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夕暮れの田舎道を、僕は一人で歩いていた。足元の土の感触や、遠くから聞こえる虫の声がやけに静かに響く。
「また、明日もこんな日が続くのか」
そんな思いが頭をよぎった時、不意に声がした。
「ねぇ、そんな顔しないで。星がすごくキレイだよ」
振り返ると、そこには笑顔のミオが立っていた。まるでこの街の光そのもののように。
「ミオ…?」
僕は戸惑いながらも彼女の明るい表情に少しだけ救われた気がした。
「一緒に見ようよ、星。こっち」
ミオは僕の手を取って、近くの小さな丘へ誘った。
丘の上から見える夜空は、本当に広くて澄んでいた。満天の星が瞬き、遠くの山々のシルエットがぼんやり浮かんでいる。
「こんなにキレイな場所、昔は好きだったんだ。今は…なんだか全部が重くて」
僕は素直に言葉を漏らした。
ミオは静かにうなずいて、優しく言った。
「重い気持ちも、全部受け止めるよ。無理に笑わなくていいから」
その夜、僕は初めて誰かに心を少しだけ開けた気がした。