赤side
赤『ふんふーん♪』
俺の鼻歌とシャワーの音が鳴り響くお風呂場
赤『ん、あれ…?』
さっきから出てきそうで出てこない やりたいことがあってモヤモヤしている。
赤『ぁ、』
髪を洗い終わると、この前買ったバスボムを入れたかったことを思い出した。
すっきり、
バスタオルをかぶりながら洗面所の入浴剤が置いてあるカゴを漁るが中々見つからない。
赤『ん~、ッ?』
俺は今すぐ欲しいのに…と見つからないストレスからつい雑に探してしまう。
がたん!ごとん!と音を鳴らしながら探していると背後から聞き馴染みのある声が聞こえた。
桃『もー、何探してんの』
赤『あのねッ、あの…ッ、』
桃『うん』
赤『や、やっぱなんでもない笑』
・
桃side
『やっぱなんでもない』とそう涙目で答える君。
桃『なんでも良くないでしょ』
赤『でも…、』
俺の彼女はADHD。
やりたいことがころころ変わってしまう。”やりたいこと”だからできないと当たり前のように落ち込むし凹む。
世間一般的には我儘だと言われがちだけど、そんな頭フル回転で色んなこと考えてたら仕方ないことなのかと納得してしまう。
赤とは幼なじみで小さい頃は自分が考えたことを完了しないと癇癪が凄いことになっていた。
年齢が上がる毎に生きずらさを痛いほど味わって我慢を覚えるようになった。
ただ、我慢していい事としなくていい事の区別を感じるのが苦手らしく最近は我儘という感情に敏感になりなんでも遠慮するようになってしまった。
これもADHDの症状だ。
桃『俺の前では我儘言っていいって言ってるじゃん?』
桃『難しそうなことならちゃんと伝えるし』
赤『んぅ、』
桃『何がしたかったの?』
赤『…バスボム、』
桃『バスボム?』
赤『バスボムが…!バスボムがないのッ!』
赤『見つからない、この前買ったやつ…この前さ、買ったじゃん、?』
最後に買ったのはそんな的確では無いが少なくとも半年前、
桃『まだ使ってなかったの?』
赤『うん、多分…』
桃『あ、』
桃『見た目が綺麗だから飾る~って棚の上に置いてなかった?』
赤『…?』
桃『ちょっとまってて』
頷いた赤を確認してリビングへ向かった。
・
桃『ほら、これだろ』
赤『あ!それ!!』
ぱぁぁと目をキラキラさせる赤が可愛くて笑いそうになってしまう。
赤『ありがとう!桃ちゃん!』
桃『べつに~』
桃『ほら、風邪ひくから早く入りな』
赤『うん!』
・
赤が風呂からでるまでソファーに座りスマホをいじる。
そういえば明日の予定を書いてなかった。
赤はすごく忘れっぽい。
だから一日の予定を朝確認できるようにホワイトボード書いている。
何時になにがあるのか、何を買うのか、1週間分の予定を書くはずだがたまたま明日の予定を書いていなかった。
後で赤に聞いてみよう。
・
がちゃっと音がなりドアが開く。
赤『ふんっ ふふんっ ふーんっ♪』
桃『おかえり』
赤『ただいまぁ~』
桃『随分とご機嫌じゃん』
赤『えへへ、あのバスボムめちゃくちゃいい匂いだった!』
桃『おー、良かったじゃん』
桃『後で入るの楽しみ』
赤『えッ、お湯捨てちゃった、』
桃『あ、まじ?』
赤『ごめん…ッもう入らないかと思ってッ、』
桃『確かに今日はいつもより入るの遅かったもんな』
赤『ごめん… ごめんねッ、!』
涙目になる赤をソファーに連れていき俺の上に乗せ優しく抱きしめる。
桃『赤なりに気遣ってくれたんだよな』
赤『おれッ、またやっちゃった、ぐすっ』
桃『大丈夫大丈夫…だれだってこんなことあるよ』
赤をなだめながら髪の毛を見ると結構伸びてることが分かった。
桃『髪の毛伸びた?』
赤『のびた…かな』
