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第五十話 それぞれの未来へ
「未来はまだ見えない。でも、一緒に歩きたいと思える人がいる。」
十一月下旬。
朝から校内は
どこか落ち着かない空気に包まれていた。
今日は、高校生フォトコンテストの結果発表の日。
写真部の部室には、
部員たちが次々と集まってくる。
「まだかな……。」
陽菜は何度も時計を見ていた。
蓮は平静を装っていたが、
机を指先で軽く叩いている。
湊だけは窓の外を見つめ、静かに深呼吸をした。
*
昼休み。
顧問の先生が部室へ入ってくる。
手には、一枚の封筒。
「結果が届いたよ。」
その一言で、部室の空気が張り詰めた。
先生は封筒を開き、ゆっくり紙を広げる。
「まずは……。」
一人、また一人と名前が呼ばれていく。
入選。
佳作。
拍手が響く。
そして。
「神崎 湊。」
湊は顔を上げた。
「特別賞。」
一瞬、言葉が出なかった。
「おめでとう。」
先生が笑顔で賞状を手渡す。
部室には大きな拍手が広がった。
「やったじゃん!」
蓮が勢いよく肩をたたく。
「おめでとう、湊!」
美桜も満面の笑みだった。
湊は賞状を見つめる。
嬉しかった。
でも、それ以上に——。
「この写真が届いたんだ。」
その事実が、胸いっぱいに広がっていた。
*
放課後。
校舎の屋上。
湊は夕焼けに染まる空を眺めていた。
スマートフォンが震える。
紬からのビデオ通話だった。
「聞いたよ!」
画面の向こうで紬が笑っている。
「特別賞、おめでとう!」
「ありがとう。」
「でもね。」
湊は少し照れながら笑う。
「賞を取れたことより、自分の写真を好きだって言ってもらえたことのほうが嬉しかった。」
紬は静かにうなずいた。
「神崎くんらしいね。」
*
少し沈黙が流れる。
やがて紬が口を開いた。
「ねぇ。」
「将来のこと、考えてる?」
突然の質問だった。
「少しだけ。」
「写真、続けたいなって思うようになった。」
「仕事になるかは分からないけど。」
「誰かの心に残る写真を撮りたい。」
それは、初めて口にした夢だった。
紬は嬉しそうに微笑む。
「私もね。」
「国際関係を勉強したい。」
「いろんな国を知って、誰かの役に立てる仕事がしたいんだ。」
二人は、お互いの夢を初めて聞いた。
少し前までは想像もしていなかった未来。
でも、不思議と遠くには感じなかった。
*
「もし。」
紬が少し照れながら言う。
「大人になっても、写真撮ってくれる?」
湊は笑った。
「もちろん。」
「その代わり。」
「世界の景色、たくさん見せて。」
「約束。」
「約束。」
画面越しに、小指を立てる二人。
触れることはできない。
それでも、その約束は確かに結ばれた。
*
通話が終わったあと。
湊はカメラを持って屋上へ出る。
夕日がゆっくりと街を包み込んでいた。
シャッターを切る。
カシャッ。
今日の一枚は、今までとは少し違って見えた。
未来へ続く光が、そこには写っていた。
📷 Photo.050『未来への約束』
撮影日:11月25日
夢は違っても、
見上げる空は同じ。
今日交わした約束が、
未来でまた二人をつないでくれる。
コメント
1件
第50話、読み終わったよ〜〜〜!!!😭💕💕💕 特別賞おめでとう、湊!!!って叫びたくなった(笑)でもそれ以上に、紬とのビデオ通話で「夢」を語り合うシーンがめちゃくちゃエモかった…「大人になっても写真撮ってくれる?」って小指立て合う約束、距離があってもちゃんと通じ合ってる感じが尊すぎて鼻血出るかと思った🫠💖 「未来へ続く光」が写った一枚、めっちゃ見たい!!!このエピソードだけで二人の成長と未来への希望がぎゅっと詰まってて、読後感がすごく優しい気持ちになったよ✨ M.Sさん、ありがとうございます!次も楽しみにしてるね🌸
紫倉 紫
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#再会
イツカ
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