テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件
お読みしたよ〜!😭💕✨ 3話、もう完全に泣き崩れた…。ベリアンが主様見て涙ポロポロしながら抱きしめるシーンがエモすぎて胸がギュッてなったよ…!ラトがボサボサ髪で飛び込んでくるところも、200年以上待ってた執事たちの想いが溢れてて堪らなかった😢💖 主様が「ただいま!」ってにぱって笑った瞬間、もう私も一緒に泣いちゃったよね…。みんながそれぞれの方法で待ってたのが伝わってきて、本当に幸せな気持ちになれました!次も絶対読みます🌸✨
前世の記憶があると言えば、皆驚くのだろうか?
大きなお屋敷に18人執事たち、可愛い猫の執事もいたっけ。
毎日美味しい紅茶を淹れてくれたベリアン。
毎日私が食事するのを嬉しそうに見ていたロノ。
木彫りの人形を作ってはプレゼントしてくれたバスティン。
照れながらもエスコートを頑張ってくれたハウレス。
毎日私の長い髪を洗ってケアしてくれたフェネス。
一緒にお昼寝をしてくれたボスキ。
大きなお庭の手入れをしていたアモン。
調子が悪いときはいつも心配してくれていたルカス。
いつもたくさん笑顔をくれたラムリ。
たくさんの言葉で私を自信付けてくれたナック。
音楽とアロマで癒してくれたミヤジ。
素敵なドレスをたくさん作ってくれたフルーレ。
私をいつも守ってくれたラト。
いつもお酒を飲んで怒られていたハナマル。
しっかりもので忠義に厚かったユーハン。
ラッキーをお裾分けしてくれたテディ。
実の兄のように優しかったベレン。
素っ気ないけど優しくて義理堅いシロ。
もふもふであったかい、可愛いムー。
みんな、みんな、大好きだった。
しかし、現実というのは残酷で、学校では酷い虐め遭い、家庭では居ないもののように扱われた。
毎日、毎日、屋敷以外で食事など摂れず、ロノに作ってもらった弁当をぶち撒けられて掃除させられ、ユーハンに施してもらったスクールメイクに冷水を浴びせられ、フルーレにアイロンをかけてもらった制服にはゴミを投げつけられ、フェネスが大切にケアしてくれた髪の毛は切り落とされた。
もう限界だった。
屋敷の皆の優しさも踏みにじる虐めに耐えられなかった。
ある満月の夜、私は全てを捨てて死んだ。
指輪がきっと、私よりも主様に相応しい誰かに渡ることを信じて…
『……うそ』
そう、その異世界の屋敷とこちらを繋ぐ唯一の物が何故かまた手の上にある。
今生の私はごく一般的な家庭に産まれ、共働きで忙しい両親ではあるが夕飯を一緒に囲んで食べるし、学校でもそれなりに親しい友人ができて虐めとは関わりがない。
しかし、神様のイタズラとでも言うのだろうか、前世の私の姿形そのままに生まれ変わったのだった。
それが何故だったのか、今になれば分かる。
指輪は2度も私を選んだ。
それが答えであろう。
震える手で指輪を嵌めて、深呼吸。
私は懐かしい主の寝室へ。
そして懐かしい笑顔のベリアンが立っている。
「はじめまして、主―ッッ、し、失礼、しましっ…ぅっう…」
私の顔を見るなり形の良い眉をぎゅっと下げて、マゼンタの瞳からポロポロと涙を落とす。
『ただいま…ただいま、ベリアン』
甘えるように首に腕を回すと、もう離さないとばかりにキツく抱きしめ返された。
「ぅっう…っあ、ぁるじ、っさま!も、っう、あぇないと、おも、て、…ぅあ…ぁあ…」
ベリアンはもうまともに言葉を話せず、私を抱きしめたまま大泣きし始めた。
私はベリアンの気が済むまで泣かせてあげようと優しく背中を擦った。
ベリアンの泣き声を聞きつけて執事たちは主の寝室へ駆け込んだ。
そこには懐かしい髪色の少女とベリアンが抱き合って泣いている姿があった。
「まさか…!」
「いえ、そんなことは…でも…」
「あ、あるじさま…?」
執事たちは嘗ての主人とそっくりな少女を見て混乱する。
まさか、あの子が帰ってきてくれたのではないかと。
「ラト君!待ちなさい!!」
ミヤジの制止を振り切って部屋に駆け込んできたラトは、ボサボサの髪もボロボロの服も千切れた鎖もそのままに、ベリアンを引き剥がして少女を抱きしめた。
「あぁ、主様…やっと、やっと帰ってきてくれたんですね…
私、主様が帰ってこなくなってから随分おかしくなってしまって…でも、もう大丈夫です
これからはずっとここにいてくれるのでしょう?」
『ラト…ごめんね、辛い思いをさせて…』
少女はラトのボサボサに伸びた髪を指で梳いてやりながら優しく声を掛ける。
ラトが満月の日に落ち着くだなんて初めてのことで、ミヤジとフルーレは確信した。
MAKO
この少女は主様に違いないと。
「主様…帰ってきてくれてありがとう…っ本当に、心配したんだよっ…」