桃『じゃあ切りに行かないとな?』
赤『ぇ、やだぁ、』
赤は髪をいじられたり知らない人に洗われるのが苦手。
俺は何故か大丈夫らしい。
桃『触っていい?』
赤『いいけど…髪濡れてるよ?』
桃『俺が拭いてあげる』
赤『えへへ、うん!』
桃『ん、赤さんまだ落ちてないっす』
赤『え、シャンプー?』
桃『おん』
赤『もう、次は桃くんが洗ってえ』
桃『はぁ~?笑』
桃『もう23だろ笑』
赤『いいじゃん』
赤『俺ら付き合ってるし、』
小声でボソッと伝えてきた言葉に頬が赤くなる。
桃『ま~な…って一緒に入りたいの?笑』
赤『うるっさいッ!// 』
桃『ははっ、じゃあ明日入ろうな』
赤 こくっ、
桃『ドライヤーしてやるからイヤホンかイヤマフ持ってきな』
赤『わかったっ』
赤は大きい音が苦手。
音楽とかは大丈夫らしいんだけど騒音が苦手らしい。
どたばたと音を立てながら急いでイヤホンを取りにいく赤がどうしても23にみえなくてつい笑いそうになる。
桃『ゆっくりでいいんよw』
赤『取ってきたっ!』
桃『はい』
赤がイヤホンをしたのを確認してドライヤーを始める。
赤『ふんっ ふふふんっ♪』
桃『ふふ、』
乾ききるまで服の裾をいじったり、ケーブルをいじったり、じっとすることが苦手な赤は必死に我慢する5歳児のような仕草をする。
赤『ん…』かりッ
桃『ん、あか?』
赤は限界が近いと爪を噛んでしまう。
何度も注意するが中々治らない、
桃『爪噛むのやめな?』
赤『ッ、ごめん、』
赤『大丈夫、もう後は自然乾燥でいいべ』
赤『…ありがと!』
桃『うい』
・
桃『赤、明日の予定は?』
赤『明日は…』
赤『4限と2限と…漫画の発売日!』
桃『じゃあ帰りにアニメイト寄ろうか』
赤『えっ!いいの!?』
桃『一緒にいこうぜ』
赤『やった』
桃『明日大学あるし寝よ?』
赤『…うん、』
桃『眠くないの?』
赤『ううん…! 寝る!』
桃『なんかあったら言えよ』
赤『…ありがとう』
・
赤side
桃『はい、おいで』
赤『ん…、』
寝室につき桃ちゃんが先に寝たベッドに入り込む。
桃『寒くない?』
赤『うん、』
明日学校行きたくないなぁ、
なんで俺はみんなと同じようにできないんだろう。
注意されてばっかだし、桃くんにも迷惑かけてばっか、
赤『ぇ、?』
ぎゅうと桃くんに抱きしめられた。
桃『りいぬ体に力入ってた』
赤『んぅ、ッ』
ぽろぽろと涙が溢れてしまう。泣いちゃダメなのに。
桃『どしたの』
赤『なんッ でもないぃッ…!』
桃『なんでもなくないでしょ』
桃『言ってみな、何が不安なの?』
赤『ちが…ッ』
桃『ん?』
赤『空気読めってッ、また…ぐすっ』
赤『また言われた…!ッ、』
赤『ゔぅ、沢山怒られたッ!』
赤『俺悪い子ッ、』
桃『悪い子じゃないよ』
桃『しんどかったね』
赤『俺が悪いって分かってるのに、!』
桃『そうだよな、赤わかってるもんな、』
赤『でも何がダメか分からないのッ!』
桃『ゆっくり見つけていこうな、』
桃『俺とゆっくり理解していこ?』
赤『んッ、ぐすっ、』
桃『大丈夫大丈夫…』
桃『明日一緒に居ような』
桃『いつも一緒だけど笑』
赤『一緒に…いるッ』
桃『うんうん、偉いな赤は』
赤『偉くない…ッ』
桃『んーん、偉くて可愛い俺の彼女だよ。』
赤『俺はかっこいいだよ…っ』
桃『はいはい笑 かっこいいでちゅね~』
赤『もぉ~、からかわないでよ!』
桃『んふふ、かわいい』
赤『…また明日ね、桃くん』
桃『うん、おやすみ赤』
赤『おやすみ!』
いつもありがとう。桃ちゃん。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!