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鷹也隊長は北崎と言われていた男と戦っていた。
!
脇道から、男が数人出てきた。
ナイフを持っていた。
と、
ドドドドド‼︎
銃を撃ってきた。
『琥珀さん!』
一発、片足にあたる。
『ぐ!』
片足を引きずりながら、鷹也隊長の方へ、
北崎に、
剣を構える。
が、
鷹也隊長と北崎が剣を振るう。
速い!
『なぜだ!北崎!』
鷹也隊長の声、
僕も戦う。
剣を振るう。
が、
『ああっ!』
あっさりと腹から胸まで、斬られた。
『甘君!離れるんだ!』
僕は離れるしかなかった。
琥珀さんを連れて、離れる。
嫌な音が聞こえた。
怖かったが、振り返る。
‼︎
そこには、
胸に、剣が刺さった北崎と、
胸に、剣が刺さった鷹也隊長の姿が。
ばたり、
2人ともその場で倒れた。
『隊長!』
僕は急いで駆け寄る。
『甘君…すまない……たいしたこと、ぐっっ!……でき…なくて、』
『隊長、ごめんなさい!僕のせいで、ううっ!』
僕は涙を流していた。
僕のせいだ。
僕が勝手に鷹也隊長の方へ行ったから、
余計なことしかできなかったから、
『如月さんもあっちに行ったほうがいい』
後ろで声がした。
そして、
『シンちゃん‼︎嘘だろ‼︎』
如月さんが大声をあげる。
鷹也隊長は優しい笑顔を向けて、
『あと…は、…頼み……ます……』
如月さんが、鷹也隊長の手を取る。
『何で、1人で戦ったんだよ!俺は、こんなの望んでない!1人で責任を背負う必要は…なかったのに…』
如月さんが、涙を流していた。
でも、鷹也隊長は何も言わなかった。
『目を…覚ませよ………シン…ちゃん…』
もう、少したりとも動くことはなかった。
また1人の命が終わってしまった。
また、大事なメンバーの1人が失われた。
『あぁ!ああぁ!』
僕と如月さんはしばらく、そこで泣いていた。
『・・・』
如月さんと琥珀さんと、
3人、黙り込んでいた。
『・・・』
沈黙が続いた。
思い出すだけで辛い。
初めて、人の死を見た。
優しくしてくれた鷹也隊長が、
すぐ近くで、
僕を逃して、
目の前で、
なぜ、僕は逃げた…
僕が立ち向かっていたら、助かったかもしれないのに、
『俺は、このあとどうすりゃいい?』
如月さんが言う。
『わかりません…』
第1隊は、1日で2人が失われた。
2人とも、残酷な終わり方で、
信じたくなかった。
『3人でどうすれば…』
如月さんはそう言った。
『わかりません…』
何もわからない。
ショックだったから。
鷹也隊長が亡くなったことも、
僕の弱さも、
『少し、1人になってもいいか?』
『はい。』
如月さんはどこかへ行く。
僕も家に帰ろう。
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