。
「ふぅ、んでパリーグ姉さんは何だって? 俺に何をして欲しいって言っていたんだい?」
どうやら何一つ覚えていないようである……
仕方無さそうな感じで竜と猪が簡潔に言う。
『あの子達の面倒を見て欲しいんだとさ、ついでにあの子達の闘竜と獣奴も明日以降こちらに来るんだと』
『うん、んであの子供達をラマスと同じ様に育ててあげれば良いみたいだよ? 獣奴と闘竜はアタシとギレスラお兄ちゃんが面倒見るからレイブお兄ちゃんはあの子供達の方を頼むわね』
勝手に錯乱していたくせにレイブは反省の欠片(かけら)も見せずに言う。
「ほおぉ、んでその子供たちはどこにいるんだい?」
ちょっとはしっかりしてくれよ! そんな私、観察者の嘆きとは一線を画した優し過ぎるペトラの声が答える、甘やかし過ぎだろ、全くぅ……
『だから、薪と食材を持たせて草原に向かわせたわよ! ほら、さっきレイブお兄ちゃん自身が言ったじゃ無いのぉ! 今日は歓迎の食事会をやるんでしょ? 覚えてるでしょ?』
「あ? そうだっけか? まあ、いいや…… 言ったんなら仕方ないよね、じゃあ行こうか、はあぁ~」
『『…………』』
勝手に妄想に耽(ふけ)り錯乱し、周囲を呆れさせた上で気楽に歩き出すレイブ。
異常者っぽい彼の後ろを只々無言で追う紅竜と漆黒の猪もまた、普通なら決してしないであろう事を経験し続けてきた存在であった。