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天才すぎる!まじで清華さんが書いた物語、涙なしでは見られない( ߹꒳߹ )♡︎ 好きすぎる♡
ATTENTION
・君の愛(コエ)を世界に響かせて。と読みます
・春千夜愛され
・色々捏造
・千夜苦の元ネタとなった作品
・半年以上眠っていました。
「春千夜、任務、行くよ。」
そう俺に声をかけたのは灰谷竜胆。
仕事は真面目にやるし力もある良い奴だ。
俺は頷いて席を立つ
「今日の任務は、裏切り者の、スクラップ。」
ゆっくりと区切り話すのには理由がある。
その理由となるのは俺だけど。
「あ、春千夜〜!」
灰谷竜胆の兄、蘭が駆け寄ってくる
首を傾げると
「今日の夜、ココと鶴蝶と、竜胆の、えっと〜、」
「5人な。」
計算中の蘭に竜胆が突っ込む。
「そうそう、5人。」
「??」
「あ、5人で、ご飯、食べに行こ?」
外食なんて久しぶりだな〜と思いながら
少し微笑んで頷く
「よし……なら竜胆と、任務、気を付けて。」
そう言って蘭は自身の仕事机に向かった
俺、”三途 春千夜”は生まれつき
難聴を持っている。
そして俺には
が無い。
そのため、
幹部連中や俺の病気を知っている奴らは
ゆっくりと語りかけ、必要であれば
ノートやスマホを渡して、
筆談という形を取ってくれる。
自分で言うのもあれだが、
仕事は申し分無いほどには出来るし
No.2としての仕事もしっかりとこなしている。
商談が出来ないというのが欠点でもあるが。
「っし、お疲れ様…」
死体処理が終わり竜胆は着けていた手袋を外して
俺の側へ駆け寄る。
俺は竜胆の肩を3回小突く。
これは「おつかれ。」の合図だ。
「さんきゅ〜」
竜胆は朗らかに笑い、俺の手を引いて
車へと向かった。
車内で今晩の話をする
「春千夜、食べたい物、ある?」
俺はスマホを取りだし、メモに文章を打ち込む
運転中は見せることが出来ないので
読み上げ機能を使い、書いた内容を伝える
『オレハ、トクニ、タベタイモノ、ナイヨ』
スマホから電子音声が流れる。
「そかそか、なら、どこに、行こうね〜」
『カクチョウガ、マエニ、ソバ、タベタイト
イッテイタヨ。ダカラ、ソバ。』
「春千夜は、蕎麦で、大丈夫?」
『イイヨ』
「りょ〜かい。」
アジトに帰宅すると鶴蝶とココが
商談から帰っていた。
「おかえり。お疲れ様」
ココが竜胆と俺に声をかける
「お疲れ」
少し疲れた様子で鶴蝶が微笑む
伝えたいことがあり、ぱくぱく。と口を動かす
「!春千夜、スマホは?」
竜胆が俺のスーツのポケットを漁る
「置いてきたか?」
ココが席を立つ
恐らく1度戻った時自室に鞄を置いたから
その中に入っているのだと思う。
「とりあえず、これ使え、」
鶴蝶が自分のスマホを渡してくれた。
文章を打ち込み、鶴蝶に見せる
[きょうのよる、かくちょうのすきな、そば。
つかれてそう。だからげんきだして]
「!….ありがとな。元気でるよ。」
鶴蝶は俺の頭をゆっくりと撫でて微笑んだ
「あ、おかえりー!」
蘭が部屋奥から眼鏡を付けたまま
俺らの元へくる。
俺は蘭の眼鏡に手を伸ばす。
「およ、どした?」
その眼鏡を着けてみせた。
【可愛い好き尊い死ぬ無理尊い。】
などの言葉が飛び交う。
それが嬉しくてもっと口角が上がってしまった。
「好きだ〜」
と言いながらココが抱き着いてきた。
すると、【ずるい】などと言いながら
竜胆、蘭、鶴蝶も俺にくっついた。
そんな梵天の日々を何年もすごした。
4年後 いつものように皆で酒を交わしていた
そこで俺に異変が出てきた。
「いやー、最近仕事なくていいよね」
蘭がなにかペラペラと話す。
「それな、2年前とかクソ忙しかったし」
続けて竜胆が返答している。
早いと何を言っているのか分からず
頭が混乱してしまう。
まぁお酒の席ではいつもの事だから
慣れているけど。
でも今日は違った。
「ッッ……!ッ!!ッは……!」
呼吸が乱れて心臓が痛んだ。
目が熱くなって勝手に涙が零れてくるし
喉も焼けるように痛かった。
「春千夜!!?」
隣にいた鶴蝶が真っ先に異変に気付いた。
ココも鶴蝶の反応で異変に気付いたようで
席を立ち、俺の横に座った。
「春千夜、どうした、!」
「ッッッ〜!かッッ…..ひゅッッッ!」
「うそ、春千夜?!」
蘭が焦ったように声を震わせて叫ぶ
とにかく痛かった。体の全てが蝕まれるような、
崩れるような痛みに襲われ、
その後は意識を飛ばしたようだ。
「春千夜!!」
