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⛄️💚　ボーイズブラインドネス(読切)

第1話 - ⛄️💚　ボーイズブラインドネス

155

2025年07月05日

#BL

kino

【💛】

あっ、もしもし、阿部？

えっと………

おいっ、待って、切らないでよ。…いや、ごめん。出てくれないと思ってたからちょっとビックリして。

なあ、あの話、考えてくれた？　この間、ちゃんと伝えただろ俺の気持ち。

からかうのはやめろって？　だから、冗談なんかじゃないって、何回言ったらわかるんだよ。

何て言っていいか、わからないのか？　そうだな、確かに急にこんなこと言われて困るのはお前の方だよな。

あのさ、電話じゃなくて会って話せないか？　あれから、お前俺のこと避けてるだろ？　そんなことないって、よく言うよな。あんなに露骨にされたら、避けられてないなんて到底思えないけど。

だから、もう一度ちゃんと話がしたいから。おい、しつこいとか言うなよ。

…だったら、早く振ってくれれば良いだろ？　お前が一言、俺のことが嫌いだって言えば、俺ももう何も言わないよ。え？　ずるいって？　ずるいのはどっちだよ。お前、なかったことにしようとしてるだろ。あ、黙るってことは図星だな？

とにかく、頼むから避けるのだけはやめて。俺だって、何されても傷つかないわけじゃないし。いや、あのさ、謝ってほしいわけじゃなくて。

なあ、いつなら会える？　お前、いつ空いてる？　あ、急かしてるわけじゃないんだ、誤解しないで欲しいんだけど。ただ、もう一度だけで良いから、ゆっくり…

はぁ、さっきから堂々巡りだな。なんか我ながら笑えてきたわ。また、電話する。ああ、でも、明後日スタジオで会えるか。何度も言うけど、避けんなよ。

遅い時間に悪かったな。じゃあ、おやすみ。

【🖤】

どうしたの？　そんな改まって。

浮かない顔してるね。まあ、座って。何か飲む？　お茶でいい？　酒なんて気分じゃないよね、真剣な話したそうな顔してる。何ビックリしてるの、わかるよ、そのくらい。

はい、ウーロン茶。こぼさないでね。

で、何があったの？

…え？　告白された！？　だ、誰に？　言えない？　言えないってどういうこと、俺の知ってる奴なの？　ねえ。

急に大声出さないでって言ったって、阿部ちゃんが変なこと言うから…いや、まあ、いいや。ごめん、続けて。

阿部ちゃんは、その人のことが好きじゃないってこと？　そんなこと考えたこともなかった？　友達なの？　ああ、まあ、あるよね、恋愛対象として見てなかった相手から告白されるのって。俺はそういうの絶対好きにはなれないタイプだからさ。あー、で、聞かなかったことにしようとしてたところ、返事の催促をされたわけだ。

そりゃ返事するのは当然でしょ？　無かったことにするなんて人として最低だよ、それは。え…何、そんな顔したって最低は最低だと思うけど。

じゃあ、例えばさ、仮にもし、俺が阿部ちゃんに告白したとしたらどうする？　だから、阿部ちゃんが好きだって、俺が言ったらどうすんのって。

考えられない？　阿部ちゃんは考えられないことばっかじゃん。考えてよ、ちゃんと。

だったら、これはどう？　俺と、キス、…できる？

………

って、もうしたけど。阿部ちゃん、唇柔らかいね。

…うわっ、うるさ！　大声出さないでよ。いいでしょキスくらい、減るもんじゃなし。どうだった？　ときめいた？　ときめくわけない？　はっきり言わないでよ、傷付くじゃん。

え、ねえ。帰るの？　本気で怒ってる？　真剣に悩んでた、って…そんなのわかってるよ。俺だって、別にふざけてキスしたわけじゃ…

あっ、阿部ちゃん、待ってよ、ねえ、待ってってば！

【💙】

うわっ、ビックリした。そんなとこに黙って突っ立ってたらビビるだろ。

え、何だよ？　そんな顔してるの、なんか珍しいな。

………

悪いけど、何かあった？　とか、俺は聞かないから。

………

あ〜、もう、いいよ、ほら、話しかけたなら話せよ。阿部ちゃんが話すならちゃんと聞いてるから。何があったの？

はっ？　告白？　されたの？　誰にだよ！？

え？　言いたくない？　だったら話かけんなって。

あ、うそうそ、わかってるって。でもそれを俺に言って、阿部ちゃんはどうしたいの？

ふーん、無かったことにしたい、ねぇ。告白される前の関係でいたいの？　無理だろそれは。だって、実際にもう告白されてんだから。

嫌なら断ればいいだろ？　それもできない？　何でだよ？

あ、もしかしてメンバーだったりする？

あー、はーん、その感じだと、相手は…うわっ、何すんだよ。もう…いきなり口塞ぐとか、やめろよ。ったく。

じゃあさ、俺も参戦しようかな、それ。

って、何その顔。冗談はやめろって？　冗談じゃなかったらどうすんの？

なーんてな。

阿部ちゃんが可愛い反応するから、からかっちゃったじゃん。阿部ちゃんそういうの良くないよ？　そうやって、あざとくすんのはさ。そういう態度とるから、色んな人に誤解されるんじゃねーの？

