「ふう…掃除終わったね。」
「このごみの山は俺が持って行っておくから休んでろ。」
「うん、ありがとう。」
掃除が終わり部屋を出たとき、廊下で劉磨さんと鉢合わせた。
「結局泊めることにしたのか。聖も?」
「花月の助けになりたいから…。」
「助け…ね…。そこ、どけよ。奏の部屋に用があるんだけど。」
今までにないくらい劉磨さんの視線が…口調が冷たく感じる。明らかに怒っている声で、何とも言えないオーラを身に纏っている。
「あ…ごめん…。」
「花月、お前男好きだったんだな。」
「え…?そんなことは…。」
「好きでもないやつ部屋に泊めるかよ…。」
「好きとか嫌いとか言っている場合じゃないでしょ。困っている人がいたら助けないと…。」
「助ける…?自分を攫ったやつらをか?俺なら絶対そんなことしない。」
「じゃあ見捨てろっていうの!?」
「ああそうだよ。今のお前は俺らが好きなお前じゃねえよ。」
「劉磨さんたちが好きな私って何よ!?私は私でしょ。」
しばらく劉磨さんとの言い合いが続いた。別にこんなことを言いたいわけじゃない。ただ…ただ少しでもいいから理解してほしかった。
ガチャ
「うるさいな~。」
「奏…。」
「こんな夜遅くに何やってるの?喧嘩?」
「いや、ただちょっともめただけ。」
「そう…ならいいけど。あ、劉磨、さっき頼んだやつできた?」
「ああ。今持っていこうとしたら、ばったり出くわしちまったんだよ。」
「まあ、部屋入ってよ。そこの3人も僕たちに迷惑かけないでね。いくら花月がいれた客でも居候なんだから。」
「はい、心得ております。」
パタリと奏の部屋のドアが閉まる。劉磨も奏も少し話し方がきつかった気がする。
そんなに……
「俺ら嫌われてるな。」
「いや、そんなことは…。」
「気を遣っていただかなくて大丈夫です。私たちにいてほしくない理由もなんとなく分かりますので。」
「とりあえず、部屋で休んでろ。何か必要なものがあったら言ってくれ。花月、ちょっと手伝ってくれるか……?」