鶴蝶が春千夜の頬を軽く叩く。
「え、やばく、ね?」
竜胆は顔の血の気が失せていて
今にも泣きそうな表情だった。
「急いで帰るぞ。」
冷静を保っているココの指示で
急いでアジトへと帰った。
「春千夜大丈夫かな……」
4人で春千夜が寝ているベッドを囲む
翌朝 いつものように目を覚ました
「…………….」
体を動かす。
「!春千夜….起きたのか。」
布団に顔を埋めて寝ていたココが
酷く安堵したように俺の頬を撫でる
また再び、目が熱くなり涙が溢れた
「春千夜、どうした….苦しいか?」
首を振る
「ッは…..ん、春千夜、おきたの、どした…..?」
目を覚ました蘭が俺の背中を優しく撫でる
その後竜胆と鶴蝶も目を覚まし、
俺を宥(ナダ)めてくれた。
俺は東卍の頃から春千夜と顔見知りだが、
こんなに泣いているのは初めて見た。
大口開けて目を瞑って、天を仰ぐように
天井の方に顔を向けて。
それでもやっぱり声は聞こえない。
泣き叫びたいだろうに…..
叫んで助けてと言いたいだろうに。
苦しい、辛い。そう世界に伝えたい筈なのに。
「ぐすッ……ひく゛ッッ………..」
「少し落ち着いたか….?」
鶴蝶が涙を拭って問いかける。
ゆっくりと頷くと蘭が頭を撫でてくれた
「どちたの….?」
分からない。何故か涙が溢れてくるから。
20分ほど経っただろうか
「……」
「よしよし、もう大丈夫、だね……」
竜胆が優しく声をかける
この日はもう何事もなく一日を終えた
だがこの日を境に俺の体は変化して行った
次の日
「春千夜、会議室、行くよ」
ココが部屋に呼びに来た。
ベッドから起き上がり、部屋のドアを開けた時
目の前が真っ暗になって耳鳴りがした
「!!!ッ〜!」
音もなく床に膝を着くとココは慌てた様子で
振り向き視線を絡めてきた
「春千夜!!どうした!?」
【助けて】【苦しい】と口を動かす
「??苦しいのか?!どこが苦しい!?」
【身体中苦しいよ】と口を動かすも
読唇術は身につけていないため伝わらない
「ちょ、っとだけ待ってろよ……」
背中を撫でて早急に部屋を出る
「ッ………..!」
死ぬほど苦しい。喉がはち切れそうだ。
足も手も、指先までもが痺れて痛くて。
顔の筋肉も強ばって涙は出るし口も勝手に動く
痙攣しているのだろうか
意識も朦朧としてきたし
目の前が真っ暗で何も見えない。
まるで世界が消えてしまうかのように
「春千夜!」
蘭が駆け寄り、春千夜の体を抱える
「ッぅ゛〜」
「!?」
初めて声を聞いた、声というか…..君の音を。
「春千夜……どした?どこが、苦しいの?」
何も見えないから蘭がどんな表情をしているのか
周りには今誰がいるのかも分からない。
【ぜんぶくるしい】と口を動かしたくても
口が意志通りに動いてくれない
「….春千夜?見えてる?」
声の主は竜胆だ。
そして恐らく竜胆が俺の頬に手を当てた。
「やばいかもな。医療チーム呼ぶわ」
と鶴蝶が言った。
俺の周りには4人ともいてくれる。
それで安心して胸の痛みは少し落ち着いた
「春千夜〜、見えてるか?」
ココが問いかける。
落ち着いたおかげなのか、薄らと視界が良くなった
こくん。と少し頷く。
「春千夜、声出せたりしない?」
蘭が俺の目の前に顔を寄せる
「………..ッく….」
「!え、少し出てるね……」
酷く驚いた様子で竜胆が話す。
俺は自分の声は何も聞こえていない。
話せているのだろうか。
ただ、喉が震えて少し怖かった。
その後医療チームが検査をしてくれて
特に病気とかではなかったが、
ただ不安から来た症状だろう。と言われた。
あとストレス。
そしてそのストレスとかが負担になって
体に症状が出たとかなんだとか。
1ヶ月経っただろうか。
毎日のように俺はその症状に苦しめられていた
だが、12月の某日。
「春千夜、おはよ。」
4人が部屋に入ってくる。
まだウトウトしていた俺はゆっくり体を起こし
4人に近付いた。
「よしよし……」
と竜胆が頭を撫でる。
嬉しいからいつもと同じように微笑んだ。
すると
と春千夜から笑みが聞こえてきた
俺らは「え?」と言い固まっている。
「??」
春千夜は自分の声。自分の出した音に
気付いていなくて首を傾げている。
「春千夜…..?声出せる?」
蘭がそう言うから頑張って口を開く。
「……ッぁ〜……う、?」
「え゛……喋ったぁ!?!?」
4人が叫ぶ。
俺にはやっぱり自分の声が聞こえない。
それは難聴だからだろうけど、
本当に声が出ているのだろうか。
声帯が良くなって声が出るようになったのか?