いや、別に他のやつのことは知らねぇけど。俺、たまに聞くよ、阿部ちゃんの話。

ああ、今はそんなことどうでもいいか。阿部ちゃんはとりあえず、告白の返事しなくちゃな。今日そいつと会えるんじゃないの？　9人揃う日だもんな。

断るなら断るだし、ちゃんとしないとダメじゃない？　そんな顔しててもさ、阿部ちゃんだってしんどいでしょ。

あっ、俺、呼ばれてるから行くわ。

【🩷】

もしもし、阿部ちゃん？　おっちー、今何してた？　久々に飯行かねぇ？

なになに？　あ、ほんと？　まだ現場なんだ。もう終わってんの？　これから帰るとこだった？　うん、全然待つ待つ。わーい、んじゃ行こ行こー！

佐久間さん最近気になってる店があってさぁ…がっつり系の。え、いや、二郎系じゃないって。安心しろよ。ちゃんと色々食べれるところだから、偏らないとこ。

阿部ちゃんもまじで好きだと思う。これはまじで。うん、そうだよ？　じゃなきゃさすがに俺も誘わないって。大丈夫大丈夫、安心てか、むしろ期待して？

ん、そういえばさ、阿部ちゃん、照と何かあった？

へ？　いや、照からは何も聞いてないけど、最近の二人の感じ、なんか変な気がして。ほら、俺そういうのわかっちゃうじゃん、お前らのことなら。長い付き合いだもん。よく見てるっしょ。

