それから、サークルには全く顔を出さなくなった。特に4年生になってからは、リクルートスーツに身をつつむようになった同輩が行きかう学生街の、地下のスタジオでギターを弾く毎日になった。オーナーは、バンドの入れない狭い個人練習用ブースを、空いている時間に格安料金で貸してくれている。常連を大事にし、音楽を大事にするオーナーでよかった。ところで、いまだに「ミューズ社長に挑んだギタリスト」という名前を使いたい人がいる。ときたま、業界人がサークル溜まり場の喫茶店に現れるという。雑誌社、芸能関係者が主だという。スタジオは、ちょうどいい隠れ家でもある。
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