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「おい、凪!練習行くぞ!」
「うん。」
御影玲王。御影コーポレーションの息子で総資産7000億越えの御曹司。そんなレオが正直なんで俺なんかに構うのかはよく分からないけど夢がどうとかW杯優勝だとかに俺の才能が必要らしい。「凪はさ、サッカー好きか?」
「サッカーは好きじゃない。めんどくさいし。」「そーか。でもお前さ、めっちゃ上手いんだぜ?」
サッカーはめんどくさい。あっちこっち走ったり、汗かいたり頭も使うし。めんどくさいことばっかりだ。正直何が楽しいのか全く理解できない。
「よく分かんない。」
レオは上手いって言ってくれるけどそれがどれだけすごいかよく分からない。今までスポーツはした事がなかったから尚更分からなかった。
「お前はそのままでいいよ。俺がパス出すからな。」
「うん。」
でもレオ、俺さ、最近パス待つだけでいいのかなってちょっと思ったりするよ。そっちの方が楽でいいし、レオもそれでいいって言ってくれるからこのままでいいけど、サッカーは11人でするスポーツだし、それでW杯優勝なんてできるのかなって。
「疲れたー。レオ、おんぶー。」
「はい、はい。」
レオは変わってると思う。こんなに俺を気にかけるし、めんどくさいこともやってくれるし。始めてだった。何かに誘われることも褒められることもこんなに必要とされることも宝物って言われることも。
「だからもう少し付き合ってあげてもいいよ…。」
「なんだよ?聞こえねぇーぞ。」
「聞こえてなくていいし。」
もし2人でW杯を優勝してレオの夢が叶ってもまだ一緒に居てくれるのかなって考えたら少し寂しくなってレオの服を握りしめた。
「もう着くからなー。」
「ねぇ、レオは夢が叶ってもサッカー続けるの?」
「あー、考えたことなかったな。多分続けると思う。そうなったら凪も続けろよ?」
「え、なんで?」
「そりゃ、お前は俺の宝物だからな。」
「めんどくさいよ〜。」
「お前な…。」
もし、W杯で優勝したらレオにありがとうって言おうかなって。俺をサッカーに誘ってくれて、一緒に居てくれてって意味で。