そうそう、もっと言って、もっと言って。

いや俺よりお前のが優しいだろ。

ふはっ、いつものくだりやってみたけどどう？

あー、元気出た？　それ一番嬉しいわ、阿部ちゃんがそう言ってくれるのがさ。

…俺、阿部ちゃんの笑顔のためなら何でもできるよ？　え、重いって？　守りたい、その笑顔！　にゃははっ。いやウケるよな？　ここ笑うとこだから、その反応は正解！

んーでもさ、冗談抜きで、阿部ちゃんにはずっと笑ってて欲しいよ、俺。

阿部ちゃんは俺の…いや、なんでもない！　ん？　ううん、ほんと何でもないから。これは会った時に言うわ。

じゃあ、店の地図送っとくなー。また後でねぇ。

【❤️】

阿部、おはよう。

………

ん？　何か話したいことでもあった？　何も言いたくない気分なの？　いいよ、それならそのままで。

隣にいるから、何か話したいことができたらいつでも話しかけてよ。

優しいって？　いや、普通じゃない？

阿部の周りにいるやつはよっぽど勝手なやつばっかりなのかな。え？　まじでそうなの？　ははっ、それは阿部が優しいからじゃない。

少しは落ち着いた？　それは良かった。俺も、阿部の隣は落ち着くよ。

まあ、俺は阿部のこと好きだから当然なのかな。

え？　どういう意味って、そのままだけど？

そんな顔するってことは、あんまり脈はなさそうだな。別に、そういう目的で言ってるんじゃないから、そんなに気にしないで。

あー、困らせちゃった。

だけど…これで阿部は、しばらくは俺のこと考えてくれるのかな？

【💜】

『阿部ちゃんおつかれ‼️✨️』

『照となんかあった？』

『そうなんだ❗️』

『目黒とも、ケンカでもしてる？』

『まーそう言うわな❗️わら』

『最近みんな様子がおかしいからさ』

『佐久間もへんだよ』

『阿部ちゃん、まじめに返す気ないな‼️』

『オレにだけは本音を話してくれると思ってたけど、勘違い？　いや、これはマジで言ってるんだけど』

『いちばん様子がおかしいのは阿部ちゃんかも💦わら』

『通話キャンセル』

『おい❗️　なんで電話出ないの？』

『阿部ちゃん？』

『おーい』

【🧡】

阿部ちゃーん、聞こえる？

おっけおっけ。んじゃあ、やろかぁ。今日は、ゆるっとプレイでえーよな。

とりあえず、ここは壁塗っとけばいいんやろ？

あっ、ごめん、いきなり倒れちゃったあ…助けて阿部ちゃあん。ああ、ありがとう〜。

うわカタパッド！　俺無理かもしれん。待って、モグラは倒すから！

ん、何？　右から？　はいよぉ…っと。

納品行くで〜、お、もうノルマクリアしてるんちゃう？　あれっ、まだか。やっぱりさあ、阿部ちゃんの指示で動くとスムーズやんな。あっ、シャケきてる大群。倒さな！

とりあえず生き残ろ。ギリいけるな、これは。

よっしゃクリア〜。なんかゆるっとと言いながら結構真剣にやっちゃったね。

次どうしよっかぁ。

……なあ、阿部ちゃんさあ、最近どうしてるの？　え、どういう意味って、いや、どんな感じで日々過ごしてるんかなぁって。

今度、二人で飯でも行かへん？　ほんま？　外でもいいし、あれやったらうちに来てもいいんやし。阿部ちゃんの好きなもの何でも作るよ？　あ、うちはいややった？　ほんならどこか阿部ちゃんの好きそうなお店探しとくな。

阿部ちゃんにさ、話したいこともあるし。

え？　いや違うよ、そんな、変な話やないって。

なんやろ、阿部ちゃんちょっとナイーブになってる感じやね。何かあったんかな？　辛い時には、いつでも、俺のこと頼ってや？

俺は阿部ちゃんから頼られたら嬉しいからさ、遠慮せんとって。

さて！　続きやろっか。

俺ガチアサリか、ナワバリやりたいんよ。阿部ちゃん選んで。いける？　よし、行こう！

【🤍】

ちょっと待って、阿部ちゃん。

あはっ、阿部ちゃんと手繋いじゃった。

もう、取って食べたりなんかしないから、そんなに驚いた顔しないでよ〜。

ねぇ、何か、みんな阿部ちゃんのこと好きなのが漏れちゃってるよね、最近の俺たち。

え？　わかんないの？　それはぁ、本当にわからないのか、わからないふりをしてるのか、どっちなんだろ？

ふふ、でもどっちでもかわいいよ。あれ、そんな顔して、かわいいって言われるのいやだった？

ちなみにさ、俺的には、岩本くんは絶対黒なんだよね。もしかして、もう阿部ちゃんに告白とかしてたりして…あ、うそ、当たっちゃった？

阿部ちゃんも、何気に顔に出やすいよね。そういうところ、すごいかわいい。

めめとも何かあった？　あったよね。

あーもう、めめ、隙あらば抜け駆けしそうだったから、結構警戒してたんだけどなぁ。やっぱり油断できないや。

佐久間くんとも…当たりでしょ？

やだなぁ、阿部ちゃん、そんなに怯えた顔しないで？　かわいい末っ子と、ちゃんと仲良くしてよ。

俺だって、これでも内心めちゃくちゃ焦ってるんだよ。阿部ちゃんとどうやったら一緒にいられるかなって、いつも考えているんだから。嫌がることとかして、嫌われたくないし…

ねえ阿部ちゃん、俺のこと、嫌いにならないでね？

少しだけ、ハグさせて。そんなに固くならないでよ。俺、ドキドキしてるのわかる？　あっ、阿部ちゃん！

あーあ、行っちゃった…

【💚】

メンバーから告白される日が来るなんて、思ってもみなかったから、本当に驚いたのに、まるでそれが引き金になったかのように、俺のもとに色んな思いが集中した。大きいのから、小さいの、直接的なものから、とても間接的なものまで。

もう、俺は正直頭が混乱して、パニック寸前だった。だから、少しでもこの状況が整理できるように、書き留めておきたいと思う。

ある夜、照から話があると言われて、二人で個室の焼き鳥屋へ行った。始終的を得ない話が続いて、俺が若干うんざりし出した頃に、突然、思いを告げられた。照は真剣な顔で、俺を好きだと、俺と付き合いたいのだと言った。

にわかには信じられない、というより、信じたくない話だった。

その夜は曖昧に笑ってその場をやり過ごした。

それから、どんな顔で照と会えばいいかわからずに数日を過ごしていると、照から電話がかかってきて、切ない声で、ちゃんと話がしたいと懇願された。そんな声、今まで聞いたことがないから、やっぱり逃げ出したくなってしまった。また曖昧なままに、俺は通話を終わらせた。

悩んだ俺の様子に一番早く気が付いたのは目黒だった。

何かあった？　そう聞かれたので、相談した。すると目黒は正論を唱えた後、よくわからない例え話をして、いきなり俺の唇にキスをした。

柔らかくて、ほんの少し湿った感触に頭が真っ白になった。

目黒は自分がそうすれば、誰しもが喜ぶとでも思っているのだろうか。どこか得意げな、そんな表情をしていた。

翔太も何だか変だった。

目黒も翔太も、きっちり返事をすることが誠実な姿なのだと言うけれど、いきなりこちらの状況も気持ちも考えずに告白してこられたのに、こちらが誠実でいないといけないなんて、おかしくないだろうか？

