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初めてのシリーズ物なので至らない点がありますがご了承ください



夏のある日、木陰で口の中を程よく刺激するラムネを飲みながら、ラムネ瓶の中のビー玉がカランコロンと軽やかな音を奏でるのを聞いていた。ラムネ瓶が太陽光を反射し、キラキラ光っている。その向こうに見える青い空もまた、キラキラしている。

「ねぇ、つむぎ?」

「どうしたの?」

「つむぎって、好きな人いるの?」

つむぎはラムネ瓶を口から離して、ゲホゲホと咳込む。

「だ、大丈夫?つむぎ」

「うん、大丈夫だよ。それより、急にどうしたの?」

「別に理由なんてないよ。ただ知りたいなって思っただけ」

つむぎはうーんと唸ると、しばらく考え込んだ後、口を開いた。

「いる…けど、」

「けど?」

「片想いなんだ」

「どうして?」

「私が好きになったらいけない人なの」「どうして?」

「女の子…、なんだ…」

「そっか」

「っ〜!もう!あおいは!?」

「え?」

「あおいの好きな人!」

「んー、秘密」

「えー!教えてよ〜」

「だーめ。それより、そろそろ帰らないと暗くなってきちゃう」

「あっ!本当だ!」

慌てて立ち上がると、二人は家に向かって駆け出す。木々の影を縫うようにして走る二人の顔は夕日に照らされて赤く染まっていた。

つむぎと別れた後、あおいは自分の部屋のベッドの上に寝転がる。

(つむぎも恋をしてるんだ……)

(つむぎの好きな人が羨ましいよ…)

(私もつむぎに好きになってもらえたら……)

そんなことを考えながら、あおいはゆっくりと目を閉じた。

「ん……」

カーテンの隙間から漏れる朝日で目が覚めた。時計を見ると、時刻は午前7時30分を指している。今日は休日なのでもう少し寝ていても良かったのだが、二度寝をする気分ではなかった。

あおいは起き上がると、大きく伸びをする。そして、ベッドから降りると、洗面所へと向かった。顔を洗い、歯を磨き終えると、今度は朝食の準備を始める。トーストを焼きながら、目玉焼きを作っていると、ピンポーンという軽快なチャイムの音が家の中に響いた。

「はーい」

玄関に向かいドアを開けると、そこにはつむぎの姿があった。

「おはよ!あおい!」

「つむぎ…!?」

あおいは玄関の施錠を解くと、つむぎを招き入れる。

「どうしたの?こんな早くに」

「ちょっとあおいの家に来たくて……、迷惑だったかな?」

「ううん、そんなことないよ。上がって」

あおいがそう言うと、つむぎは嬉しそうに家の中に入ってきた。そしてリビングにあるソファに腰掛けると、テーブルの上に置いてあった雑誌を手に取った。

「これ見ていい?」

つむぎに尋ねられたあおいは、朝食の準備の手を止めて答える。

「いいよ〜朝ごはんもう食べた?」

「まだ食べてないよ」

「じゃあ一緒に食べよう」

あおいはキッチンに戻ると、手早く朝食を用意し、つむぎの前にトーストと目玉焼きを並べた

「はい、できたよ」

つむぎの前に料理を置くと、あおいはつむぎの正面へと腰掛けた。

「ありがとう!」

「いただきます」

二人は手を合わせ、料理を食べ始める。

「あおいの料理美味しい!」

「ありがとう」

あおいは褒められて少し照れくさくなり、頬をかく。

「ところで、あおい。最近どう?」

「ん?いつも通りだけど……」

「そっか」

あおいは首を傾げると、つむぎの次の言葉を待った。しかし、つむぎはすぐに言葉を発さなかった。沈黙が流れる中、先に口を開いたのはあおいだった。

「……どうしたの?急にそんなこと聞いてきて」

「……ちょっと気になっただけ」

あおいは少し不安になったが、それ以上追求することはしなかった。それから二人は他愛もない会話をしながら朝食を食べ終えると、食器を流し台へと運ぶ。そして、そのまま洗い物を始めた。

「私がやるよ」

つむぎがそう言ってくれたので、あおいは甘えることにした。あおいは椅子に座って読書をし始めると、つむぎは食器を洗い始める。そしてあっという間に洗い終えると、手を拭くと再び話しかけてきた。

「ねぇ……あおい?」

「ん?」

あおいは本にしおりを挟み込むと顔を上げた。

「あのさ……」

「何?」

「……なんでもない」

「え?そうなの?」

あおいは再び本を読み始める。それからしばらくして、つむぎは意を決したように口を開いた。

「……あおい」

「うん?」

「私……ね……?」

あおいは本を閉じてつむぎに向き直ると、首を傾げた。するとつむぎはゆっくりとあおいの方に歩み寄って来た。そしてそのまま抱きつくと、耳元に口を寄せる。あおいは思わずドキッとしたが、平静を装うために慌てて深呼吸をした。

「どうしたの?」

つむぎは答えない。あおいはしばらくそのままの状態でいたが、やがて口を開いた。

「何かあった?話なら聞くよ」

あおいがそう言うと、つむぎは静かに話し始めた。

「私……ね……?昨日好きな人がいるって言ったじゃん……?」

「うん」

「……実はその人のこと諦めようと思ってたんだけどさ……」

つむぎはそこで一旦言葉を切ると、大きく深呼吸をしてから続けた。

「やっぱり諦めきれないみたい……」

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