「主様っ!主様…っお、おかえりなさいっ!おかえりなさい!!」
2人は泣きながらラトごと少女を抱き締めた。
フルーレとミヤジが落ち着いて離れるが、ラトは少女から離れようとせず、後ろから抱きつくようにして満足そうにしていた。
少女はそれに困ったように笑うと、他の執事たちの方を向いてにぱっと笑った。
『みんな!ただいま!』
その言葉で殆どの執事たちが泣き出し、我先にと少女を抱きしめに行った。
ユーハンなどは泣きすぎて過呼吸になってしまい、倒れそうなのをハナマルに支えてもらっていた。
もみくちゃにされた主様が解放されたのは夕飯時をとっくに過ぎてからだった。
主は今まで不在にしていたことを詫びて、今は幸せに暮らしていることを報告し、これからは毎日屋敷に通うことを約束した。
「いや〜まさかさぁ、主様が帰ってきてくれるなんてなぁ」
「何回目ですか、ハナマルさん…まぁ、私もまだびっくりしていますが…」
「そうですよね!俺もびっくりしました!」
簡単な夕飯を皆で食べて、祝いの席だからと酒を出してきてどんちゃん騒ぎをしている中、ハナマルはしみじみと酒を片手に主を眺めている。
ユーハンは空いている酒瓶の数に眉を寄せ、ハナマルに水を渡した。
テディはつまみをもりもり食べながら嬉しそうに笑っている。
テディのこんな笑顔を見たのはいつ以来だろうか。
「主様が帰ってきてくださる、それがこんなに嬉しいだなんて昔の私達は知りませんでしたね」
「はい、当たり前に続くとばかり思っていました…」
「懐かしいねぇ…もう何百年前だっけ?」
「205年と163日ですね」
ナックが得意げに鼻を鳴らす。
「そっか、そっか、そんなに経つのか…」
「主様は必ず帰ってきてくださると信じて待っていた甲斐がありました!」
「本当にね、やっと皆が無理して倒れるループが抜ける…」
ルカスは苦笑いしながら疲労回復の薬をそっと触りながら笑う。
「主様〜!!僕お掃除毎日ちゃんとやってたんですよ!!」
ラムリは元気一杯に笑っている。
「ねー!ラトっち!ちょっとは主様から離れてよ!」
「嫌です♪」
ラトとラムリの主様の取り合いも、久しく見ていなかった。
「もう、おれがダメなヤツだからぁ、あるじさまがかえってきてくれないんじゃないかって、しんぱいでしんぱいでっ」
「あるじさまがかえってきてくれたんだから、もっとじしんをもて!おれだってどれだけしんぱいしたことか!」
「ヤバいっす、飲み過ぎっすね…」
「ZZZ…」
しんみりとボスキと飲んでいたアモンは勝手に膝を使って寝ているボスキの髪を整えながら、いつもはシッカリしているはずの2人が飲みまくっているのを見ていた。
2人は特に責任感が強かったから主が帰ってこなくなったのは自分たちのせいだと思い込んでいる節があった。
それがここまではっちゃけてしまったのだから、もう手が付けられない。
「ま、俺もこれからは本気で頑張るっすかね〜」
これからゆっくり依存してもらえば良いんだから、とほくそ笑む。
「おい!食った皿は下げてくれよ!」
「ロノ、おかわり」
びっくりするほどのスピードで皿を空にしていくバスティンと新しい皿をどんどん持ってくるロノ。
今日ばかりは喧嘩などする余裕もなく、新しい料理を配りに行ったり空いた皿を回収したり、食べ残しを全てバスティンが片付けたりと色々働いている。
「やっぱり主様の食ってる顔大好きです!」
「木彫りがかなり増えたから、見に来てくれ」
ふたりとも嬉しそうに仕事の合間に主と言葉を交わしていた。
「主様…」
「……ごめんね、主様」
右手をベリアン、左手をベレンに握られた主は謝ってくるベレンに不思議そうな顔をした。
「俺は…主様がもう帰ってこないってことすぐに認めて、待つことをしてなかった…だから…ごめんね…」
『ベレン…』
「私はずっと待っていました!きっと、きっと主様は帰ってきてくださると信じて、ずっと、ずっと…」
ポロポロとまた涙をこぼすベリアン。
そこに画材を持ってきたシロがどっかりと座り込んだ。
「おい、顔を見せろ…そのままだ、動くでない」
『…?』
シロは主の顔を見ながらすぐにペンを動かしてスケッチをしていく。
シロは主の顔を忘れまいとずっと肖像画を描き続けていた。
それの答え合わせを今しているのだ。
『みんな、ありがとう!私、今とっても幸せ!』
これからはたくさんここで笑おう、ここで幸せに過ごそう。
少女は二つの世界での生活を今度こそ幸せに描き直す。
玄関前に捨てられたちいちゃな黒猫が爪を立てて懸命に扉を開けようとしている。
「主様!僕も帰ってきました!開けてください!」
開かれた扉は未来への第一歩。
18人と1匹の執事とその主はこれから幸せに暮らすのでしょう。
めでたしめでたし。