テラーノベル
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彼女との出会いは運命というロマンチックな名前には似合わないものだった。
「…は?」
「え?」
「いや、え?なんで?…は??」
「??な、なに?」
「えぇ??ここ私の家。」
「う、うん。」
「いや“うん”じゃなくて…」
「…」
「不法侵入……不法侵入…!不法侵入だ!」
余りにも突然の出来事だったから腰が抜けた。焦っている私を横目に目の前の変な奴は
「ふっふーん。そうだなぁ…私の名前は
「………」
ドヤ顔で見つめる少女と、腰が抜けて立てなくなった少女。
温度差で風邪をひきそうだった。
「ブヘックシュィーーーーーーン」
馬鹿なのか?まず本当に誰?知らん。何コイツ。
情報量が多過ぎて一気に整理できないでいるとまた目の前の奴が口を開いた。
「あはー笑ごめんごめん」
と照れ臭そうに頭をかき、手を差し出してきた。私はどうにも煽っている様にしか見えない。差し出してきた手を使う事なく立ち上がった。
身長は…私よりちょっと高いな。お?この時代にルーズソックスか?流行りは回るもんなんだなあ。なんだこのジャラジャラ。ブレスレット?顔は…
「えへへー笑そんなに見つめられると恥ずかしいなあー///」
なんだコイツ本当に。はっ倒すぞー
ん?この制服。ウチの学校の前の制服じゃん。先輩なのかな
「ねぇ何歳?」
「んー…15!!!!」
同い年なんだ。まあ上にはどう足掻いても見えないよね。て事は普通に前の制服を着てるだけか。まあ自分の学校は前の制服と今の制服、どっちでもいい決まりだしね。
「なんで私の家に居るの?」
そう!本題はこれだ!やっと出てきた。
「んー、運命の出会い!的な?」
「そんなロマンチックな出会いじゃないでしょ!運命舐めんなあ!」
「うーんごめんごめん」
と冗談ぽく笑いやがった。
「…通報するよ?」
目頭と瞼に力を入れ、声のトーンを落とした。なのに…
「え!つーほー?よく分かんないけど確かパトカーに乗れるんだよね!?やったー!てんちゃんそれ大好き!」
「はーーーーーー……」
目の前の問題児に頭を抱えた。神様はなんて試練を与えたのだろう。私をどれだけ苦しませれば気が済むんだ?
「ねぇねぇ!貴方の名前はー?」
「教えるわけ無いでしょ!?さっさと出てって!」
と強く背中を押し、“わあ!待って待ってー!”なんて可愛らしい声を出す不法侵入者を追い出してやった。
「はー、はー、…あ゛ーー怖かった。」
玄関の鍵を締めた所で私はようやく安心できた。
「お母さん居なくてよかったー」
私はスマホを手に取り、友達である杏奈のLINEを開いた。ちょっとだけ前のトーク画面を見つめ、口角が緩んだ。
【だからババアは脳みそないんだって】
【体の大きさに比べてちっさ過ぎる】
ふふっと声が漏れ出てしまった。そして新しくメッセージを打つ。
【なんか知らん人が家に来たんだけど】
思っていたよりもすぐに既読が付き、返事が返ってくる。
【なんでだよwwwwwwwwwww】
【知らんマジびびったわ】
本当に杏奈と話す事が心の安定剤だわ。最高。
【親居なかったからマジでよかった】
【あーね前私がお前ん所のババアに言わないで行ったら私が帰ったあとヤバかったって言ってたもんね】
杏奈は私のお母さんにもババアって言える程強かった。まあいい事では無いけど私は正直面白かったし、あの人の事を親だと思ってないからいいやって思ってた。
【うわ懐wwwお前のせいで壁破壊されたもん】
【野生の本能でてるやん】
【まあでも体じゃないからいいけど】
【まあね。痛いもんね普通に】
私は殴られた事はないが杏奈はあるらしい。親の地雷は本当に変な所にあるものだ。
そうやって時間が溶けていった。ふとスマホの時計を見るとあれから2時間が経とうとしている。
「うっわヤバー」
ふと辺りを見渡した。
畳まれていない洗濯物。ボウリングのピンの様にずらっと並んだカビたペットボトル。お母さんがオシャレの為に買ったのに、八つ当たりで床に叩きつけられた可哀想な雑誌←被害者)。昨日私に向かって投げてきた、クリスマスプレゼントで渡したマグカップ。
あーマグカップ懐かしいな。あの頃は詐欺にも引っ掛からず、お父さんも居て、お母さんも笑ってて、幸せだったなあ。
と、目に入った物に関わった過去を思い出した。
「でも…割れちゃったね。」
まあ暴力が無いだけマシってネットでも言ってたし!いっか!
「昨日のせいでめっちゃ荒れてんじゃーん」
ふと寝っ転がって天井を見つめた。声も体も元気な筈なのに体が重い。動きにくい。息苦しい。
あ、そうだ今日ババア帰ってこないからご飯食べないと。でも体動かないしなー。食べなくていっか!
ふと今日来たあの子について考えた。
「てんちゃん…」
何処かで聞いたことがある様なないような。
なんでここに来たんだろう。なんの様だったんだ?
そう考えているうちに、眠くなってしまい、少しだけ瞼を落とした。
昨日、母親が癇癪みたいなのを起こしたせいで荒れまくった部屋に、少女が横たわっていた。
それはまるで、沢山の花に囲まれ、目覚める事のない眠りについた棺の様だった。
コメント
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甘酒さん、読了しました🥀 「運命の出会い」ってタイトルなのに、まさかの不法侵入から始まるギャップに一気に引き込まれました…!主人公の「は?」連発とてんちゃんの自由奔放さの温度差が面白すぎて、笑いながらも後半の家庭環境の描写でグッと切なくなった。 母親との関係やマグカップのエピソード、杏奈とのLINEで垣間見える日常の重さ…軽いタッチの中に確かな闇があって、このバランス、凄く好きです。てんちゃん、ただの騒がしい子じゃなくて何か持ってそうで続きが気になります。
ナオ
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