「???」
「え、え、….あ、はるちよ。って、言える?」
興奮しているのか、竜胆はいつもより少し
大きな声でそう話しかけた
「?……….ぁ…..う…..、ぃ……?よ?」
「……」
ココが泣き出した
それに続いて、蘭….竜胆が涙を零し
鶴蝶は俺に背を向けて顔を押えて、
恐らく……泣いていた
俺には自分の声が聞こえないから
上手く話せているのか分からない。
綺麗な声が出ているのかどうかも……。
口はしっかり動いているはず。
だけど生まれて1度も声を上げていないから
感覚が分からず、言いたいことを言えているのか
分からない。
「???」
「春千夜、はるち、よ……」
ココが俺に泣きついて、頬に手を当ててくる。
「??」
「初めて、お前の声….きけた、」
「や……うぁ〜?ふゅッ……」
何か喋ろうと頑張ったが
言葉が出てこなかった
「赤ちゃんばぶばぶ??ほんと無理なに?え、喋った?喋ってる?えこれ現実???」
竜胆が何か言っている
「まじかわいい゛しぬんだけど……」
蘭は泣きながら悶えてるのかな?
早くて何も聞き取れない。けど
鶴蝶とココだけは冷静で、
【声、出せてるよ。】
【話せてる、良かったな。】
【無理は、するなよ…】
と優しく頭を撫でながら話してくれた。
「………..」
その後、みんなの情緒が落ち着いた時
【愛してるよ】と言われた。
愛してるを貰ったのは初めてだった。
だから俺も【俺も愛してるよ】と言いたかった
「ぁ….ぇ、も…ぁ……う、い…..ひ…ぇ…ゆ….ょ」
皆が優しく微笑んだからそれはきっと
『頑張って話してくれた』ことが嬉しいからで
俺は上手に話せてないんだと思う。
「ぁ……う゛….ぅ……」
もう一度言おうとしたけど
優しそうな瞳が少し怖くて
話せていないのが恥ずかしくて
緊張して泣いてしまった。
「ど、どした!?苦しい!!?」
切羽詰まった様子で蘭が顔を近付けてくる。
一生懸命に首を振ると
【そうか。】と言って鶴蝶がノートを渡してくれた
ノートに文字を記す。
はなせてるのか
わからなくて。うまくはなせるのかわからないから
こわくて、はずかしかった。
どきどきして、ないちゃったの。
ノートを見せると
【急かしちゃって、ごめんね。】
【話せてたよ。でも、ゆっくりで、いいから】
【無理しないで、慣らそうな….】
と落ち着かせてくれた
それから毎日話す練習を始めた。
武臣に声が出るようになったと伝えると
目玉が飛び出でるくらい目を見開いて
それで固まって、少したったら俺を抱きしめて
【良かった……本当に良かった】
と言ってくれた。
武臣は俺より千咒が大事で
俺を放っておくような兄だったけど
それなりに心配はあったようで、
すごい喜んでくれた。
「よし、じゃあ〜、なまえ。言って?」
今日練習に付き合ってくれるのは
竜胆と蘭。
「ぁ…..、ぅ…..ち……ぉ、」
「はーる」
「ぁー、ゆ」
「ちーよ。」
「ちー、ぉ」
「はーるーちーよ。」
「ぁー、う….ちー、ょ」
「昨日よりちゃんと言えてるね〜」
と竜胆が頭を撫でる。
嬉しい。
「ぇへへ…..///」
と自覚もなしに声を出す。
「はい優勝。」
とよく分からない事を蘭が言って
また練習に戻る。
「は、….ゅ……ち、、」
「よ、だよ….」
「ょ……」
「ん〜上手〜♡♡♡」
蘭と竜胆が俺に抱きついてくる。
暖かくて幸せな気分。
扉が開く音がして、そちらを向くと
ココと鶴蝶が居た。任務帰りだろう。
「ッ……ぉ、、ぁ….え……、、ぃ」
「はい優勝。ただいま。」
と蘭と同じで意味の分からないことを言いながら
ココが俺の横に座る。
「w……ただいま。」
そんなココに嘲笑し、鶴蝶が俺の頭を撫でる。
頭を撫でたら、今度は手がほっぺたに来て
すりすりと撫でてくれる。
そしたらココが俺にぎゅ。てしてきた。
