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不思議の国に迷い込んだアリスの様にきょろきょろと周りを見渡す少女の姿があった。
「お母様…何処…」
少女は黒いワンピースの裾をひらりと舞わせて歩く。
「ん?あの少女…何かあったのかな?」
レインが彼女に気付きアルトに告げる。
「なんだか…様子が変ですね…」
そうアルトの言葉を飲み込むようにレインは少女に声をかける
「やぁお嬢さん、どうしたのだい?そんなにきょろきょろして…」
十三歳くらいの少女と二十五歳のレインが並ぶとまるで兄弟の様に見えた。
「あ、貴方は…?」
少し怯える様に少女は尋ねる。
「あぁ、僕はこの町の探偵。その名もレイン・フォート・フローライト…っ!!」
少し恰好を付けて云う。
「ちょっとレインさん、ふざけないでください…!」
軽くレインの肩を叩く。
「ごめんごめん、あ、君、名前は?」
少女に問う。
「わ、私…ローズ・フェルティア・ロードナイト…あ、あの…!」
ローズが何かを此方に訴えようとする。
「あぁ、お嬢様此方にいらっしゃった…!」
ローズの執事だろう。此方に小走りで向かってくる。少女の訴えを封じる様に。
「執事!あ、あのね…」
負けじとローズは訴える。
「お嬢様…ご無事で良かった…ん」
執事はレインとアルトに目を向ける。
「お嬢様、この方は?まさか誘拐された…?!」
と驚く。
「な、何故そうなるんだ…!」
アルトが執事に言う。