ミーンミンミンミンミン
全身から汗が吹き出しそうなくらい暑い今日。
「俺、彼女できた!」
無邪気な笑顔で言われたその言葉に俺は、張りついたような笑顔で笑うことしか出来なかった。
「あの◯女の子でさ〜。笑った顔とか、、もう何してても可愛いっていうか〜!」
「そ、うなんだ‥。」
蝉の声がやけにうるさい。頭を強く打った後のように視界はグラグラ揺れている。
どうやら”彼女ができた”という情報をまだ脳が処理しきれていないみたいだ。
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俺(彰人《あきと》)とこの目の前にいる幸せそうな奴、裕也《ゆうや》は幼なじみだ。小さい時からずっと一緒で、どこへ行くにも俺の隣にはこいつがいた。俺がこいつに友達以上の特別な感情を持ちはじめたのは…..あれ、どーしてだっけ….。
「~と..~あきと!!!どーしたんだよぉ。急にボーッとして、」
「あ、あぁごめん、。」
「お前なんか変だぞ?体調わりぃの?」
そりゃあ長年片思いしてきた奴に彼女ができたら体調も悪くなるよ..。なんてことを考えつつ俺は、
「わり!俺ちょっと用事思い出しちったから帰るわ!!」
精一杯の痩せ我慢。後悔するのは家に帰ってから。とにかく一刻も早く帰って裕也の口から発せられる”彼女について”を聞きたくなかった。
「おーー、そっか!じゃあな!!!」
太陽を敷き詰めたような笑顔でこっちを見てくる。あぁ、、そっか。俺はこの笑顔が大好きなんだ。この笑顔に惚れたんだ、、 心臓が、一つ跳ねた。
俺は荷物を持って一目散に走り去った。ドキドキするこの気持ちを押さえつけるために。「失恋」という悲しさに気が付かせないようにするために。
ガチャ。バタン。
ドサッ。
俺は家に帰ってそっこーで自室のベットに沈んだ。
「あー、俺の恋愛まじでクソ、、こんなになるなら好きにならなきゃよかった。」
グチグチと裕也への当てつけをする。でも、嫌いなとこがたくさんあっても1つ好きなとこがあるだけで”好き”が膨らんでいく。厄介だ。
カチカチ
家の壁にかかっている時計が時間の経過を伝えてくる。両親は共働きでこの時間はほとんど家にいない。どうせ今日も帰ってくるのは夜遅くだろう。 俺しかいない家の中で静かに時は過ぎていった。
ピンポーン
不意に玄関のチャイム音で目が覚めた。時計を見ると6時になろうかとしていた。こんな時間に誰だ?不思議に思いつつ俺は玄関のドアを開けた。そこには、、、
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