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ʚ ═══・୨ ꕤ ୧・═══ ɞ
仁也視点
ʚ ═══・୨ ꕤ ୧・═══ ɞ
真っ赤に燃える夕焼けが顔を覗き出した頃。
ni「…ふぅ。」
ni「ごめんな、やっちん。」
ni「にやめっちゃ久々に泣いたわ。」
ni「あ〜。もう帰らなあかんやん。」
ni「にやは、ずっとここいたいんやけどな。」
そろそろ、看護師さんあたりが帰宅を促すだろう。
ni「やっちん、また明日来るな。」
ni「今日も生きててくれてありがとおな。」
冷たい八彦の手に温かさを渡すように、一瞬力を込める。
それだけを言って緩慢な動きで立ち上がる。
病室の扉に手をかけた時。
ふわりと、一陣の爽やかな風が通り過ぎる。
『にーくん、いつもありがとう。』
バっと後ろを振り向く。
そこにはいつも変わらない、虚空を覗き込む八彦。
ni「やっちんありがとう。」
━━━━━━━また。しばらく前向けそうやわ。
毎日、仁也は八彦の病室に通った。
あの日以来。
八彦の声が聞こえることは無かったが、それでも『また、いつか。』を願って通った。
それから、1年後。
オカルト部の3年生だった、ローラン、史道、静葉部長が、学校を卒業した。
そこから仁也は高校三年生となり、勉強が忙しくなってきたものの、八彦に会いに行くのはやめなかった。
ni「あっつ〜!!!」
パタパタと勢いよく、八彦のいる病室に飛び込む。
ni「ほんまに外暑すぎん!?」
ni「いいなぁ、やっちん。ここめっちゃ冷房効いてるやん。」
慣れた手つきで、丸椅子をベッドサイドに持ってくる。
ni「あ…。」
ふと見たカレンダー。
今日の日付は━━━━━━━━━━━━━━━。
ni「やっちん、今日で2年やで。」
あの繰り返した夏の日。
瑠璃を助け出した日。
そして。
━━━━━━━━八彦を失った日。
ni「にや…。なんもできとらんやん。」
ni「瑠璃ちゃんには、にやがどうにかするって言ったのにさ。」
ni「にやは、“あの日”から抜け出せてへんねんやろな。」
じわりと目頭が熱くなる。
ni「やっちんはさ、どんなに不運でも前だけ向いて歩いてんのに。」
ni「にやは、いつもやっちんに頼ってばっかや。」
月代家に忍び込んだ時も、たくさんの犬に噛まれながらも『このくらいですんだ。』と笑顔を見せていたり。
ni「にやは、やっちんがおらんとダメみたいやわ。」
ni「にや、もっかいちゃんとやっちんと話したい…!」
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???視点
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目の前には、小さな緑の恐竜。
ほかにも、たくさんの人間では無い何かが踊り狂っている。
不思議なリズムの曲に合わせて、ワルツを踊る。
動こうとしても動けない。
喋ろうとしても喋れない。
そこに、小さな光がふよふよと漂ってくる。
思わず視線で追う。
それは、太陽を思わせるような
でも、明るすぎない赤色の光。
??『や…。…は、……がおら…と。』
震えるような。
勇気づけてくれるような声。
この声。
知ってる。
「にーくん。」
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仁也視点
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??「にーくん。」
ni「…ッ!」
病室の部屋の空気を揺らす声。
バっと顔をあげる。
じっと射止めるような瞳。
ずっとずっと見たかった瞳。
ni「やっちん…!!」
ぎゅっと抱きしめる。
ni「やっちん…!やっちん!!」
ya「わ…。仁也くん…?」
ni「そうやで!よかった…!」
ボロボロと涙を落とすが、そんなこと関係ない。
ya「仁也くん…。あの化け物は…?」
ni「タイムマシンで100万年後にぶっ飛ばしたで…!」
ni「やっちんが、100万年後のメモリのこと思い出してくれたからできたんや…!」
ni「ほんまにありがとう…!!」
ya「あのね、仁也くん。」
ni「どしたん、やっちん。」
ya「僕のこと、目覚めさせてくれてありがとう。」
ya「あの、変な世界から仁也くんの声が聞こえたんだ。」
青アザが薄くなった彼が笑顔を浮かべる。
ya「ありがとう、にーくん。」
恥ずかしそうに、はにかむ彼の笑顔。
この笑顔を何回みたいと、願ったか。
ni「にやこそ…!目覚めてくれてありがとお…!!」
ni「おかえり…!やっちん!!」
ya「ただいま。にーくん。」
𝐞𝐧𝐝ꔛ⋆☽
おかえりなさいませ。
いかがでしたでしょうか?
私はこんな未来があっても良いと思っております。
ほんとにふたりが『にーくん』『やっちん』と、呼ぶのが好きなんですよね…!
では、この辺りで。
ここまで読んでくださった貴方に最大の感謝を。
凛花