ココのシャンプーいい匂い。落ち着く。
それから毎日こんな練習を繰り返したら
5ヶ月後
「春千夜、おはよう….」
4人が部屋に入り、蘭が俺の頭を撫でる。
「……おは…よ。」
「!え、声めっちゃ、出てるじゃん….」
「まじだ….」
「あ〜!!!」
自分の声を聞きたくて
力の限り大きな声で叫んだ。
「春千夜!?大丈夫!!?」
初めて……自分の声が聞こえた。
思っていたより女々しくて、可愛い声な気がする。
生まれて初めてだ。
初めて自分の生み出す音を聞いた。
だから勝手に涙が出てきた。
「春千夜!春!!どした!!」
叫んで泣いたから、皆は焦っているようで
俺になにかあったんだと思ってしまったみたい。
「ぅ……ぅあ゛ぁん…」
春千夜が赤子のように涙を流すと、
「!…..春千夜、自分の声。聞こえたのか?」
ココだけが理解してくれた。
それにより3人もそのことに気付いて
安心したように微笑んでくれた。
2回頷くと
「ん〜、良かった、良かった…..」
と蘭が泣きそう表情で頭を撫でた。
「ふぇえぇんッ…..」
「もう、我慢しないで、声出して、泣けるね」
と竜胆が優しく話しかける。
声を出して、声を上げて泣くのは
喉がつっかえなくてスッキリする。
今までは喉が詰まったように息も出来なくなって
だから殆どすすり泣くことしかしなかったけど
今はもうそうじゃない。
そう考えると涙と嗚咽が止まらなかった。
「ふき゛ゃあ…..」
春千夜が産声のような泣き声をあげた時
俺らの涙は止まらなくなった。
「声」を持たずに生まれた君が今、
「声」を持って再び産まれた。そんな気がしたから
天竺の頃から、そして関卍と
話さない君を見てきた。だから
ここ数ヶ月で話せるようになった事が嬉しい。
伝えたいことがあっても伝えられずに
苦しむ君を知っていたから。
だから声を上げて泣いてくれるのが嬉しい。
君の感情を世界に伝えているのが嬉しい。
「……ひっく….ぐすッ….うぅ゛….」
「頑張った、頑張った……、今まで、偉かったね」
と竜胆が泣き続ける春千夜を抱きしめて
優しく背中を撫でる。
何十分も経って、春千夜の涙は落ち着いた。
泣き声だけが響いていた部屋が
1度も静寂に染まったが、それを切り裂いたのは
と言う美しい声だった。
俺らのいる世界に君の声だけが響いた。
「は、はるち、よ….あいしてるって、いったのか?
俺らに、言ってくれたのか、??」
鶴蝶が涙を隠さずに俺に問いかける。
頷いて微笑むと、俺以上に4人が泣いた。
「ぁ、う……?ぅゃあ….ふゅ?」
【泣かないで】と言いたかったのだけれど
焦って変に口を動かしてしまった。
ちゃんと言えただろうか、
「可愛い無理無理ほんと無理….春千夜が話してる
どうしよう幸せすぎる……ほんとに、、」
竜胆が泣きながら饒舌に何かを話す。
この後は結局俺も泣いちゃって
5人で何十分も泣いた。一緒に泣いた。
俺は今までの分全部泣いた。
声を上げて泣いた。
【辛かった】【苦しかった】
そう想いを乗せて。
「春千夜〜!」
俺の名を呼ぶ声の方を向く
「おいで….」
4人が月明かりの下に立ち、
俺に手招きをする。
「らぁ、ん!りんど….ぅ!ここ!ぁくちょ!」
4人の名前を呼びながら駆け寄る
「春千夜〜♡」
皆が抱きしめてくれて、撫でてくれて
ほっぺにちゅーをしてくれる。
沢山愛でてくれる。
そして俺もこの世界に気持ちを伝えられる。
「うれ、し…..//なで、な…..で、すき」
そう言うと皆はもっと力を込めて撫でてくれる。
「愛してるよ、春千夜….」
桜の木の下、月明かりに照らされた4人が
俺に愛を伝える。
だから俺はね。
「あぁい!しーて、る!!!」
って…..
俺にも聞こえるように。
君の声が、今はもう世界に届く。俺らに届く。
君の想いを君の声に乗せて。
2022-1⁄24