みじかいです!
⚔️…「」
🦊…『』
※心中
ねえ、もう生きていられないや。
そう言い出したのは、どちらからだったか。
言ってから行動を起こすのに、そう遅くはなかった。
*
ふわりと甘く香る、死への誘い。
いつもなら乗らないであろうその誘惑に、負けてしまった。
まだ30数年にも満たない短い人生だけれど、もう僕たちは生きることに飽きていたのかもしれない。
ホテルの一室。
簡素なベッドがふたつに、テレビが1台。
洗面所とバストイレ、小さな冷蔵庫。
白塗りの壁と、清潔感のあるカーペット。
それだけ。
僕たちの終わりを、ここにすることに決めた。
これぐらいが、いいよねって。
いっせーので指さした先が、ふたりとも同じだったから。
「ねえ、死ぬんだよ、死ぬの、僕たち、今から」
『あは、そっか〜。…刀也さん、死後の世界って信じる?』
「まあ…そこそこはね。怖い?」
『怖くないって言ったら、うそになるけど。刀也さんと一緒ならいいや』
「ふふ、僕もがくくんとなら怖くないかも」
笑いあって、用意したそれを一息に飲み干した。
*
ぱちり、目を覚ます。
目先に広がるぼやけた白。
ああ、なんだ、ぜんぶ夢だったみたいだね。
すっかりひんやりとしてしまったきみに、精いっぱい笑って話しかける。
ねえ、きみのこと実は好きだったよ。…こう言ったら、きみはなんて言ってくれるのかな。
お願いだから、返事をしてくれ。
コメント
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どっちかわからないのもいいわー\(^-^)/