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Noside
ジェイデンがジョッキに注がれた酒をぐびっと飲む。
「んあ~~!! うめえ~~!!」
ジョッキを両手で持ちながら、すっかり酔っ払ったジェイデンはにこにこしながら笑っていた。
「ジェイデン、飲んでるか?」
「お~! ちょ~のんでるぞ~!」
ゾロに肩を組まれながら、へらりと笑う。
「肉食うか?」
「お~! くう~!」
ゾロに肉を貰うと、大きな口を開けてジェイデンはがぶりと食べた。
「うめえか? おい」
「んまい!」
もぐもぐと咀嚼してから、ジェイデンはくたりと脱力したように床に横になった。
「あー! ゾロ先輩、ジェイデンに酒飲ませちまったべか!?」
「俺が飲ませる前から飲んでたぞ。何か悪いか?」
「こいつちょ~~~~酒に弱ぇんだべ! すぐ寝っから!」
「そうなのか」
「酒の代わりに水持たせとくべ、もうここまで酔っぱらったら自分が何飲んでるのかなんてわかっちゃいねえんべ」
バルトロメオが水の入ったジョッキをジェイデンに渡すと、ジェイデンはそれをぐびぐびと飲み始める。
「あえ、ろーは?」
ふわふわとした口調でジェイデンが尋ねると、バルトロメオはさあ? と首を傾げた。
すると、ジェイデンは立ち上がってフラフラと歩き始めた。
どこへ行くつもりなのだろうかと見ていれば、ジェイデンはきょろきょろと辺りを見回してしきりにローの名前を呼んでいた。
「ろー、ろー……」
まるで迷子のような声色だった。
誰かと話していたのか、船尾の方にいたローがジェイデンの声を聞いてこちらへと向かってくる。
「ジェディ? どうした?」
「あ、ろー! おまえどこいってたんだよー、これすごいおいしいんだぞ。なまえわかんらいけろ」
ジェイデンが持っていた皿を差し出すと、ローはそれを見てああと納得したような表情を浮かべてから口を開いた。
そして、その皿に乗った料理をぱくりと食べる。その様子を見ていた周りの船員達はぽかんとしていた。
あのローが、他人の手ずから食事をしている。先ほどは肩を組まれ、慣れ合うような素振りを見せただけで舌打ちをしていたというのに。
「ふふ、おいしいだろ」
「ああ」
ローに美味しいものを食べさせて満足したのか、ジェイデンはまた床にごろりと転がった。
「ジェディ、お前どれだけ飲んだ?」
「えーちょっとらよ、ちょっとらけ」
呂律が怪しくなってきたジェイデンの頭を撫でながら、ローはちらと視線をこちらに向けてきた。
「どしたー?」
にこにこしているジェイデンが首を傾げると、ローはジェイデンの顎を掴み、まるで噛みつくようにキスをした。
あまりに突然の出来事だったので、周りにいた全員が固まってしまった。
ジェイデンはぱちぱちと瞬きを繰り返して呆然としていたが、大分酔いが回っているらしく、いまいち何をされたかわかっていないみたいだ。にぱっと笑い、ローに擦り寄る。
「がるちゅーだ! べぽもよくするもんなー!」
違う。と言いたいが、ジェイデンは床に伏せて寝てしまった。呑気な寝息をたてている。
「トラ男くん、随分感情を表にするようになったわね。前はそんなに分かりやすくジェイデンに構ったりしなかったでしょう?」
「……昔から決めていた。ドフラミンゴを討った時、おれが生きていたらこいつのことを手に入れるって決めてたんだ」
ロビンの言葉に答えたローの瞳には確かな熱があった。それは、世間に伝わっている彼のイメージ、死の外科医、トラファルガー・ローとは程遠いものだった。
頭を撫で、ジェイデンを見るその目は、本当に愛おしものを見ている時のそれであった。
コメント
1件
ここまで一気見しました!文の書き方とか、読みやすくてめちゃくちゃ好きです!