やっぱり、彼らは自分たちの好意が肯定的に受け取られることを前提にし過ぎている気がする。

俺が返答に困って逃げているのだから、タイミングじゃなかったと思って無かったことにしてくれても良いんじゃないだろうか。

おまけに、翔太らしくもない軽口を言われた。この告白レースに参加する、とか、可愛い、とか。一体どうしたっていうのだろう。あれから翔太の顔を見るのも、なんとなく気まずくなってしまった。

佐久間から電話をもらって、飯に行くことになった時も、佐久間の様子がおかしかった。

彼おすすめのお店で食事した後に、なんとなく予感はしていたけれど、やはり好きだと告げられた。佐久間は日頃から人に対してよく好きだと口にする。でも、この告白はそれとは違うのだと言った。

このあたりになると、俺はもう好きというその言葉が怖かった。

舘さんの告白の言葉は、俺の胸の中を通り過ぎていくだけだった。彼がさすがだと思うのは、こちらに負担をかける気はない、と明言していたところだ。

舘さんの告白は、スルーしても大丈夫なのだと思うと安心した。ジャブを打たれた気もしたけれど…

そしてその傍らで、照の思いが、とても切実なパッションを伴っていたのだということを、俺は少しだけ考えた。

そういえば、ふっかのメッセージはありがたかった。あれこそ、少しばかりぞんざいに扱っても大丈夫だという確信があったから。

あの後事務所で会った時に、ふっかはいつになく真剣な顔で、何かあったらちゃんと話して欲しい、と言ってきた。

周りとのバランスを取りながら接してくれる彼の優しさ。もちろん俺はもう、その優しさの後ろにあるふっかの好意を敏感に感じとることができていた。

康二も、俺の中では無難な存在だった。他愛もなくゲームをやるのは本当に普段通りのことなので、ここのところ何も考えたくなかった俺にはちょうど良かった。

いじらしい康二の言葉は純粋に嬉しかったけれど、康二の気持ちに対しては、気が付かない振りでやり過ごすことができそうだった。罪悪感はなかった。

そんな中、まるでラスボスみたいに現れた末っ子のラウール。

決定的な言葉を避けながら、まるで真綿で首を絞めるかのように距離を縮めてくるやり口は、もはや天性の才だと思えた。

何もかもお見通しかのような彼の口振りは見事で、一種の頼もしさすら感じてしまった。ラウールに身を任せてしまえば、全て上手く収めてくれるのだろうか。一瞬縋るような気持ちにもなった。

それでも、ジリジリと距離を詰めて、無邪気さと狡猾さとを上手く使いこなすその姿に、結局俺はその場から逃げ出すしかできなかったのだ。

確かに俺たちには、カップルとか、夫婦とか、付き合うなら誰がいいかとか、そういう話が常に付きまとっていたけれど、それはあくまでもこの特殊な職業下におけるジョークのはずだった。

少なくとも、俺はそう思っていたのに。

どうして、こんな風になってしまったんだろう？

みんな、グループ以外にもそれぞれの世界と人生があって、繋がりだって、たくさんあるはずなのに。どうして狙いすましたみたいに、俺を求めてくるんだろう？

まるで、見えざる第三者の手によって仕組まれているみたいで、怖い。8人の中から誰かを選んで付き合わなくちゃ、自分がものすごい悪者になってしまう気がする。

それでも、日常も仕事も以前と変わらず続いていくのだ。

俺は明日からもまた、優しくて可愛くてあざとい阿部ちゃん、を続けていく。

ここまで長々と書いてはみたけど、結局何一つ答えは出せなかった。

彼らのことを考えながら、俺は、そういうんじゃないのに、そんなつもりはないのに、そんな風に思っていたはずなのに、なぜか次第に頭の芯が歪んでぼやけていくような感覚がしていた。

もしかしたらまた照から話がしたいと着信が入るかもしれない。彼の情熱はいつまで続くのか。その他の、メンバーたちは。

この際、こちらが主導権を握るのも悪くないのだろうか。いっそ、全ての概念やしがらみは取っ払って。彼らの、ひどく偏った盲目性の中に身を投じてしまうのも、ひとつの選択肢なのかもしれなかった。

そうやって俺は、一体どこへ向かっていくのだろう。

この作品はいかがでしたか？

155

7件

これ続く感じなのかな！？だとしたら誰とくっつくかもしくは9人になっちゃうのかすごい気になる😂😂

謎の💚総受け。白ゆき姫殺人事件のイメージで。こういうのやってみたかっただけなんです🥹 そして初めて絵文字使ってみました。最初イニシャルにしてたら、めめと舘さまのイニシャルが一緒なことに気が付いて急きょ😂 カラフルにハートが並ぶのかわいいですね🤭 さて、あべちゃんは誰と結ばれるんでしょう😇

kino

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