大森side
俺は若井さんと薬を売るようになった
若井「売れたね 元貴さん」
若井「すごいでしょ 給料何倍になった?」 ひらひら、
大森「こんなとこで通帳出さないでくださいよ」
若井「ほしいものある?」
大森「俺は何も…」
若井「じゃあ女の子買おうよ」
大森「女の子かぁ」
大森「俺はいいです しばらくは」
若井「そんなに傷付きたくないの?」
若井「もっと傷付きなよ」
若井「人はどんなに傷付いても人を愛せるから大丈夫だよ」
若井「人生冒険しないと」
若井「あ 冒険ついでに女子高生にしよう」
若井さんはいつも明るくて 俺の生き方とは正反対だった
女子「っちわーー…」
若井「こんにちは」
女子「行く?」
女子「前払いね」
女子「暑い 夏服が良かったのに…」
女子「冬服セーラーがいいって言ったの絶対若井くんでしょ」
若井「はは、笑」
女子「ぁ、ぁっ、ん、」
女子「あっ、ん、、っ、、 /」
若井「おじさんとプリクラなんて撮ってどうするの」
女子「彼氏と撮ったって言う うちだけ彼氏いないの無理だから」
女子「二人ってよく見るとかっこいいよね」
女子「それを台無しにする陰気くさい雰囲気でてるけど。。。」
女子「静止画だったら行ける気がする 爽やかに笑ってよ」
カシャッ、
女子「私最悪で いろいろダメだ~って思ってたけど」
女子「売り(パパ活)やるようになって二重整形したら友達に凄い褒められて」
女子「何かもう生きようって思っちゃって」
女子「鼻も輪郭もやってディオールのワンピきて沖縄行きたい」
女子「可愛くなってアイドルやるんだ」
女子「でさ、絶対に幸せになるんだ」
女子「ママの人形なんかなってやんない」
女子「見てなよ~笑」
モブ1「儲かってるんだってな?もときちゃ~ん 聞いたよアイツから」
モブ2「いいな~順風満帆で」
大森「そんな…ぼちぼちですよ」
モブ1「でもアイツ気を付けた方がいいよ」
モブ1「嘘つきだから!」
モブ2「俺EDが治るって聞いて壷買わされちゃって」
モブ1「それはバカ」
モブ1「でも私も何回もお金貸しちゃった」
モブ1「もう充分持ってるでしょって言ったけど酒代足りないとかで」
モブ1「あの顔で弱弱しく言われるとついつい貸しちゃうんだよね~なんか弱った猫みたいでさ」
モブ2「あと数年前にアイツ今年世界が終わるとか言ってて 俺それも信じ切ってたなあ」
モブ2「本当におわりな気がしてさ」
モブ2「なんか自暴自棄になって金渡しちゃったよ」
モブ1「何だろうねうまく言えないけど」
モブ1「若井くんはそういう星のもと産まれてるのよ」
モブ2「きをつけろよー」
ぐりぐり、
若井「入んないな、」
若井「足に打とう」
若井さんは注射を打っていることを知った。
三、四日に一度に二何度も打つこともあった
注射をすると疲労感がなくなり多弁になった
瞳孔が開いた
頬が紅潮してた
若井「血管ボロボロ、、笑」
若井「はぁ、はっぁ、」
俺は薬を打って息を荒げる彼の姿を見て
首を絞めて殴ってぐちゃぐちゃにしたいと思うようになった
ほくろがたくさんある白い首 すぐに折れてしまうかもしれない
彼の左腕には白い傷跡が無数にある
いつも笑っている彼はどんな風に傷にまみれたんだろう
何があって薬に頼ることになったんだろう
そんなことばかり考えていた。
若井「はぁ、ぁ、」
大森「、大丈夫ですか?」
若井「いきがくるしい………」
は、っ、は、はぁ、っ
広い多目的トイレに連れられ、若井さんの薬が効くまで嘔吐に付き合う。
若井「ぅっ、う゛、、、おぇっ、、」
いつも明るく振る舞う若井さんは時々何かに怯えているように見えた。
若井「死ねないからさ」
若井「死ぬの楽しみにダラダラ生きてたけど」
若井「元貴さんと出会って楽しくなったよ」
若井「でもそれも怖いんだよね」
俺は気づくと若井さんを抱きしめていた。
若井さんは酒の匂いがした。
どくっ、どく、どく、、、
ちゅ、、、ぺろ、ちぅ、、
汚い便所に横になって傷の舐め合いをするように愛を語った。
底なしの現実が待っていることだけが分かっていたが
どうでもよかった。
若井「何?これ?」
若井「触る?」
若井さんは自身の左腕にある無数の白色の傷を見せてきた。
大森「…」
大森「うん」
若井「ねぇ元貴さん 僕ずっと地獄にいるんだ」
若井「気付いた時からずっと」
大森「どんなのか俺に教えてくださいよ」
くすんだ瞳をしていた。
底無しの現実にハマってしまった俺らはもう、地獄の住人と同然なのかもしれない。
何もなかったかのように日常は続いた。
薬は対面で渡したりSNSで住所を知り送ったりした
法を犯し人間の道を踏み外していることは明白だった。
女子「元貴くんさーなんか明るくなったよね!」
大森「仕事の調子がいいから、 若井さんのおかげだよ」
大森「そういえばあれ結局どっちを彼氏って言ったの?」
女子「え うっさいな~」
不安定ながらも安息な日々が続くと思っていた
女子「どっちでもいいでしょ!」
コメント
2件
ず っ と 推 し ま す っ !
やばい、かわいい、しんどい、